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男鹿半島の歴史と地形を知るならぐるり1周でジオ巡り!火山の痕跡や地殻変動を体感しよう 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年6月23日

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男鹿半島の歴史と地形を知るならぐるり1周でジオ巡り!火山の痕跡や地殻変動を体感しよう

男鹿半島は東西約28㎞、南北約20㎞とコンパクトでありながら、過去7000万年分の地層をまるごと観察できる見どころがたくさんあります。

男鹿半島の歴史と成り立ち

日本海に向かって突き出した、まるで長靴のような形の男鹿半島(おがはんとう)は、北側と南側にある砂州によって秋田平野に接しています。

そのつけ根には巨大な湖、八郎潟(はちろうがた)がありました。その面積は220㎢にも及び、かつては琵琶湖に次ぐ大きさを誇る湖でしたが、干拓事業が行われて大部分は陸地化されました。その結果、誕生したのが大潟村です。

男鹿半島は、日本列島がまだ大陸と地続きだった時代から現代にいたるまでの地層を観察できる地域として知られています。そのため、男鹿半島と大潟村を含めたエリアは、「半島と干拓が育む大地の物語」というテーマで「男鹿半島・大潟ジオパーク」に認定されています。

【男鹿半島の歴史】火山活動による沈降と隆起

男鹿半島は約2000万年前までは大陸と地続きで、火山活動も活発でした。その後に起こった地殻変動により、約1500万年前には日本海が形成されました。当時の男鹿半島は浅い海の底にあり、その頃に堆積した地層や化石を西黒沢(にしくろさわ)海岸で見ることができます。

その後は沈降が進み、男鹿半島は約1000万年前には2000m以上の深海の底に沈みました。その時の地層は鵜ノ崎(うのさき)海岸に露出しています。

やがて沈降から隆起に変わり陸地化しました。今から約1万年前には本州と地続きになりましたが、温暖化にともなう海進により島へと変貌。そして、再び本州とつながり、真ん中に八郎潟が海跡湖(かいせきこ)として残りました。

男鹿半島の成り立ち

男鹿半島の成り立ち
男鹿半島・大潟ジオパーク推進協議会作成パンフレットを元に作成

日本海が形成され、本州と地続きになった男鹿半島は、約7000年前頃になると、海面が2〜3m高くなり、海水が陸地の奥深くに浸入して、島となりました。そして、本州とつながるも、中央に湖が残りました。

【男鹿半島の地質】入道崎と寒風山

ちなみに、男鹿半島でもっとも古い岩石が観察できるのは入道崎(にゅうどうさき)周辺です。このあたりは約7000万年前の火山噴出物がまだ熱いうちに積み重なって固まった溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)が観察できます。「鬼の俵ころがし」では約9000万年前の基盤となる花崗岩(かこうがん)も見られます。

また、ここにはかつて増えすぎた鹿を落としたことで名づけられたという「鹿落(ししお)とし」という断崖絶壁があります。鹿落としで見られる岩石は溶結凝灰岩です。この溶結凝灰岩が砕けて波にもまれて丸い石となったものは、男鹿半島名物「石焼料理」に使われています。

半島の付け根部分に当たる寒風山(かんぷうざん)は約3万年以上前から数度の噴火を繰り返しながらできた火山で、現在は3つの火口があります。

男鹿半島地質図

男鹿半島地質図
産業技術総合研究所地質調査総合センターの「20万分の1日本シームレス地質図V2」より

火山噴火によってできた地形のうち、もっとも古い時代にできたのは入道崎で、もっとも新しいものは寒風山です。(黒色の線は断層)

【男鹿半島の地形】西部の男鹿目潟火山群

また男鹿半島西部には、一ノ目潟(いちのめがた)、二ノ目潟三ノ目潟と呼ばれる丸い湖があります。これは上昇してきたマグマが地表付近の地下水に触れてマグマ水蒸気爆発を起こし、地面を吹き飛ばしてできた、マールと呼ばれる湖です。

すぐ近くにある戸賀湾は、周りを火山噴出物が取りまいていて、タフリングと呼ばれます。侵食によって海とつながって現在の形になりました。

これらをまとめて男鹿目潟火山群と呼びます。とくに一ノ目潟は直径約600m、水深約45mにもなり、男鹿市の水源となっています。

男鹿半島のジオMAP

男鹿半島のジオMAP

①入道崎

男鹿半島でもっとも古い岩石からなる岬。「鬼の俵ころがし」では、約9000万年前に形成され基盤となっている花崗岩が見られ、鬼が俵をころがした跡のように見える玄武岩の岩脈もあります。

溶結凝灰岩(約7000万年前に形成)でできた険しい断崖絶壁の「鹿落とし」などもあります。鹿落とし周辺で波にもまれて丸くなった石は、男鹿半島名物の「石焼料理」に使われています。

入道崎

住所
秋田県男鹿市北浦入道崎
交通
JR男鹿線羽立駅から秋田中央交通湯本駐在所前行きバスで43分、終点で男鹿市単独運行バス入道崎行き(一部予約制)に乗り換えて10分、終点下車すぐ
料金
灯台=大人300円、小学生以下無料/

②西黒沢海岸

西黒沢層という地層の模式地。日本海ができた頃の約1500万年前に形成された地層で、石灰質の砂岩や礫岩からなります。この地層は温暖で浅い海底で堆積したもので、さまざまな生物の化石が見つかっています。謎が多い約1300万年前に絶滅したほ乳類であるパレオパラドキシアのあごの化石も見つかっています。

西黒沢漁港の西側に広がる「こはま海岸」では、弘法大師にまつわる伝説が残る縞石と呼ばれる美しい縞模様の小石が砂浜一面に広がっています。

③男鹿目潟(おがめがた)火山群

一ノ目潟、二ノ目潟、三ノ目潟は、上昇してきた地下のマグマが地表付近の地下水に触れて、マグマ水蒸気爆発を起こしてできた湖(マール)です。一ノ目潟からは地球深部でできたカンラン岩が見つかっています。

戸賀湾はタフリングと呼ばれる火山地形で、侵食により海とつながりました。八望台にある展望台からは、一ノ目潟、二ノ目潟、戸賀湾を望むことができます。

④男鹿水族館GAO前の海岸

男鹿水族館GAO周辺の海岸には、鮮やかな小豆色の岩石が広がっています。これは約3000万年前に流れ出した溶岩が固まってできたもの。そして小豆色の岩石の間から、色のちがう岩石が帯状に伸びてきているのを確認できます。

これは地下深くのマグマが岩石の割れ目に沿って貫入しながら固まったもので岩脈と呼ばれます。ちなみに、GAOは秋田県唯一の水族館。男鹿市の魚ハタハタをはじめ、男鹿半島沿岸に生息する魚類について学ぶことができます。

④男鹿水族館GAO前の海岸
男鹿水族館 GAO

⑤潮瀬崎(しおせざき)

男鹿半島南西側の突端部。約3000万年前の火山噴出物からできた岩石(火山礫凝灰岩)が立ち並んでいます。この岩石は波風にさらされながら長い時間をかけて削られて、さまざまな奇岩を形づくっていきました。

なかでも有名なのはゴジラ岩。ほかにもゴジラのしっぽ岩、カメ岩、ガメラ岩、双子岩、帆掛島など、ユニークな岩が多数あります。また海底に生息していた生物のはった跡や棲みかの化石も見ることができます。

⑥安田海岸(あんでんかいがん)

海岸に沿って切り立った海食崖が800m以上続きます。この露頭は「地層の天然博物館」とも称され、約60万年前から8万年前にかけての地層が順番に堆積し、西側ほど古く傾斜も大きくなっています。

陸と海、それぞれで形成された地層が並び、その中には石炭になりかけた植物の層(亜炭層)もあります。また、白頭火山(中国・北朝鮮国境)や阿蘇火山、洞爺火山など巨大噴火により遠方から飛来した広域火山灰が挟まれています。

⑦寒風山(かんぷうざん)

車で手軽にアクセスできる山でありながら、見どころがたくさんあるジオサイト。約3万年以上前に活動がはじまった火山で何度も噴火を繰り返しながら標高355mまで大きくなりました。

現在は第1火口、第2火口、妻恋峠火口の3つの火口があります。板場の台からは、第1火口から溶岩が流れ下った様子がはっきり見られます。また、粘り気の強い溶岩が地上へと押し上げられて冷え固まりながら崩れた「鬼の隠れ里」などの火山地形を観察できます。第2火口には風穴もあります。

寒風山

住所
秋田県男鹿市脇本富永
交通
JR男鹿線羽立駅からタクシーで15分
料金
展望台=大人550円、小人(小・中・高校生)270円/(団体15名以上は大人440円、小人220円)

⑧館山崎(たてやまざき)

グリーンタフと呼ばれる色鮮やかな緑色凝灰岩を観察できます。これは約2100万年前の激しい火山活動にともなう火山噴出物が沈降とともに地下深くに潜り、熱水などの影響を受けて変質し、緑色になったもの。濡れると緑色がより美しくなるため、雨の日の観察もお勧めです。

近くには、「ろうそく岩」や「牛岩(べごいわ)」などの奇岩があります。落石のおそれがあるので、観察時、露頭には近づきすぎないようにしましょう。

⑨鵜ノ崎海岸(うのさきかいがん)

日本の地質構造100選。このあたりは1000万年前には2000m以上の深海の底にあり、地殻変動に伴う隆起と波の侵食によって、遠浅の海岸が広がる今の姿となりました。当時の海に生息していた魚の化石が見つかることもあります。

潮が大きく引いたときには、海底の平らな岩盤が姿を現します。この岩盤は「鬼の洗濯板」とも呼ばれ、地層の褶曲がはっきりと分かります。また、春先の大潮の時期には、日本の奇岩100景になっている「小豆岩」も観察可能です。

鵜ノ崎海岸

住所
秋田県男鹿市船川港女川
交通
JR男鹿線男鹿駅からタクシーで15分
料金
情報なし

⑩生鼻崎(おいばなさき)

上空からとらえた生鼻崎。国道101号、生鼻崎トンネルが通る巨大な露頭で、秋田市内からも見えます。茶色っぽい砂の層と白っぽい泥の層が交互に重なって、みごとな縞模様となっています。高さは100mほどあり、戦国時代には秋田を支配していた安東氏が拠点としてこの上に山城を築きました。

現在は脇本城跡として国指定史跡に指定されています。城跡には市指定天然記念物「天神様の細葉の椿」もあります。

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秋田県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。秋田の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く秋田の大地

・秋田県の地形総論
・火山の痕跡や地殻変動を体感!男鹿半島ぐるり1周ジオ巡り
・世界最大の二重カルデラ湖「十和田湖」はどうやって生まれた?
・地下にかつての雄物川の流路!? 秋田平野が形成の驚きのしくみ
・黒川や雄物川流域に油田続々!秋田ではどうして油が採れる!?
・ブナ林が発達し海成段丘が縁取る 起伏が激しい白神山地の形成史
・美しき田園・象潟の九十九島は鳥海山の山体崩壊でできた
・大館・鷹巣・鹿角盆地と能代平野 米代川流域に形成された地形の謎

Part.2 秋田を駆ける充実の交通網

・全国2番目のミニ新幹線、E6系「こまち」が走る秋田新幹線
・一部レール幅を変えて新幹線もいく!福島~青森を結ぶ幹線・奥羽本線
・新津~秋田を結ぶ日本海側の動脈 寝台特急「日本海」も走った羽越本線
・米代川に沿って走る本州横断線 スイッチバックも見事な花輪線
・東能代~川部を結ぶ絶景ローカル線 「リゾートしらかみ」が走る五能線
・鷹巣と角館を結ぶ旧国鉄角館線 秋田内陸縦貫鉄道は見どころ満載!
・釜石~横手~本荘を結ぶ大計画も!? 由利高原鉄道鳥海山ろく線がすごい
・小坂鉱山の鉱石輸送のため開業 旅客輸送も担った幻の小坂鉄道/昭和40年代に消えたローカル私鉄 羽後交通の雄勝線・横荘線とは?

Part.3 秋田の歴史を深読み!

・秋田の古代史総論
・大型住居跡やストーン・サークルなど秋田県の縄文遺跡がおもしろい!
・出羽柵が遷置・整備されて秋田城と呼ばれるようになった
・奥羽を支配した出羽の豪族・清原氏が後三年の役により滅亡
・秋田の中世史総論
・八郎潟東岸を拠点とする大河兼任が鎌倉幕府に対して反乱を起こす
・秋田の近世史総論
・佐竹氏の入部以降、鉱山開発が進み鉱業が秋田藩の財政を支えた
・古来より栄えていた舟運に加え街道が整備され交易が盛んに!
・近現代史総論/奥羽越列藩同盟を離脱し新政府側へ 秋田藩の戊辰戦争と戦後のゆくえ
・日本最後の空襲となった土崎空襲 どうして土崎港が狙われたのか?

Part.4 秋田で育まれた産業や文化

・全国屈指の産油量だった秋田県がシェールオイルの開発・商業生産へ
・秋田港、船川港、能代港 三つの重要港湾が海上輸送網の拠点
・国内有数の米どころ・秋田県は農業産出額の5割以上を米が占める
・かつては国内2位の広さを誇る湖!? 八郎潟の干拓と大潟村の歴史
・古来より建材や工芸品に用いられた秋田杉の活用と保存の取り組み
・日本のロケット発祥の地は秋田県の道川海岸だった!
・地熱発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が加速
・県内各地で伝承されている民俗芸能 国指定重要無形民俗文化財は国内最多!

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