ツーリングマップル
 
ラリーレイド譲りの本格アドヴェンチャーツアラー
text by 内田一成 page/ 1 2 3 4

 

ラリーレイドが生み出したビッグオフロード

 何週間にもわたってウィルダネスを突っ走るラリーレイドでは、タフな心臓と航続距離の長いビッグタンクを備え、ライダーの疲労を少なくする素直なハンドリング特性を備えたマシンが不可欠だ。80年代後半から90年代初期にかけて、ホンダは、パリ-ダカールラリーを中心とするラリーレイドにVツインエンジンを搭載したビックオフロードマシンを投入して、幾度もタイトルを手にした。

 アフリカツインは、まさにその名が示すように、アフリカ大陸で活躍したVツインのワークスマシンの流れを汲むオフロードマシンだ。

 ボリューム満点の23g容量タンクをはじめ、車体全体が大柄で、一見するとかなりの威圧感がある。実際、跨ってみても、眼下のタンクの大きさとフロントカウル・スクリーンの大きさには圧倒される。ボリュームのあるフロント周りに対して、シートからリア方向は、ごく普通のオフロードマシンの雰囲気で、「これなら、ダートもそこそこいけそうだ」という印象を抱かせる。

 もっとも、こいつでモトクロスコースのようなところを走ろうという気は起こらない。やはり、広大なウィルダネスをウインドスクリーン越しに眺めながら、高速オフロードクルージングといったシチュエーションが似合いそうだ……そういったフィールドが日本では思いつかないのが寂しいところだが。

10年以上をかけて熟成の域に

 1988年に初めて登場したモデルは650ccエンジンを搭載していた。翌年にこれが742ccにスープアップされてから今日まで、パワートレーンその他外装を含めたコンポーネンツに大きな変更はない。

 登場した当初は、このマシンがまったく新しいセグメントを作り出し、そのフォルムは異様に思えたものだが、10年以上を経た今となっては、一つの完成されたスタイルとして受け入れられている。だが、最新のBMWF650GSあたりと比較すると、各部が古臭く見えるのも否めない。例えば、シートに収まってウインドスクリーンの内側を見ると、それを支えるフレームが剥き出しで、メーターパネルは専用設計というよりは、ごくごくオーソドックスなものを流用していることがわかってしまう……もっとも、いかにもメカニカルでレーシングマシンとしての雰囲気が出ているという見方もできるのだが。

 ホンダの4ストロークオフロードマシン群は、長い間基本設計とフォルムを変えずに、熟成させていくパターンが多い。見た目にはさほど変わりがなくても、いったん走り出すと、細部が非常に根気良く作りこまれていることを実感するという経験をホンダのオフロードマシンでは、今まで何度も経験している。その意味では、このアフリカツインも期待できる一台だ。

  長いホイルトラベルを確保した前後サスペンション、ビッグタンク、ごついアンダーガード、大型カウル、大型リアキャリア...そのままウィルダネスに走り出していきたくなる本格アドヴェンチャーマシン。
742ccのVツインの心臓は、とてもビックツインとは思えないほどジェントルな性格。特別な脈動も感じさせず、スムースに吹け上がる。
不必要なデザインを廃した、シンプルで見やすいメーターまわり。

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