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2003/04/03 金砂大田楽に行ってきた
内田一成

猿田彦命が露払いとなって行列がやってくる
平安時代初期から72年毎に行われる「金砂大田楽」が3月31日に終了した。ずっと前から観たいと願ってきたこの祭りを、ついに拝むことが出来た。

阿武隈山地に連なる長閑な北茨城の山村風景の中、天孫降臨の道案内をした猿田彦命が露払いとなって、500人の行列が進む。どことなく孫悟空を思わせる金砂神社の猿が沿道の人たちに愛嬌を振舞っていたかと思うと、赤、青、黄の三匹の鬼が恐ろしい形相で威圧していく。そして世話役と裃をつけた楽隊が続き、神輿と馬に乗った神童、最後に宮司が続く。

それぞれに性格の異なるキャラクターは、「自然」が見せる様々な表情を象徴している。穏やかで人に恵みをもたらす優しい一面、ときに牙をむき人の命などこともなげに奪ってしまう恐ろしい一面、そして、目に見えるだけでなくその裏に秘められた神秘を感じさせる一面。金砂大田楽に限らず、祭りは、自然の姿をデフォルメして万人にわかりやすく表現するのと同時に、「小なるものは大なるものに照応する」という魔術的思考を実践して自然に働きかけるものだ。

この金砂大田楽は、天災を祓い、五穀豊穣を自然に対して願う意味がこめられている。天明の大田楽について記した『寝覚譚』には、金砂の神は神号を「鮑形大明神」と称するとある。常陸の水木浜に上がった神様は鮑の姿をしていて、潮を満たした甕に入れてお迎えする。72年間、金砂山に鎮座するうちに潮がだんだん減ってきて、それにともなって天変地異が増えてくる。72年目に、それまで鎮座していたご神体を水木浜へ還しに行くと、不思議なことに、そこにはまた一つの鮑が待っていて、新たに潮を満たした甕にご神体を迎えて山へ戻るのだという。無事に新たなご神体が山に着くと、世の中は平穏になり、作物は豊作になるという。

じつは、水木浜での神迎えの儀式だけは、秘中の秘とされ、今回も深夜に誰も覗くことができない結界の中で行われた。

この数年、日本も世界も戦争やら疫病、不況といった悪運に見舞われ続けてきたが、この金砂大田楽がそんな世相を打ち破って、明るい世界をもたらしてくれるといいのだが....。

―追記―
今年の「第17回金砂大田楽磯出大例祭」の模様は、NHK教育テレビで、4月26日22時〜23時半に放映される。今回見逃してしまった人も、ぜひご覧あれ。
また、近々、レイラインハンティングサイトのほうでも詳細を伝える予定なので、こちらもお楽しみに。


楽隊の笛が長閑な山村に木霊する 鮑形大明神を納めた神輿が勇ましく練り歩く


最終日、本丸開場での田楽奉納には、1万人の観客が集まった 猿田彦命による「四方固めの舞い」。この後、「巫女舞い」、「獅子舞」、「鬼の舞い」と続く
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