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暴れ川・石狩川の治水事業~石狩湾新港地域の開拓と発展~ 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2021年11月24日

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暴れ川・石狩川の治水事業~石狩湾新港地域の開拓と発展~

かつては湿地や泥炭地が広がり、たびたび洪水に見舞われていた石狩川流域。
これを人が住める土地に変えるため、長期にわたる治水事業が行われました。

暴れ川・石狩川流域の発展を支えた治水事業

「イシカリ」はもともとアイヌ語で「大きく巡り回る」を意味する言葉だといわれています。開拓以前の石狩平野には、石狩川が大きく蛇行しながら流れ、泥炭(でいたん)性の湿地が広がっていました。川は雪解けや大雨のたびに氾濫し、水分過多な土壌では農耕もできませんでした。

とはいえ、石狩川は古くから水源、漁場、水運路として重要な役割を果たしており、開拓も石狩川を中心に進められました。北海道総面積の5分の1に相当する流域面積をもち、現在では流域内に北海道の人口の半分以上が住んでいます。流域がここまで発展した背景には、長い年月をかけて進められてきた治水事業があるのです。

石狩川流域の治水事業に取り組むきっかけ

石狩川流域の治水事業に取り組むきっかけ
1:200000「札幌」明治26年測量を元に作成 開拓初期の札幌周辺。石狩川に多くの支流が流れ込み、蛇行しながら平野部を流れています。

明治はじめ、入植者たちは湿地の水を抜きながら着々と石狩川上流方面へ開墾を進めていました。しかし、1898(明治31)年に未曾有の大洪水が起きます。8月下旬から9月初頭にかけて豪雨が相次ぎ、支流の雨竜川(うりゅうがわ)や空知川、夕張川の周辺では、氾濫した水で琵琶湖ふたつぶんほどもある巨大な湖ができたといいます。

農作物はほぼ全滅し、同年に完成したばかりの鉄道も流失。多くの入植者が撤退する事態となりました。これをきっかけとして、道庁内に「北海道治水調査会」が設置されました。

石狩川流域の本格的な治水事業の開始

1910(明治43)年、道庁の策定した「北海道第一期拓殖計画」の一環として、本格的な治水事業が始まります。1918(大正7)年から、川の蛇行部をショートカットして直線化する「捷水路(しょうすいろ)」を建設。1969(昭和44)年までに、石狩川本川全29カ所の捷水路事業が完成しました。

川の長さは約60㎞短縮され、洪水は減少。乏しい国家予算のなかで工夫しながら、築堤や護岸工事も行われました。こうして、石狩川下流の低地も利用が可能になりました。

「治水」と「利水」をめざす多目的ダムの建設

1964(昭和39)年には河川法が改正され、「治水」のほか「利水」が目的に加わりました。桂沢(かつらざわ)ダム(三笠市)など、洪水調節だけでなく水力発電や用水供給の役割も果たす多目的ダムが建設されました。

石狩川流域は石狩湾新港の開発で進化を続ける

1982(昭和57)年には、明治初期から構想されていた石狩湾新港が一部供用開始。1997(平成9)年には韓国釜山港との間に外貿(がいぼう)定期コンテナ航路が開設され、北海道日本海側の国際物流拠点となっています。石狩川流域の進化は、今なお止まりません。

石狩川流域は石狩湾新港の開発で進化を続ける

現在の札幌周辺。石狩川の流路が直線的に整えられ、平野部には市街地が発展しています。

繁栄の面影を残す小樽運河

繁栄の面影を残す小樽運河
現在は観光地として多くの人が訪れる小樽運河

石炭の積出港として1899(明治32)年に開港し、北海道の玄関口として栄えた小樽港。当時、大型船は港に入れなかったため、小舟を使って荷揚げをしていました。小舟が着岸するスペースを増やすため、1923(大正12)年に沖合を埋め立ててつくられたのが小樽運河です。

戦後、埠頭が整備されて大型船が入港できるようになると、運河は役目を終えます。1986(昭和61)年、散策路や街園が整備され、運河は観光スポットとして生まれ変わりました。貿易物資を保管していた 運河沿いの石造り倉庫群は、レストランなどに再利用されています。夜はガス灯がともり、運河と倉庫群を幻想的に照らし出しています。

小樽運河

住所
北海道小樽市港町
交通
JR函館本線小樽駅から徒歩8分
料金
情報なし

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