■ どうも、地味な山里が好きなんだなあ!
地図を見ながら、旅のプランを立てるとき、どうしても観光地は避けて、
なるべく人の来なそうな地味なところにばかり目が行ってしまう。
そこに格別何があるというわけでもないんだけれど、
出かける前からどんなところか想像ついてしまう観光地とは違って、「何もなさそうだけど、
行ったら思わぬ発見があるんだよな」なんて、
今までの経験に裏打ちされた好奇心が頭をもたげてきてしまうのだ。
今回もそんな調子で、たまたま金沢や郡上八幡といったメジャーな観光地も間に入っているけれど、
個人的なターゲットは、「思わぬ発見がありそうな、地味な山里」なのである。
■ 霧に霞む白山山麓がいい風情なのだ
北陸道の金沢西ICを降りたら、今回は金沢の街には目もくれず、R8からR157と辿って、
一路、山間に分け入って行く。海岸部のほうには、昨日の雨の名残はほとんどなかったが、
山間に向かうにつれ、雲の本体から切り離された靄が、谷を埋めている。
その露に打たれながら行くと、しゃっきりと目が冴えてくる。
R157沿いにある道の駅しらやまさん(中部81F6)は、
白山周辺の市町村についての観光情報の発信拠点でもある「白山連邦合衆国事務局」もあって、
ここで、一挙にこれから向かう先の情報を集めることができる。インターネットに接続した端末もあり、
各市町村のホームページをブラウズすることもできる。
白山西麓を南北に貫くR157は、別名「白山街道」とも呼ばれる。
しっとりとした山並みに囲まれた道で、交通量も少なく、澄んだ山の精気を胸一杯に吸いながら走っていると、
それだけで最高のリフレッシュになる。
途中、尾口村の瀬戸野(中部75F4)でR360と道を分ける。これを白山の方向に行けば「白山スーパー林道」。
見所も多く、これを辿れば奥飛騨へのアプローチがとても楽な道なのだが、
残念ながら二輪車通行禁止となってしまっている。四輪でドライブするなら最高のお勧めルートなんだけど...。
■ 温泉と山里の味を堪能
時間があったら白山登山にも挑みたいところだが、今回は山麓の風情を楽しむことにする。
白山への登山口にもあたる白峰村は、古い宿場町の雰囲気がたっぷり残っている。
小さな町並みの中心にある白峰温泉総湯(中部68E1)に浸かって、
湯上りに白峰名物の「とち餅」(650円)をおやつにいただく。
体の外と中で山の恵みを堪能だ。白峰村では、毎年7月の中旬に、「白山祭り」が開かれる。
タイミングが合えば、素朴な祭りも楽しみたいところだ。
白峰からさらに南に下り、新谷トンネルで県境を越えて、石川県から福井県へ。
山道を下ると、勝山の町並みが広がってくる。その途中の勝山温泉(中部68C4)もお勧めの温泉の一つ。
勝山市には、白山信仰の中心である平泉寺白山神社(中部68D5)がある。
杉の巨木に囲まれた静かな山中、緑の絨毯のように見事に苔むした参道を登っていくと、
心が浄化されていく灌頂の道を歩んでいるような気がしてくる。ここは、
静けさを味わってみたいという人に、絶対お勧めのポイント。
白山神社にお参りを済ませたら、その門前にある「そば処まつや」でそば定食(2700円)の昼食。
ちょっと値段が張るけれど、牛刺しや山菜といった山の幸満載でボリュームもたっぷり。
他に「そばづくし」(2700円)、「おろしそば」(550円)などもある。
■ 水の街からまた鄙びた山里へ
R157を大野市まで南下したらR158に道を乗り換え、東に進路を取る。
またさらに山が深くなり、道はアップダウンの激しいワインディングになる。
そして、九頭竜ダムによって堰き止められてできた九頭竜湖岸沿いに行くと、
突然、高速道路の入り口が現れる。これは、
東海北陸自動車道から白鳥で枝分かれする中部縦貫自動車道の一部で、
油坂峠の下を貫通して白鳥の街までのショートカットルートになっている。
この新しい道を使って白鳥の街に出たら、今度はR156に乗り継いで、
郡上八幡へ向かう。ずっとこの道に並行して東海北陸自動車道が走っている。
水の美しさと、郡上踊りで知られる郡上八幡は、できれば一、二泊して、
じっくりと街の風情を楽しみたいところ。今回は長丁場のツーリングコースなので、
雰囲気を少しだけ楽しんで、再び走り出す。
夏の解禁時には、鮎釣りの長竿が林立する和良川に沿ったR256を東へ。
その和良川が飛騨川と合流する金山町は、昔ながらの奥飛騨の雰囲気に包まれた静かな山里だ。
取材当日は、ちょうど、こんもりとした山並みの向こうに夏の陽が沈んで、
空が茜色に染まる時間に、この山里に着いた。涼しい山風を肌に感じ、
ひぐらしの鳴き声に包まれていると、自然の色が濃かった30年以上前の自分の故郷を思い出す...。
たぶん、このシチュエーションだと、若い人でも、どこか心に訴えかける懐かしさを感じるのではないだろうか。
こういったなんでもない山里の風景が、日本の原風景のような気がする。
最後の仕上げに、温泉とちょっと豪華なディナーを楽しむことにした。
2000年の4月にオープンしたばかりの道の駅「Souken」(中部55A5)は、
温泉に宿泊施設、そしてレストランを備えた本格的な保養施設になっている。
ここで、ゆったりと露天風呂に浸かり、飛騨牛のハンバーグを食べて、旅のラストに備えて英気を養った。
金山からは飛騨川に沿ったR41からR21と乗り継いで、中央道の土岐ICへ。