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富山で地震が少ない理由~活断層はあるのに? 立山の地下には「何か」がある!~ 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年6月22日

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富山で地震が少ない理由~活断層はあるのに? 立山の地下には「何か」がある!~

富山県は、日本全国で最も地震が少ない。昔から人々は立山を霊山として信仰してきましたが、その地下には確かに偉大な力が存在しているといいます。立山と地震の関連性を紐解きます。

富山は地震が少ない県として日本一

気象庁のデータによって過去10年間の各都道府県の地震回数を比較すると、富山県が一番少ないのです。「富山は災害が少ない」と富山県民も口をそろえますが、富山県には活断層が存在していることも事実。砺波平野断層帯、庄川断層帯、牛首断層帯があるほか、呉羽山断層帯などは、富山市内の地中に横たわっています。しかしそれにも関わらず、富山はなぜ地震大国・日本において最も地震が少ないのでしょうか。「立山が守ってくれているからだ」という人がいるのは、信仰対象として立山を崇めているからかもしれませんが、実は科学的にも立山が守ってくれていることを裏付ける研究結果があります。

富山で地震が少ない理由は飛騨山脈下にある?

飛騨山脈下には、地震波を減衰させる低速度域が存在する可能性が報告されてきました。たとえば1980年代には、山脈下を通るP波(地震波の一部)が異常に減衰すること、富山・岐阜県側で発生した地震を、山脈を挟んだ長野県で観測すると、地震の検知率が異常に低くなることがすでに示されています。1990年代には、京都大学や富山大学などの共同研究チームが、飛騨山脈をまたいで直線状にある4地点において地下で爆発を起こし、人口の地震波を観測するという実験を実施。その結果、地震波が飛騨山脈を通過する際に非常に小さくなること、さらに、富山平野などに比べて重力の値が小さくなっていることが分かりました。

地震波を減衰させる「マグマだまり」

このような現象は、活火山の周辺では珍しくありません。原因は、火山の地下にある「マグマだまり」。マグマは液体であるため、地震波の一部を通さなかったり、弱めたりする性質があります。また、火山の堆積物など、周囲より密度の小さな物体が地下にあると重力を小さくすることが知られています。

富山で地震を少なくするのは「マグマだまり」だけではない

では、立山周辺で地震の波が弱まるのはすべてこのマグマだまりのおかげなのかというと、100%肯定はできません。なぜなら、地震波を弱める領域が、マグマだまりにしては巨大すぎるからです。金沢大学の研究グループの推定によると、その領域の大きさは最大で東西14km、南北28km、中央部の厚さ約4km、体積およそ1000㎦にも及びます。さらに、観測された重力の値も、通常のマグマの密度では説明できないほど小さいのです。実際、2007年の新潟県中越沖地震で新潟県や長野県の最大震度が6であったのに対し、富山県は震度3と、震度には大きな差が見られました。そのため、立山周辺の地下には、ただのマグマだまりとは別の巨大な何かがあると考えられています。

富山で地震を少なくする巨大な「何か」

この巨大な何かについて現在考えられている有力な説がいくつかあります。

富山で地震が少ない有力説①:水を大量に含んだマグマ

1つ目は水を大量に含んだマグマ。そもそもマグマは液体で、その数%が水なので密度が小さく、地震波の速度を小さくする性質をもっています。さらに、地震波のうちS波は液体中を伝わらない性質があります。もし立山地下の マグマが通常より多くの水分を含んでいるなら、一般的なマグマより地震波を弱める性質が高くてもおかしくありません

富山で地震が少ない有力説②:水を大量に含んだ岩石

2つ目は、水を大量に含んだ無数の細かい穴が開いた岩石。水を含むことでS波が伝わらず、密度が小さくなって地震波が弱まります。周りの岩石とちがって無数の穴が開いているとすれば、その穴から岩石に水分が多く蓄えられます

富山で地震が少ない有力説③:巨大な「何か」

3つ目は、1つ目と2つ目があわさったものです。とにかく立山の地下にある「巨大な何か」によって富山が守られていることは確かで、この正体が判明し、地震研究の進歩に繋がることが期待されています。

富山は地震が少ないが、過去には大地震も起きている

しかし、富山でも過去に大きな地震は起こっていることを忘れてはいけません。天正13(1586)年の天正地震はマグニチュード7.8と大規模で、砺波平野断層での地震も誘発したため、県内震度は6に達したといわれ、越中にあった木舟城では城主が圧死するという出来事がありました。安政5(1858)年の飛越地震では、10の集落で8割以上の家屋が倒壊。決壊した常願寺川が富山平野を襲い、多くの死者を出しました。しかも今後30年以内に地震が起こる確率は、呉羽山断層帯が5%、砺波平野断層帯(東部)が6%で、面積の小さい県としては高い確率だといわれています。地震が少ないことと、地震が起こらないことは全く別です。いざ地震が発生したときは、規模や被害が大きくなる可能性を肝に銘じておきましょう。

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・黒部ダムが大電源を生み出すまで
・崩壊を続ける立山カルデラ
・極東の氷河の南限は立山! 国内初の氷河認定とライチョウ
・神秘の光景! 魚津の蜃気楼と雨晴海岸の気嵐
・2000年前に形成された魚津埋没林
・富山の水がおいしいヒミツ
・立山の地下には「何か」がある! 活断層はあるのに地震が少ない理由
・富山湾のホタルイカはなぜ有名?

…など

Part.2 富山を駆ける充実の交通網

・北陸新幹線開業による光と影
・河川敷にある富山きときと空港
・SDGs未来都市に選定 ライトレールが象徴するまちづくり
・伏木港は神戸港に憧れた男の夢
・立山の観光ルートは1つじゃない? 一般開放が待ち遠しい黒部ルート
・マッターホルンの麓町から着想 低速電気バスEMUと宇奈月温泉
・鉄オタ集結地! 富山県は公共交通の宝庫
・V字峡谷を走るトロッコ電車

…など

Part.3 富山の歴史を深読み!

・江戸時代は鮎だった! 駅販売で広がったます寿し
・富山県成立までの複雑な歴史/越中の英雄・佐々成政の人物像
・焼け野原と化した富山大空襲/富山の遺跡&古墳は個性派ぞろい
・放生津に存在した亡命政権
・越中の伊能忠敬 射水出身の測量家・石黒信由
・越中の黄金郷 加賀藩極秘の「越中の七かね山」
・北陸近代医療の父・黒川良安
・世界遺産は加賀藩の軍事工場 五箇山でおこなわれた塩硝づくり

…など

Part.4 富山で育まれた文化や産業

・「越中おわら節」はなぜ有名?
・財政難を立て直した富山の売薬
・布教のためのテキストだった 曼荼羅から読み解く立山信仰
・秀吉も称えた伝説の刀工・郷義弘
・売薬商人は危ない橋を渡っていた? 薬の密貿易が生んだ昆布文化
・有名な創業者も多く輩出 富山県民は倹約家で働き者
・ジャポニズムの立役者・林忠正
・アニメの聖地が多い富山県
・瑞泉寺再建から始まった井波彫刻

…など

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