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栃木には「一の宮」が2つある? 日光二荒山神社と宇都宮二荒山神社

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年5月13日

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栃木には「一の宮」が2つある? 日光二荒山神社と宇都宮二荒山神社

日光と宇都宮にある「二荒山神社」。表記が同じだったため、昔から混同されることもあったようです。そして明治には、社格をめぐって騒動が起こりました。

栃木の一の宮「日光二荒山神社」と「宇都宮二荒山神社」はまったく別の神社

栃木県には、「日光二荒山神社」と「宇都宮二荒山神社」、2つの二荒山神社があります。これについては栃木県民の中にも、「どちらかが本社で、もうひとつが別宮?」と思っている人もいるようですが、実は両者は全く異なる神社です。名前の読み方から異なっており、日光二荒山神社は「ふたらさんじんじゃ」、宇都宮二荒山神社は「ふたあらやまじんじゃ」と読みます。
祀られている神様も、日光二荒山神社は大己貴命(おおなむちのみこと)・田心姫命(たごりひめのみこと)・味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)であるのに対し、宇都宮二荒山神社は豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)を祭神としています。創建に関しても、日光二荒山神社は日光開山の祖といわれる勝道(しょうどう)が767(神護景雲元)年に開いたのに対し、宇都宮二荒山神社は古墳時代である353(仁徳天皇41)年に、下野国造(しもつけのくにのみやつこ)である奈良別王(ならわけのきみ)が、祖先である豊城入彦命を氏神として祀ったのが始まりとされ、両社はまったく別の神社であることがわかります。

昔の人も両社の関係を勘違いしていた?

このように2つの神社に関連はないのですが、現代人だけではなく昔の人も、両社の関係について間違えることがあったようです。鎌倉時代の1219(承久(じょうきゅう)元)年に成立したといわれる説話集『続古事談(ぞくこじだん)』には、「二荒(ふたら)の権現(ごんげん)、山の頂に住み給う。…(中略)…宇都宮は権現の別宮なり」という記述があります。また『平家物語』では、那須与一(なすのよいち)が屋島の戦いで扇の的を射る際に、「日光の権現宇都宮、那須の温泉(ゆぜん)大明神」と唱えて祈っています。これらはいずれも、宇都宮二荒山神社を日光二荒山神社の別宮と誤解したうえでの記述ではないかとされています。

栃木の一の宮はどっちなの?

このような混乱は、それぞれの神社が古くから「下野国一の宮」を称していたことにも起因するようです。一の宮とは、その国の代表格の神社であり、古くは国司(こくし)がその地に赴任する際、最初に詣でる最も格式の高い神社とされていました。下野国の一の宮については、平安時代の中頃に編纂された『延喜式(えんぎしき)』に「河内(かわち)郡 一座 大 二荒山神社 明神大」との記述があるのですが、この二荒山神社が日光二荒山神社なのか、宇都宮二荒山神社なのか、長年にわたり議論されてきたのです。

栃木の一の宮「日光二荒山神社」「と宇都宮二荒山神社」の位置

2つの二荒山神社の位置を見ると、宇都宮二荒山神社は河内郡に、日光二荒山神社は都賀郡にあったことがわかります。

栃木県内には一の宮が2つの存在する!

1871(明治4)年、明治政府は全国の神社を大・中・小の官幣社(かんぺいしゃ)と国弊社(こくへいしゃ)、さらに府・県・郷・村社と無格社に分け、宇都宮二荒山神社は栃木県内唯一の国弊中社と格付けされます。ところが、それからわずか2年後の1873(明治6)年、国は宇都宮二荒山神社を県社に降格し、日光二荒山神社を国幣中社にすると決定。これに対して宇都宮の人々は多いに失望し、旧宇都宮藩の家老であった県信緝(あがたのぶつぐ)を中心に社格回復運動を開始します。その結果、1879(明治12)年に国は宇都宮二荒山神社の降格を取り消すと発表。4年後の1883(明治16)年5月、宇都宮二荒山神社の社格は回復されました。一方の日光二荒山神社も国幣中社のまま据え置かれ、改めて栃木県内に2つの一の宮が存在することとなりました

日光二荒山神社

住所
栃木県日光市山内2307
交通
JR日光線日光駅・東武日光線東武日光駅から東武バス「世界遺産めぐり」で13分、大猷院・二荒山神社前下車すぐ
料金
拝観料(神苑)=大人300円、小・中学生100円/良縁祈願板札=500円/良縁笹の結び札=200円/良い縁結ぶ守=1000円/本社神苑券=300円/招き猫おみくじ=200円/えんみくじ=300円/良縁祈願板札=500円/恋みくじ=300円/

宇都宮二荒山神社

住所
栃木県宇都宮市馬場通り1丁目1-1
交通
JR宇都宮駅から徒歩15分
料金
見学料=無料/

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