更新日: 2024年9月23日
栃木には「一の宮」が2つある? 日光二荒山神社と宇都宮二荒山神社
日光と宇都宮にある「二荒山神社」。表記が同じだったため、昔から混同されることもあったようです。そして明治には、社格をめぐって騒動が起こりました。
栃木の一の宮「日光二荒山神社」と「宇都宮二荒山神社」はまったく別の神社
栃木県には、「日光二荒山神社」と「宇都宮二荒山神社」、2つの二荒山神社があります。これについては栃木県民の中にも、「どちらかが本社で、もうひとつが別宮?」と思っている人もいるようですが、実は両者は全く異なる神社です。名前の読み方から異なっており、日光二荒山神社は「ふたらさんじんじゃ」、宇都宮二荒山神社は「ふたあらやまじんじゃ」と読みます。
祀られている神様も、日光二荒山神社は大己貴命(おおなむちのみこと)・田心姫命(たごりひめのみこと)・味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)であるのに対し、宇都宮二荒山神社は豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)を祭神としています。創建に関しても、日光二荒山神社は日光開山の祖といわれる勝道(しょうどう)が767(神護景雲元)年に開いたのに対し、宇都宮二荒山神社は古墳時代である353(仁徳天皇41)年に、下野国造(しもつけのくにのみやつこ)である奈良別王(ならわけのきみ)が、祖先である豊城入彦命を氏神として祀ったのが始まりとされ、両社はまったく別の神社であることがわかります。
昔の人も両社の関係を勘違いしていた?
このように2つの神社に関連はないのですが、現代人だけではなく昔の人も、両社の関係について間違えることがあったようです。鎌倉時代の1219(承久(じょうきゅう)元)年に成立したといわれる説話集『続古事談(ぞくこじだん)』には、「二荒(ふたら)の権現(ごんげん)、山の頂に住み給う。…(中略)…宇都宮は権現の別宮なり」という記述があります。また『平家物語』では、那須与一(なすのよいち)が屋島の戦いで扇の的を射る際に、「日光の権現宇都宮、那須の温泉(ゆぜん)大明神」と唱えて祈っています。これらはいずれも、宇都宮二荒山神社を日光二荒山神社の別宮と誤解したうえでの記述ではないかとされています。
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