ツーリングマップル
2002/10/10 秋空
内田一成
この19日は、父の23回忌にあたる。しばらく、逝ってしまった人のことを忘れて、現実の問題に汲々としていたが、母に電話で法事の連絡を受けて、ふいにいろいろな思いが湧き上がってきた。

そもそも長男である自分が法事の準備を整えて母に気を使わせないのが筋であるはずなのに、すっかり失念していたことがとても恥ずかしい。こんな言い方をすると、えらく年寄りくさいが、ご先祖様を敬って、親の命日と亡くなってからの年月を覚えているくらいの心の余裕を持っていないといけないと思わされた。

それにしても、23年。父が死んだのは、ぼくが18歳のときだから、亡くしてからの年月のほうが5年も多くなってしまった。机の前に飾ってある写真を見ると、亡くなったときの50歳のままの父がそこにいる。自分が歳を重ねて、写真の父の歳に追いつくのも、そんなに先のことではない。そう思うと、なんだか不思議な気がする。

父が亡くなった日は、ちょうど先週の台風の日と同じで、台風が関東を直撃して、足早に通り過ぎていった。亡くなるまでの最期の苦しみの間、台風は荒れ狂っていた。そして、苦しみから解放された途端、うそのように晴れあがり、真っ青な秋空が広がった。

今週、法事が終えたら、今年最期の実走取材に出かける。気持ちのいい秋空の下、父と旅をしているつもりで、風景や人との出会いを心に焼き付けてこようと思う。
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