ツーリングマップル
2003/08/28 ソロ
内田一成
先日、次のツーリングマップルの取材用車輌「KTM640ADVENTURE」を厚木のディーラー、アブソリュートへ借りに行った。この車輌は、昨年ぼくも走ったツールドニッポンで、今年、田中ユキさんが走ったもので、まだレース用の儀装がそのままで、スピードメーターやタコメーターなどはなく、ロールアップのマップケースとICO、GPSのホルダがついている。

こういうマシンに乗ると、やっぱり古い古いエンデューロレースの記憶なんかが浮かんできて、おもわずダートをワイドオープンでブチかましたくなってくる(笑)。モノの魔力というのは、ほんと不思議なもので、BMWのGSに跨っているときは、ポジションも気持ちもゆったりして、自分が巡っている土地をじっくり噛み締めるような走りになるし、KTMに跨ると、マシンの鼓動と自分の鼓動をシンクロさせて、走りを官能的に楽しみたくなる。

来週、長野から岐阜、富山のあたりの林道を辿る予定だが、今からウキウキしている。心配なのは、走りに夢中になって、データを取るのを忘れてしまうことかな....。

それはともかく、今回のマシンを手配してくれたアブソリュートの福澤さんと話をしていて、彼が、ソロを好むクライマーで、かつツーリングもソロが好きということで、ついつい広報車を拝借にいっただけなのに、話に夢中になってしまった。

ぼくも、昔からソロが好きで、山はもちろん、ツーリングでもソロばかりしてきた。ソロを好む人間というのは、ある意味、わがままでなんでも独り占めしたい人間なのだと思う。素晴らしい景色も、マシンとの気持ちのいいシンクロも、そして困難も、すべてを丸ごと自分ひとりで受け止めて、自力で解決する。それは、対照と自分がまさに一対一で対峙している緊張感と、対象と同化したときの充実感を独り占めすることを意味している。

複数でしかツーリングしたことのない人は、可哀想にも思える。せっかくの体験を人といることで薄めてしまっているからだ。

普段、マスツーリングばかりしている人も、たまにはソロで目的地なんか定めないツーリングをしてみてほしい。きっと普段とはまったく違う濃密な体験ができるはずだ。そして、同じようにソロでたびをしている仲間に出会ったとき、きちんと自分の責任を一人で果たしている者どうしとして、気持ちが通じ合えるはずだ。
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