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福岡市の歴史は市名の決定にも影響?~なぜ「博多市」にならなかったか~ 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年3月3日

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福岡市の歴史は市名の決定にも影響?~なぜ「博多市」にならなかったか~

博多駅、博多ラーメン、博多祇園山笠、博多人形…。「博多」と名の付くものが多いのに、なぜ博多市ではなく福岡市なのでしょうか?

福岡市の歴史は2つの都市がルーツとなっている

福岡市は、中世の港町を発祥とする町人(商人・職人)の都市・博多と、黒田家によって建設された城下町を発祥とする武士の都市・福岡の2つの都市をルーツとしています。よって明治22(1889)年に市名が福岡に決まった後も、「博多市」を希望する声は残り、何度か改称運動が起こることになりました。

福岡市の歴史に欠かせない「博多市」への改称運動

最初に起こったのは、福岡に市が置かれることが決まった明治21(1888)年。当時の福岡と博多は「福岡区」という行政区に含まれており、そこで市名も順当に「福岡市」になると思われていました。これに対し博多派は、法律に「歴史的著名の名称はなるべく保存するように」という但し書きがついていたので、「博多市」を推す運動を始めます。しかし運動は広い支持を集めることができず、翌年3月に福岡県の定めによって、市名は「福岡」に決まりました。

「博多市」への市名変更議案が提出されるもまさかの否決

有名な「市名変更問題」が起こるのは、その翌年の明治23(1890)年2月でした。6日の市会(当時の市議会)に、博多選出議員から市名を変更する議案が提出されました。当時の市内の人口は博多がおよそ2万5600人、福岡は2万400人ほどで、議員数は博多が17名、福岡は13名で博多が優勢かと思われていました。議論紛糾のなかで14日に採決が行われますが、結果は26票中賛成13で正半数。休憩後の二度目の採決でも同じ結果となったので、福岡選出の議長が反対意見を表明したことから、それを根拠に否決となり、「福岡市」が続くことになったのです。

福岡市の歴史が改称案否決の根拠に?!

この結末について「福岡派が博多派議員をトイレに閉じ込めたので敗れた」という説が有名ですが、前日まで出席していた博多選出議員が当日欠席したことから出た風聞であると思われます。むしろ博多選出議員15人のうち2票が反対に回っていることから、「旧武士の福岡による圧迫に、旧町人の博多が屈した」と感じる人が多かったようです。博多出身の元市長・河内卯兵衛も、議員時代に先輩からそのように聞いたと回想しています。河内は大正から昭和にかけて、市名改称運動を行いましたが実現には至りませんでした。

福岡市の歴史は町人の都市・博多とともに

このようにして市名は福岡となりますが、駅名は明治22(1889)年末に博多駅と決まります。経緯は明らかではありませんが、当時の駅が承天寺の南側(現・駅前1丁目)という博多の南端にあったことから、「博多駅」のおさまりがよかったものと考えられます。また、同年の市名決定を受けて、博多に対する配慮があったことも想像に難くありません。さいたま市ができるまで、福岡市は県庁所在地でありながらJRで唯一市名の駅を持たない県だったのです。

なお、福岡部の天神にある西日本鉄道の駅は「西鉄福岡(天神)駅」であり、福岡市には今も博多駅と福岡駅の2つが存在しています。その後、昭和50(1975)年の新幹線開業によって、博多は全国的な知名度を獲得していきます。博多祇園山笠、博多織、博多人形など、祭り、物産は、町人の都市として栄えた博多の歴史を名に冠して、全国に知られていきました。

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