ツーリングマップル
2002/10/17 はらやどり浜
内田一成

兎園小説の「虚ろ舟」を題材に、幻想的な小品にまとめられた澁澤龍彦の短編集(河出文庫)。秋の夜長におすすめ
先月19日付のコラムで、鹿島灘の一角に流れ着いたとされる、『虚ろ舟』の話を書いた。その中で、兎園小説に語られる舟が流れ着いた「はらやどり浜」は、場所が特定できていないと紹介したが、その場所が、なんとあっさりわかってしまった。

先週、法事で帰省したときに、なにげなしに田舎で教師をしている妹に『虚ろ舟』の話をすると、「はらやどり浜って言うのなら、それは今の子生(こなぢ)だよ、きっと」と、答えが返ってきた。

『虚ろ舟』の碑がある海岸から北へ5,6km、海岸線を辿っていくと、そこが子生海岸になる。ここには子生弁天があって、ここにお参りすれば子供を授けてくれると、古くから信じられているという。

子生の弁天様にお参りして、子供が腹に宿る。まさに「はらやどり」そのままではないか。兎園小説がまとめられてから200年あまり、「はらやどり浜」は鹿島灘のどの海岸を指すのか謎だったわけだが、それが、いともあっさり解明されてしまった。もっとも、それをまた検証してみなければ、はっきりと解明されたとはいえないわけだが、謎解きは、得てして、そんな風に気抜けするほど、悩みに悩んだ答えがあっさり見つかったりするものだ。それに、「はらやどり浜」=「子生浜」という図式は、自分の中で正解だという手ごたえが感じられる。

日本は海に囲まれた島国だから、海を越えてやって来るもの、また、海へ向かって出て行くものが多い。ほんとうは、北朝鮮工作員による拉致事件であったものが、「神隠し」として妙に納得されてしまったりしたのも、古来から海にまつわる不思議な出来事がたくさんあって、それが遺伝子に秘められた記憶として伝えられているためなのかもしれない。

●『虚ろ舟』の話のときにお知らせしたFM軽井沢での「レイラインハンティング」についてのオンエアは、先日取材に出ている間に終わってしまいました。けっこう好評だったとのことで、もしかしたら続きがあるかも....そのときは、あらためてお知らせします。
 それから、来月の上旬に、鹿島神宮、香取神宮、息栖神社の「東国三社」と、今回紹介した「はらやどり浜」のあたりをGPSを使って巡る「レイラインツーリング」を計画しています。現地でジョイントしたいといった要望がありましたら、ley@ley-line.netまでご連絡ください。特別、ぼくが主宰するイベントといったものではなくて、自由参加、自己責任で、ジョイントしていただくだけですが、現地でのちょっとした解説やらGPSの紹介などはさせていただこうと思っています。
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