フリーワード検索

トップ > カルチャー >  九州・沖縄 > 鹿児島県 >

枕崎港が古来より栄えた坊津にかわり遠洋漁業の拠点に! 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年5月20日

この記事をシェアしよう!

枕崎港が古来より栄えた坊津にかわり遠洋漁業の拠点に!

古くから中国との交易があった南薩エリア。
なかでも坊津は遣明船の寄港地として栄えていました。
枕崎港が今の賑わいを得るまでの道のりを探ります。

坊津は海上交通の要所だった

坊津(ぼうのつ)とは、坊(ぼう)や泊(とまり)などいくつかの近隣港の総称であり、現在の南さつま市に位置しています。

このエリアのなかでも坊地区は、古来より海上交通の要地でした。奈良時代、唐の高僧・鑑真和上(がんじんわじょう)が日本上陸したのも坊津だったと伝わっています。

坊津港は古くから大陸との交易で賑わった場所

以降、大陸との交易は長きにわたって続き、大陸の多様な情報や品物がこの地に集まり、最先端の場所として賑わいをみせていました。中世には、坊津は倭寇や遣明船の寄港地となり、島津氏の中国・琉球貿易の根拠地となりました。港町には、交易で利益を得た豪商が多く存在していたことがわかっています。

江戸時代、鎖国令が出されたあとにも、坊津の豪商たちは密貿易を続け、藩に利益をもたらしていました。その後、江戸幕府が貿易港を長崎に指定すると一時は衰退しましたが、明治時代にカツオやブリ、サバなど漁業により、ふたたび活気のあるまちへと復活することができました。

同時期、少し離れた場所にあった枕崎(まくらざき)もカツオなどが多く漁獲されるようになり、栄えていきました。

枕崎漁港は遠洋漁業が盛んな主要港

明治時代に漁船の大型化、大正時代に石油発動機を搭載した動力漁船化など、技術が進み、漁業を取り巻く環境に大きな変化が訪れ始めていました。

1921(大正10)年頃、枕崎に製氷会社が設立され、遠洋漁業で漁獲したカツオの鮮度を保ったまま出荷することが可能になりました。これにより、多くの遠洋漁業の漁船が枕崎に寄港するようになっていきました。

枕崎漁港は坊津港に替わって鹿児島県の主要港へ

1909(明治42)年に鹿児島県が枕崎でカツオ節講習会を開き、カツオ節生産技術の習得を支援したこと、さらに1921(大正10)年に鹿児島県がカツオ節伝習所を枕崎に設立したことから、枕崎はカツオ節生産の面でも、ほかから一歩秀でた存在になっていきます。

1931(昭和6)年、南薩鉄道が枕崎まで延長されたこともあと押しとなり、鹿児島県内の主要港としてのポジションは坊津から枕崎へと決定的に移ることとなりました。

枕崎漁港が指定された「特定第3種漁港」とは

1969(昭和44)年、枕崎漁港は全国に13港しかない特定第3種漁港の指定を受けました。特定第3種とは、国内の水産業振興上とくに重要な漁港として定められたもので、遠洋漁業の基地としての役割を果たす存在です。

また、1999(平成11)年7月、漁港単独としては国内で初めて開港(貿易港)の指定をされ、南日本の水産物流拠点漁港となりました。

枕崎漁港で揚がる高品質なカツオ&カツオ節

現在、枕崎漁港では遠洋漁業と沿岸漁業を主として、一本釣り、まき網、はえ縄、刺し網、定置網などの漁獲物が取り扱われています。

近年のカツオ漁業は国際的な資源管理強化のため、厳しい側面も多くなっていますが、2019(令和元)年の枕崎漁港のカツオ水揚げ量は5万3289トンにものぼります。伝統の一本釣り漁法で釣り上げられたカツオは高品質だと全国でも高い評価を得ています。

古くから加工技術の改良に力を注いでいるカツオ節の生産量は、全国総生産量の過半数を占め、全国1位(2018年)です。とくに枕崎産本枯れカツオ節は品質の良さから高値で取引され、全国各地の料理人たちに求められています。

枕崎漁港で揚がる高品質なカツオ&カツオ節

坊津港と枕崎港は10kmほどの距離にあります。坊津は今も豊かな漁場が広がっており、釣り好きに人気のスポットです。

串木野漁港は遠洋マグロはえ縄漁船数日本一

沿岸から遠洋まで黒潮と対馬(つしま)暖流と沿岸水がぶつかる豊かな漁場があり、多彩な魚が水揚げされているいちき串木野(くしきの)市。古くからマグロはえ縄漁業の根拠地として知られている漁業のまちです。

串木野漁港は1951(昭和26)年に第3種漁港の指定を受け、現在は400トンクラスの大型マグロ漁船も出入港しています。市町村別の遠洋マグロはえ縄漁船数日本一を誇り( 2020年)、マイナス60℃の超低温冷凍庫で凍結した新鮮なマグロを全国へ届けています。

『鹿児島のトリセツ』好評発売中!

地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から鹿児島県を分析!
鹿児島県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。鹿児島の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く鹿児島の大地

・鹿児島を筆頭に九州になぜ火山が多く一直線に並ぶ?
・大正時代に驚くべき大噴火!桜島の形成とメカニズム
・アンモナイトやクビナガリュウなど恐竜時代の化石が獅子島で続々!
・屋久島は巨大な花崗岩の塊を付加体が取り巻いている!
・超巨大火山「喜界カルデラ」に知られざる溶岩ドームが存在!
・薩摩富士・開聞岳や池田湖ほか薩摩半島南東部の火山群の歴史
・テーチ木と奄美の赤黄色土が生む日本を代表する絹織物・大島紬

…などなど鹿児島の自然のポイントを解説。

Part.2 鹿児島を駆け抜ける充実の鉄道網

・明治時代開通の鹿児島線 鹿児島~国分に始まる鉄道史
・新大阪からの直通も走る!九州新幹線鹿児島ルートの全貌
・国内屈指の大幹線として君臨・東京直通も走った鹿児島本線
・日本最長の寝台特急も走った九州東部を縦貫する日豊本線
・「おれんじ食堂」の投入など奮闘する肥薩おれんじ鉄道
・開聞岳ほか薩南の絶景を満喫!JR最南端駅もある指宿枕崎線
・県内唯一の私鉄も今や幻に・鹿児島交通枕崎線&知覧線

…などなど鹿児島の鉄道事情を解説。

Part.3 鹿児島で動いた歴史の瞬間

・鹿児島の古代史総論
・国内最古級の大規模な定住集落跡・上野原遺跡とは?
・政府と薩摩の間に起った軍事的衝突
・日本の南の玄関口・鹿児島に鉄砲やキリスト教が伝来
・九州統一を目指す島津氏VS九州攻めに乗り出した豊臣秀吉
・江戸~薩摩間約1700㎞!最も遠方からの参勤交代
・鹿児島城の築城と薩摩藩独自の外城制度
・薩英戦争が薩摩藩にもたらした近代化と倒幕への方針転換
・戦後アメリカの統治下となった奄美群島が日本復帰

…などなど鹿児島の歴史を徹底解説。

Part.4 鹿児島で育まれた産業や文化

・近代産業の礎を築いた集成館
・日本の金産出量の約9割を占める菱刈鉱山がすごい!
・かつては海軍の航空基地・鹿児島空港開港の歴史
・志布志湾に浮かぶ人工島にある志布志国家石油備蓄基地とは?
・鹿児島臨海工業地帯の造成の変遷をたどる
・ロケット打ち上げ施設は国内唯一・日本で宇宙に一番近い県
・古代より栄えた坊津の港に代わり枕崎が遠洋漁業の拠点に!
・本土が半分がやせたシラス台地なのになぜ全国有数の農業県になれた?

…などなど鹿児島の産業と文化を丁寧に解説。

『鹿児島のトリセツ』を購入するならこちら

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  九州・沖縄 > 鹿児島県 >

この記事に関連するタグ