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昇仙峡形成の歴史~日本一の造形美を織り成す渓谷は何でできている?~

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年7月13日

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昇仙峡形成の歴史~日本一の造形美を織り成す渓谷は何でできている?~

まるで水墨画のように美しい景観から、「日本一の渓谷美」と謳われる昇仙峡。そのほとんどを構成しているのが、マグマが冷えて固まった花崗岩という岩石です。

昇仙峡は全国的な紅葉の名所

昇仙峡は甲府市北部にある渓谷で、奥秩父山塊を中心に山梨県、埼玉県、長野県、東京都にまたがる秩父多摩甲斐国立公園の南西に位置します。

紅葉の季節には、全国から多くの観光客が訪れる景勝地で、その美しさから1923(大正12)年に国の名勝、1953(昭和28)年には特別名勝に指定されています。特別名勝としての正式な名称は「御嶽昇仙峡(みたけしょうせんきょう)」です。

昇仙峡の渓谷美は花崗岩によるもの

全長約5kmにわたる渓谷は、断崖や奇巨岩、渓谷を縫うように流れる荒川の清流、樹木などがダイナミックな絶景を織り成し、谷沿いの遊歩道を歩けば、高さ180mの巨岩がそびえ立つ覚円峰(かくえんぼう)や、その麓にある落差30mの仙娥滝(せんがたき)のほか、大砲やオットセイのなどの形をした奇岩が多数あり、見る人を楽しませてくれます。

また、渓谷から弥三郎岳(やさぶろうたけ)山頂までの間を結ぶロープウェイもあり、山頂では南アルプスの美しい山々を見ることもできます。

これらの造形美をつくり出しているのは、マグマが冷えて固まった火成岩の一種である花崗岩です。

昇仙峡の名所

昇仙峡の名所

昇仙峡ロープウェイ
昇仙峡の麓と弥三郎岳山頂を結ぶ片道約5分ほどの観光ロープウェイです。

覚円峰
昇仙峡を代表するスポット。平安時代に天台宗の僧である覚円がこの頂上で修行したことから名付けられました。

長潭橋(ながとろばし)
大正14年に竣工したアーチ橋。昇仙峡の玄関口として親しまれています。

仙娥滝
中国神話で月に行った嫦じょう娥が という女性から名付けられた滝。昇仙峡の最奥部に位置します。

石門
大きな花崗岩に囲まれた天然の石門で遊歩道上にあります。

昇仙峡形成の歴史との成り立ち

昇仙峡形成の歴史との成り立ち
※「山梨県地質概要図」を元に作成

山梨県の地質概要図を見ると、昇仙峡一帯は花崗岩でできていることがわかります。

その成り立ちは約1500万年前、日本列島がアジア大陸から離れ、現在の位置まで移動していたころに遡ります。静岡県の伊豆半島はかつて、本州からはるか南洋にあった海底火山でしたが、太平洋プレートがフィリピン海プレートに潜り込むことによって、少しずつ北上を続けました。陸地の火山島となった伊豆は、やがてプレートの移動により日本列島に衝突します。

衝突によって本州側が隆起することで、奥秩父山塊や丹沢山地が生まれるのですが、その頃、昇仙峡を含むエリアの地下ではマグマの活動が盛んになり、甲府盆地北部を覆っていた四万十(しまんと)帯や、日本列島への衝突により繋がった南からの海洋性地殻によって、この地に花崗岩マグマが貫入したものと思われます。

こうしてできた花崗岩体が、荒川の急流によって削られ、姿を現したのが昇仙峡です。悠久の時の流れの中で起きた火山活動や河川による浸食が、日本有数の景勝地を生み出したのです。

昇仙峡は水晶の産地である

昇仙峡を構成する要素として、もうひとつ特筆すべきものが水晶です。水晶は花崗岩とともに産出されることが多い鉱物ですが、きれいな六角形の結晶は、温度など特定条件が揃わないと形成されにくいため、日本における水晶の産出地はそれほど多くありません。

昇仙峡奥地の金峰山(きんぽうさん)周辺には、優れた結晶が産出される水晶鉱床がいくつもあり、水晶の発見が水源信仰と結びつき、近隣の金櫻神社の御神宝となるなど、当地の信仰と深く結びついていきました

また水晶研磨から派生した技術は、この地に多くの産業をもたらしました。こうした自然、歴史、文化によるストーリー性が高く評価され、昇仙峡は2020(令和2)年、文化庁が定める日本遺産に認定されています。

御岳昇仙峡

住所
山梨県甲府市平瀬町~川窪町
交通
JR甲府駅から山梨交通昇仙峡行きバスで48分(冬期は昇仙峡口で昇仙峡渓谷循環乗合バス<予約制>に乗り換え)、昇仙峡滝上下車、徒歩5分
料金
情報なし

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Part.1 地図で読み解く山梨の大地

・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」

…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網

・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号

…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間

・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”

…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。

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