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大阪の空港は伊丹・関空・八尾空港!なぜ狭い大阪に3つも空港がある? 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2021年11月26日

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大阪の空港は伊丹・関空・八尾空港!なぜ狭い大阪に3つも空港がある?

多数の空港を持つ都道府県は、土地が広大か離島のあるところに限られています。
ではなぜ、大阪府に3つも空港があるのでしょうか? その秘密に迫ります。

大阪の空港は大阪国際空港・関西国際空港・八尾空港の3つ

現在、3つ以上の空港を持つ都道府県は、大阪府以外では北海道、東京都、島根県、長崎県、鹿児島県と沖縄県です。北海道は広大な面積が空港の多い理由であり、その他は離島に設置されているためです。

ですが、大阪府には離島もなく面積も全国で2番目に狭くなっています。それでも関西国際空港(関空)、大阪国際空港(伊丹空港)、八尾空港が存在します。

関空と伊丹空港、そして兵庫県の神戸空港は関西エアポートによって一体運営され、「関西三空港」とも総称されます。これらの空港のうち、関空は泉佐野市(いずみさのし)、田尻町(たじりちょう)、泉南(せんなん)市に立地し、伊丹空港は豊中市(とよなかし)、池田市(いけだし)、兵庫県伊丹市(いたみし)、神戸空港は、もちろん神戸市にあります。そして、関空と伊丹空港は空港法上の拠点空港、神戸空港は地方管理空港に分類されます。

つまり、大阪府には2つの拠点空港があることになりますが、これらに比べて知名度の低いのが八尾空港です。八尾市の南西部に位置する八尾空港は「その他の空港」に分類され、定期便の就航もありません。運営と管理は国土交通大臣で、関空・伊丹のように会社管理ではありません。これら「大阪三空港」の特徴を紹介しましょう。

大阪の空港①:大阪国際空港(伊丹空港)とは

1930年代ごろから世界の航空需要は高まり、日本でも国際空港の開設が進められました。そして1939年に開設されたのが大阪第二飛行場であり、これが伊丹空港の前身です。

大阪にはすでに木津川(きづがわ)飛行場(大正区)ありましたが、周辺にある工場の煤煙(ばいえん)で視界が悪くなるなどの欠点がありました。

そこで大阪市は新たな国際飛行場の建設を計画し、兵庫県も神津村(かみつむら)(現・伊丹市)での建設を計画しました。ちなみに神津村が選ばれたのは、田畑が広がる土地なので見晴らしがよく、利用客として見込める富裕層が多く暮らすエリアに近いなどの理由からです。

両方の計画を知った国は、大阪市の空港を大阪第一飛行場とし、兵庫県の空港を予備の大阪第二飛行場とします。しかし第一飛行場の工事が遅れ、計画は白紙撤回となります。そのため、第二飛行場が国際空港として利用されることとなったのです。

第二飛行場は戦時中に軍用の伊丹飛行場となり、終戦後は接収されました。その際、「伊丹エアベース」と呼ばれたことから、伊丹空港の通称が定着しました。

伊丹空港には国際線がないのに国際空港と呼ばれ続けるのはなぜ?

1958年に接収が解除されて大阪空港として再開港し、翌年の国際線開設で大阪国際空港と名称を変えました。

関空が開港してからは、伊丹空港に国際線はなくなりました。それでも国際空港の名を残しているのは、「国際」の文字を外すことで拠点空港のイメージが低下することに危機感を抱いた地元自治体からの要望によるものです。

さらに、国際便を復活させた東京国際空港(羽田空港)のように、地元自治体は国際線の復活も希望しています。

境界線が入り乱れる伊丹空港周辺

境界線が入り乱れる伊丹空港周辺

大阪国際空港の南ターミナル付近には池田市の飛び地に囲まれた豊中市の飛び地があり、豊中市の中に府県境を越えた伊丹市の飛び地があるという、複雑な境界線になっています。

大阪の空港②:関西国際空港(関空)とは

大阪の空港②:関西国際空港(関空)とは

1960年代ごろ、ジェット旅客機の大型化や海外旅行の自由化により航空需要の大幅な増加が見込まれました。

ですが、伊丹空港では対応が難しいとの判断が下され、1963年には関西での第2国際空港建設が閣議了承されます。これを受けて運輸省(現・国土交通省)が基本調査を開始し、淡路島(あわじしま)、明石(あかし)沖、ポートアイランド沖、泉南(せんなん)沖などが候補地となりました。

関空が海上に建設されたのはなぜ?

新空港が海上に計画された理由は、公害問題です。ベッドタウン化した伊丹空港周辺では、騒音や排気ガスに悩まされる住民が夜間運航の差止めを求めて国を提訴しています。そのために、5㎞以上の沖合での建設が必須となりますが、新空港の候補地でも激しい反対運動が起こりました。それでも、国の担当者による地道な説得や、北部に比べて遅れていた大阪南部への開発が見込まれると、地元の自治体も反対決議を取り下げました。

関空の開港と経営状態

1984年、日本初の会社管理空港とするため関西国際空港株式会社が設立されます。1987年の空港島護岸築造を皮切りに工事が進められ、1991年に空港島の造成工事は完了。3年後に開港しました。

しかし、利便性の悪さやバブル経済の崩壊による不況で需要は伸びずに赤字が続き、2004年に累積損失が約2000億円に達しました。政府は経営再建を実施、政府補給金による公的資金注入も行い、翌年には黒字化を達成しました。

その後、LCCの参入や海外からのインバウンド効果もあり、利用客は増加。2012年には新関西国際空港株式会社が設立されて伊丹空港と経営統合し、3年後には「関西エアポート」が設立され、関西3空港が一体運営されることとなりました。

関西国際空港発着のLCC路線

関西国際空港発着のLCC路線
関西エアポートwebガイドを元に作成

開港以来長く低迷していた関西国際空港ですが、LCCの乗り入れによって活性化しました。東アジア、東南アジアへの路線はインバウンドを支えました。

ただし、2020年になると新型コロナウイルスの影響で路線の多くは赤字に転落しています。

大阪の空港③:八尾空港とは

1938年(1933年、1934年説もあり)に開港した八尾空港は、操縦士の育成が目的の阪神飛行学校をはじまりとしています。この民間の学校が軍備増強を理由に陸軍に接収され、1940年に大正(たいしょう)飛行場に改称。名前の由来は、当時の地名である中河内郡大正村からです。

陸軍は周辺の土地を強制的に買収して敷地を拡張。記録によると用地費などの建設予算は750万円で、大阪市が70万円、府が150万円を支出。民間の寄付で430万円をまかない、陸軍は100万円を負担しました。つまり、予算のほとんどは民間の資金によるものでした。

敷地面積は287haで、コンクリートで舗装された1600mの主要滑走路と1300mの副滑走路の幅はいずれも100m。これは当時の国内最大規模であり、「東洋一の滑走路」とも呼ばれていました。

八尾空港の戦時中~現在までの紆余曲折

ですが、戦時中は格好の攻撃目標となったため、コンクリート製の飛行機専用防空壕(掩体壕(えんたいごう)が設けられました。現在も空港近くの垣内地区には、当時の掩体壕が残されています。

1945年、終戦によってアメリカ軍に接収され、7年後には阪神飛行場と改称。1954年に返還されています。返還後間もなくは定期航路も運行されていましたが、現在は廃止。航空宣伝や写真測量などの事業用や、小型航空機による自家用、また陸上自衛隊や消防、警察の航空隊によって利用されています。

東西に長い靱公園は空港だった

大阪市西区にある「靭(うつぼ)公園」は南北約150mなのに対し、東西は約800mという細長い形をしています。そんな敷地になったのは、飛行場として開発されたからです。大阪大空襲で焼け野原になった土地を、連合軍総司令部(GHQ)が接収し、連合軍の常用飛行場としました。

その後、1952年に返還され、戦災復興土地区画整理事業によって3年後に靱公園が開園。1959年にはなにわ筋が敷設され、公園の間を縦断する現在のような形になったのです。

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