ツーリングマップル
2003/04/17 細胞活性化装置
内田一成
長らく二輪から遠ざかっていた人間が突如また二輪に目覚め、10代や20代の頃のように夢中になって峠を走り回る。そんなケースが、ぼくのまわりで、最近、異様に増えている。みんな、大厄もすぎた立派な中年男で、10年以上も二輪など見向きもしなかった連中だ。

そんなリピーターの友人たちと酒を飲んでいて、ぼくは、思わず尋ねた。「いったい二輪の何がそんなに面白いんだ?」。16歳で免許を取ってから、ほとんど途切れなしに二輪に乗り続けているぼくとしては、あまりにも当たり前の道具になってしまっていて、いまさら二輪の魅力について考えるなこともなくなっていた。だから、かえって、友人たちが嬉々として二輪に乗っているのが不思議であり新鮮に思えたのだ。

すると、45歳にして、突如ハーレーフリークと化した男が言った。「二輪に乗ると、元気になるんだよ」。それを聞いて、若いときに二輪に親しんでいた彼らが、再び二輪に乗ることで昔の記憶が呼び覚まされ、あの頃に戻った気がするということ....気分の問題なのだと解釈した。

「たしかに、二輪に乗っていると、若い頃の走りなんか思い出して、元気になることもあるな。だけど、俺は、10代や20代の頃の林道やレースでバリバリ走っていた頃のイメージが鮮烈過ぎて、気分だけはあの頃のままなのに、体がついていかなくて、二輪に乗ると、かえって歳を意識させられることのほうが多いぞ」。

ぼくがそう言うと、彼は、「違う、違う、若い頃を思い出して元気になるわけじゃない」と、笑いながら頭を振る。

「二輪はさ、究極の低周波治療器なんだよ」。「低周波治療器?」。「そう、あのエンジンのビートと体に叩きつける風、それに路面から伝わってくる振動....そんな諸々のものがさ、文字通り細胞を揺さぶって、弛んだ体と心を元気にしてくれるんだよ。イメージの問題じゃなくて、実際の効果の問題。そんでさ、この快感が、クセになるというわけ」。「そうそう、クセになる。ガキの頃はスピードだとか、コーナーで足を擦るだとか、そんなことに夢中になっていたんだけど、今は、全身ブルブルのあの感じがたまらないんだよ」と、これはドゥカッティ乗り。

それを聞いて、ぼくも、なるほどと思ってしまった。さすがに40を過ぎると、不定愁訴というか、成人病の前駆症状というか、血の巡りが悪くてけだるいような感じがすることが度々ある。そんなとき、乗り始めは億劫に思うのだけれど、いざ二輪に乗ってしまうと、いつのまにか倦怠感が嘘のように消し飛んで、体も気分も爽やかになっている。

「おまえが、歳のわりに若く見られるのは、二輪の低周波効果のおかげだよ、きっと」と彼ら。自分が実年より若く見られるかどうかはともかく、周囲を見回すと、賀曽利さんや風間さんを筆頭に、二輪に乗る機会が多い人ほど、若々しくて元気一杯だ。還暦を過ぎても20代の若者なんぞよりフットワークの軽い人もいるし....。してみると、やっぱり二輪は究極の低周波治療器なのだろうか....。

それにしても、「低周波治療器」では年寄りくさくて、夢もロマンもない。ここは、せめて「究極の細胞活性化装置」とでもしておこう....。

さて、今日も、細胞活性化装置に乗って、若返るとするか!
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