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志布志国家石油備蓄基地とは?~志布志湾に浮かぶ人工島~ 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年5月20日

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志布志国家石油備蓄基地とは?~志布志湾に浮かぶ人工島~

志布志湾の西側にぽっかりと浮かぶ四角形の島・志布志国家石油備蓄基地。
この土地はいつから存在し、またどんな役割を担っているのでしょうか。

国家石油備蓄基地とは

一次エネルギー供給源として石油への依存度が高く、また輸入依存度も高い日本にとって、石油備蓄は重要な課題のひとつです。その課題解決のために備えられているのが、国家石油備蓄基地です。1978(昭和53)年に石油公団(現・独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が国からの委託により石油備蓄を開始し、現在は全国に10カ所の基地があります。

志布志に国家石油備蓄基地ができるまで

1967(昭和42)年、通産省(現・経産省)が志布志(しぶし)湾を共同原油輸入基地建設候補地のひとつとして名前を上げたことをきっかけに、鹿児島県のなかで、志布志湾を含む大隅半島全域を工業地帯とする開発計画が持ち上がります。翌1968(昭和43)年、志布志湾の埋め立て造成と石油備蓄基地、石油コンビナート、軽金属工業などの臨海工業群を形成する計画が鹿児島県から発表されました。

志布志国家石油備蓄基地建設計画は第一次石油危機を契機に本格始動

このような状況のなか、1973(昭和48)年に起こった第一次石油危機により、1975(昭和50)年に民間石油会社の「九十日間備蓄増強計画」、1978(昭和53)年に石油の国家備蓄が始まるなど、国内の石油備蓄体制強化の機運が高まっていきました

1981(昭和56)年、志布志湾に建設可能か判断する調査が始まり、いよいよ備蓄基地建設計画が動き出すこととなります。

志布志国家石油備蓄基地の建設工事着工

建設実現への道のりは困難もたくさんありました。

とくに地域住民などの反対運動は長期間にわたって続きました。鹿児島県が日南(にちなん)海岸国定公園のうち、開発予定地の指定解除要請を出したことから、1971(昭和46)年には「柏原地区石油コンビナート絶対反対期成同盟」、「志布志湾公害反対連絡協議会」が結成されました。

基地計画を含む予算案可決の際には反対派約1000人が鹿児島県の議会議事堂の通路に座り込み、警官隊が出動する騒ぎになりました。その後、国定公園の指定解除をしないことなど、反対派住民の意向を考慮した内容に変化していきました。

漁協へは、志布志湾内にあった東串良漁協、高山町漁協への漁業補償交渉も行われました。

また、埋め立て工事、埋め立て地の存在について、大気や水質、騒音・振動など影響はほとんどない、あるいは軽微であるという環境アセスメントも公表されました。

これらを経て、1984(昭和59)年に石油公団が志布志湾地区への立地を決定し、1985(昭和60)年1月に着工されました。同じタイミングで、志布志石油備蓄株式会社も設立されました。

2021(令和3)年の志布志湾

2021(令和3)年の志布志湾

沖合500mの場所に建設された基地。大型タンカーが入港する様子は見ものです。敷地に緑が豊かなため陸側からタンクははっきりと見えません。

志布志国家石油備蓄基地は自然環境との調和を図りながら操業中

1992(平成4)年、原油タンク20基で操業を開始。翌年にはさらに原油タンク23基(合計43基)が完成しました。出島方式の人工島で196ヘクタールの敷地面積を有し、最大500万㎘、国内消費量約9日分の原油を貯められる施設が全面操業を始めました。

基地は周囲の自然環境との調和を図るため、大規模な植栽を実施。総敷地面積の約24%が、クロマツなどが植えられた緑地で、景観保持にも配慮されています。

2004(平成16)年に基地事業は国の直轄事業となり、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が管理運営を行っています。

現在、鹿児島県内には志布志(東串良町)のほか、いちき串木野市にも備蓄基地があります。県に2カ所の国家石油備蓄基地があるのは、鹿児島県だけです。

鹿児島県内の石油備蓄基地

鹿児島県内の石油備蓄基地

鹿児島県内に国家石油備蓄基地は2カ所、民間の石油備蓄基地として735万㎘の貯油能力のENEOS喜入基地があります。

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Part.1 地図で読み解く鹿児島の大地

・鹿児島を筆頭に九州になぜ火山が多く一直線に並ぶ?
・大正時代に驚くべき大噴火!桜島の形成とメカニズム
・アンモナイトやクビナガリュウなど恐竜時代の化石が獅子島で続々!
・屋久島は巨大な花崗岩の塊を付加体が取り巻いている!
・超巨大火山「喜界カルデラ」に知られざる溶岩ドームが存在!
・薩摩富士・開聞岳や池田湖ほか薩摩半島南東部の火山群の歴史
・テーチ木と奄美の赤黄色土が生む日本を代表する絹織物・大島紬

…などなど鹿児島の自然のポイントを解説。

Part.2 鹿児島を駆け抜ける充実の鉄道網

・明治時代開通の鹿児島線 鹿児島~国分に始まる鉄道史
・新大阪からの直通も走る!九州新幹線鹿児島ルートの全貌
・国内屈指の大幹線として君臨・東京直通も走った鹿児島本線
・日本最長の寝台特急も走った九州東部を縦貫する日豊本線
・「おれんじ食堂」の投入など奮闘する肥薩おれんじ鉄道
・開聞岳ほか薩南の絶景を満喫!JR最南端駅もある指宿枕崎線
・県内唯一の私鉄も今や幻に・鹿児島交通枕崎線&知覧線

…などなど鹿児島の鉄道事情を解説。

Part.3 鹿児島で動いた歴史の瞬間

・鹿児島の古代史総論
・国内最古級の大規模な定住集落跡・上野原遺跡とは?
・政府と薩摩の間に起った軍事的衝突
・日本の南の玄関口・鹿児島に鉄砲やキリスト教が伝来
・九州統一を目指す島津氏VS九州攻めに乗り出した豊臣秀吉
・江戸~薩摩間約1700㎞!最も遠方からの参勤交代
・鹿児島城の築城と薩摩藩独自の外城制度
・薩英戦争が薩摩藩にもたらした近代化と倒幕への方針転換
・戦後アメリカの統治下となった奄美群島が日本復帰

…などなど鹿児島の歴史を徹底解説。

Part.4 鹿児島で育まれた産業や文化

・近代産業の礎を築いた集成館
・日本の金産出量の約9割を占める菱刈鉱山がすごい!
・かつては海軍の航空基地・鹿児島空港開港の歴史
・志布志湾に浮かぶ人工島にある志布志国家石油備蓄基地とは?
・鹿児島臨海工業地帯の造成の変遷をたどる
・ロケット打ち上げ施設は国内唯一・日本で宇宙に一番近い県
・古代より栄えた坊津の港に代わり枕崎が遠洋漁業の拠点に!
・本土が半分がやせたシラス台地なのになぜ全国有数の農業県になれた?

…などなど鹿児島の産業と文化を丁寧に解説。

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