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大陸移動説の根拠を3年後に発表したウェゲナー

1915年、ウェゲナーは『大陸と海洋の起源』という論文を発表します。

そこで、南米大陸東側のブラジル周辺の海岸線とアフリカ大陸南西部のギニア湾の海岸線の地形が、パズルのピースのようにぴったりと組み合わされることを挙げ、「かつてふたつの大陸はつながっており、その後、漂流・分離した」という説を提唱しました。

大陸移動説の根拠とは

さらにウェゲナーは、古生代ペルム紀前期(約2億9890万~2億7100万年前)に生息していた爬虫類(はちゅうるい)であるメソサウルスの化石が、南米大陸の東部とアフリカ大陸の西部でしか見つからないことに着目。

「遠く離れたふたつの大陸でメソサウルスの化石が見つかるのは,ふたつの大陸が分離し,化石の分布域を隔てたからだ」と唱えました。同様に、ペルム紀の裸子植物であるグロソプテリス化石の分布域も大陸移動説の根拠としたのです。

ウェゲナーが提唱した大陸移動の経過

「約3億年前には超大陸を形成したパンゲアは、ペルム紀に入って南北に分裂し始め、やがて北側のローレシア大陸南側のゴンドワナ大陸となり、2大陸のあいだにはテチス海が広がっていた。2大陸はさらに分裂と移動を続け、第四紀には、現在の大陸と海洋の関係がおよそ成立した。」とウェゲナーは考えていました。

ウェゲナーの大陸移動説を図で解説

※アルフレート・ウェゲナー『大陸と海洋の期限』(第4版、1929年)をもとに作成

約3億年前には超大陸を形成したパンゲアは、ペルム紀に入って南北に分裂し始め、やがて北側のローレシア大陸と南側のゴンドワナ大陸となり、2大陸のあいだにはテチス海が広がっていました。

2大陸はさらに分裂と移動を続け、第四紀には、現在の大陸と海洋の関係がおよそ成立しました。

大陸移動説 V.S. 陸橋説

以前から、遠く離れている南アメリカ、アフリカ、インド、オーストラリアの古生代以前の動植物の化石がよく似ていることは知られていました。しかし、当時の研究者らは、古生代などには大陸のあいだに生物が移動できる陸地があったと考える「陸橋説」で説明していたのです。

大陸を移動させる原動力が不明のまま…

これに対してウェゲナーは、「マントルより密度が小さく浮いている陸地が、大規模に沈んで海洋になることはない」と陸橋説を批判します。

加えて、「古生代の後期までパンゲアという超大陸が存在し、中生代になって分裂をし始め、それが分離・漂流して現在のような大陸の分布になった」と主張しました。

ウェゲナーの主張は、その大部分が正しいものでしたが、当時の人たちにはなかなか受け入れられませんでした。その大きな理由は、大陸を移動させるほどの原動力がなんなのかわからないことにありました。

大陸移動説の原動力を探し続けるウェゲナー

そこでウェゲナーは、地球上のすべての物体を極から赤道に向けて動かす「離極力」(りきょくよく)や、西に向けて動かす「西進力」が大陸を動かすのではないかと考えました。

しかし、それらは大陸を動かすほど大きな力ではないことが示され、ウェゲナーは落胆したのです。

大陸移動説は古磁気学の発展によって証明される

さらにウェゲナーは、「大陸移動の原動力」を探すグリーンランドの調査中、悪天候に見舞われ遭難、死亡してしまいます。
その死後、大陸移動説はほとんど忘れ去られていましたが、1950年代、古磁気学の発展によって、彼の仮説は見直されることになりました。

大昔の岩石に残されている磁気を調べると、その岩石ができたとき、当時の磁極からどれくらい離れた位置にあったかを知ることができます。過去の地磁気の北極の位置を明らかにすることで、ウェゲナーの主張どおり、大陸が移動していることが明らかになったのです。

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第2章「日本海拡大と列島形成」
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収録図 日本列島3D鳥瞰図/日本列島地質図

【監修者】高橋 典嗣(たかはし のりつぐ)

東京都生まれ。
武蔵野大学教育学部・大学院教育学研究科特任教授。
明星大学、神奈川工科大学、電気通信大学非常勤講師。千葉大学大学院博士後期課程で公共研究を専攻。
太陽コロナ、地球接近小惑星、スペースデブリなど、地球を取り巻く宇宙環境と理科教育の研究に取り組んでいる。
日本スペースガード協会元理事長。日本学術会議天文学国際共同観測専門委員、日本学術観測団団長(ザンビア皆既日食)、学校科目「地学」関連学会協議会議長、天文教育普及研究会副会長、いわき天体観測所理事などを歴任。
著書に『地球進化46億年』(ワニブックス)、『138億年の宇宙絶景図鑑』(KKベストセラーズ)、『巨大隕石から地球を守れ』(少年写真新聞社)、共著に『子どもの地球探検隊』(千葉日報社)、『大隕石衝突の現実』(ニュートンプレス)、監修に『なぜ飛行機は空を飛べるの? 説明できない? カガクの不思議』(マイクロマガジン社)など多数。

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