ツーリングマップル
2002/12/12 冬至
内田一成
岐阜県の揖斐川町に「朝鳥明神」という一風変わった神社がある。どう変わっているのかといえば、ここには社のようなものはなくて、小さな祠の裏に広がる斜面を社とし、また、ご神体としていることだ。

きっちりと柵で仕切られた斜面には、地面から生えたような半球状の大岩がたくさんあって、そのすべてに注連縄が懸けられている。ランダムな配置なのだけれど、それぞれの岩の位置関係に特別な意味があるようにも見える。諸星大二郎の伝奇漫画に登場しそうな風景だ。

その朝鳥明神の祭りは、冬至の明け方に開かれる。地元の人たちは、未明からかがり火を焚き、祝詞をあげて冬至の太陽が登るのを待つ。眼前に広がる濃尾平野の彼方から、太陽が顔を見せると、その最初の光が、鳥居を潜って、まっすぐその背後のご神体に注ぐ。岩の中でもひときわ大きい中心の磐座が、その光に照らし出されて....。

朝鳥明神は、古代の太陽信仰がそのまま現代にまで受け継がれてきた祭祀場で、これから昼の時間が長くなる冬至の太陽を再生の象徴として拝むのだという。なんでもない日に訪れても、神秘的な雰囲気が充満しているこの場所で、冬至祭に臨むと、理屈なんてなしに、自分がほんとうに自然が再生する瞬間に居合わせているという感動が味わえるという。

同じように、冬至の太陽を拝む場所としては、伊勢内宮への入り口、宇治橋がある。宇治橋の袂に立つ鳥居は、内宮本殿がある森を背後にしていて、冬至の朝日は、ちょうどその森から登り、この鳥居の中央に乗る。

ほんとうは、冬至の朝日を朝鳥明神で見届けたかったのだが、それはかないそうもない。そこで、今年の冬至は、東京で富士山に沈む夕陽を眺めようと思っている。新宿から神奈川県の小田原を結ぶ私鉄、小田急線は、下北沢という駅から狛江という駅まで10kmあまりの直線になっている。その直線を南西へ伸ばしていくと、富士山に突き当たる。冬至の太陽は、この小田急直線路の真正面に聳える富士山の頂上に沈んでいく。

どうして小田急直線路がそんなふうになっているのか? それは、小田急を創業した竹光鶴丸という不思議な人の秘められたプランに関係している。....そのプランと、背後にある驚くべき冬至の仕掛けは、またの機会に。

― LEYLINE HUNTING ―
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