ツーリングマップル
2003/06/19 日本の森林帯
内田一成

「生」を濃厚に感じさせる森
前回のコラムで、巨樹と巨石の話を書いたら、そのすぐ後で、樹と樹林の写真の第一人者、石橋睦美さんの写真展の知らせが届いた。宮崎駿の映画に出てきそうな濃い霊気が充満する苔むした森の写真を見ていると、その空気が漂い出してきそうだ。

石橋さんの写真は、ごく普通の、身近にある自然が対象なのだけれど、まるで人物写真のように、その自然が語りかけてくるところがすごい。しかも、人物写真でも、喜怒哀楽の感情があからさまなものより、感情を押えた人間が、黙ってカメラのレンズを見据えているほうが、その人の内面の迫力を伝わってくるものだが、石橋さんの写す風景は、静かで淡々とした自然の風景が、同じように迫ってくる。

日本の神社は、もともと、何もない場所で、「素」のままの自然が畏敬され、祀られていた場所に、後から「目印」として置かれたものが多い。日本人の心性には、自然を畏れ、共生するアニミズムが宿っている。石橋さんの森は、それをはっきりと思い出させてくれる。

梅雨で鬱陶しい日が続いているけれど、この湿潤な季節があるからこそ、深くて変化に富んだ日本の森が生まれた。そんなことを思うと、梅雨の雨もありがたく思える。

―石橋睦美写真展『日本の森林帯』―
 6月20日(金)― 26日(木)
 10:00 ― 20:00(最終日は14:00まで)
 富士フォトサロン・東京[スペース1]
 東京都中央区銀座5-1 銀座ファイブ(旧スキヤ橋センター)2F
 TEL:03-3571-9411
 *写真集『森林日本』(平凡社)も同時発売
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