■ 30日から今日までの三日間、若狭の三方町にある宿「湖上館PAMCO」の館主、田辺さんのご招待を受けて、三方町へ行ってきた。彼は、まだ30代前半だが、高校、大学とボート部で鍛えた体力と根性で、長く続く旅館を引き継ぎ、新しい試みをどんどん打ち出している。
■ 三方五湖の一つ、水月湖の辺にある昔ながらの旅館をヨーロピアンアットホームな雰囲気とでもいうか、洋風のカジュアルな雰囲気に建て替え、なんと、館内にビールプラントを作って、地ビールならぬPAMCOオリジナルビールを製造。さらに、特産の梅を使って、300kgもの梅からエキスを抽出する「梅風呂」を考案。得意のスポーツ経験を生かして、シーカヤックツアーやシュノーケリングの案内をする。また、実家が梅農家を兼業していることもあって、梅もぎ体験、梅酒作り体験なども企画している。
■ とにかく彼のバイタリティには、頭が下がる。興味持ったことは積極的に取り組んで、どんどん自分のものにしていく。そして、その楽しさを人に伝えていく。
■ じつは、ぼくたちのようにメディアの人間も、自分の興味を深めて、実践し、それを人に伝えていくというのが仕事なのだけれど、時として、自分がしていることに疑問を持ったり、自分の表現していることで喜んでくれる人がいるのか自信が持てなくなることがある。田辺さんを見ていてとてもうらやましく思えるのは、お客さんと直に接するから、自分が投げたことが直接反応として戻ってきて、それが次のやる気に繋がっていくことだ。
■ それでも、保守的な田舎で新しい試みを実践していくのはたいへんなことで、理解と協力を得るにはエネルギーが必要だ。そのエネルギーを与えてくれるのも、喜んでくれるお客さんたちだろう。
■ 今回、田辺さんに三方町のあちこちを案内していただき、三方湖でシーカヤックに乗ってぼんやり浮かび、土地の人たちといろいろ話をして、すっかり三方のファンになってしまった。他の観光地と違って、自然がそのまま残されているのがいい。湖上館から見渡す水月湖には、対岸には人家が皆無で、夜になると月明かりに鏡のような水面が浮かび上がり、対岸の山々が幻の風景のように湖面に浮かぶ。常神半島という名前だけでも幻想的な半島が若狭湾に釣り針のように伸びていて、その沿岸からは、吸い込まれそうに透明な海が見渡せる。
■ 人魚の肉を間違って食べて不老不死になってしまった八百比丘尼という伝説がある。その話は、まさに、ここ三方=若狭に古くから伝わる話だ。常神半島の突端の西には御神島という小さな島があり、その中心部は一年のうちのある日に朝日が貫く、自然のものとも人工のものともしれないトンネルが貫通している。その島を望む浦には、「朝日さす入日かがやくその浦に黄金千枚朱千枚」という黄金伝説が伝えられている。
■ 三方の山のほうに目を移すと、弘法大師・空海が、やはり不老不死の仙薬を作るための原料である水銀を求めた足跡があちこちに残されている。
■ 田辺さんがすでに実践されている三方の自然にどっぷり浸かって遊ぶアクティビティにネイチャーガイドや宝探しの要素を加えてますます面白くしたり、その繊細で幻想的な自然から紡ぎ出された伝説をじっくり辿ったり、空海の足跡を推理しながら追跡するツアーといったことを今プランニングしている。
■ じつは若狭だけでなく、日本中に、想像力を掻き立ててくれる自然と、そこに暮らす人の営みがまだまだたくさん残されている。これから何度も三方に足を運んで若狭の自然と歴史を堪能できるツアーや体験を田辺さんや土地の人たちと考え出していくつもりだけれど、そんな活動を全国に広げて、日本の自然と文化を見つめ直すことのできるネットワークを築いていきたいと思っている。そして、それを世界にも広げていけたらとも思っている。
■ ちなみに、今回はBMWR1150GSで東京から出かけていったのだけれど、田辺さんは、すっかりバイクの機動力とライダーがとりまく空気の微妙な変化を感じ取れるBMWの余裕のあるライディングフィールに魅了されて、さっそく、大型二輪免許を取って、友人のR100RSを譲り受けることにした。そのうち、若狭のとっておきのツーリングコースも教えてくれるようになるだろう。
■ そうそう、一つ肝心なことを忘れていた。三方は、とにかく食べ物が旨い。湖上館PAMCOでは、旬の海産物を中心に、若狭牛のステーキなど、美味珍味が、これでもか! というくらい繰り出してくる。これからは、カニとフグが旬だそうな....また行ってこよっと!
―湖上館PAMCO―
http://www.pamco-net.com/
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