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海岸段丘が発達した南房総と元禄型関東地震の関係 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年6月22日

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海岸段丘が発達した南房総と元禄型関東地震の関係

南房総市千倉町から館山市にかけた沿岸部には何段もの階段状地形、海岸段丘が発達しています。
これらは大地震による隆起の痕跡にほかなりません。

海岸段丘からわかること

房総半島南部、とくに南房総市千倉町(ちくらちょう)から館山市にかけた海岸沿いには、階段状の地形である海岸段丘(だんきゅう)が広く分布しています。段丘は高位から順に、沼Ⅰ~Ⅳ面の4つに大別され、全体を沼面群といいます。そしてこの沼面群は、房総半島付近で大地震が繰り返し起こったことを物語ります。

なお、段丘の最高地点は、約7200年前の地震で干上がったとされる沼Ⅰ面で、標高約30m。計算すると年間平均で約4㎜の隆起であり、日本最速級の隆起速度を誇ります。

海岸段丘のできるメカニズム

地球表面には、何枚もの分厚く固いプレート(岩盤)があります。このプレートの運動を元に、さまざまな地学現象を説明するのがプレートテクトニクスという理論です。

房総半島南部沖の海底には、相模湾から南東方向に続く水深1000~2000mの相模トラフと呼ばれる溝があります。そこは、フィリピン海プレートが北米プレートの下に沈み込むプレート境界で、プレート同士のひずみが限界に達すると一気に岩盤が破壊され、元に戻ろうとして大地が激しく揺れます。

このように、ひずみエネルギーが解放されて起こるのが、海溝型の大地震です。同時に、北米プレートのはね上げによって地盤が隆起。こうして、近くの海岸では海面付近に広がる岩棚(波食棚)や水面下に広がる平坦面(海食台)が隆起して、新しい大地が誕生します。これが、海岸段丘のできるメカニズムです。

元禄型関東地震の痕跡から見る地震周期

房総半島南部は、関東大震災を引き起こした1923(大正12)年の大正関東地震(マグニチュード7.9)で最大2m、1703(元禄(げんろく)16)年の元禄地震(マグニュチュード8.2)では最大約6mも隆起しています。さらに、沿岸部の地形や地質の中に残された巨大地震の痕跡から、過去には大正型・元禄型の2タイプの地震が繰り返し起こっていたと見られています。

そのなか、元禄型地震は約2000~2700年間隔で発生すると評価してきました。

 

元禄型関東地震の周期と地震予測の見直し

ところが、2017(平成29)年5月、東京大学と産業技術総合研究所の合同チームが、相模トラフ沈み込み帯では1703年の元禄地震と似たタイプの地震が、過去6300年間に少なくとも5回、500~2800年間隔で起こったとする研究成果を発表。

これは、最短周期を約4分の1に短縮し、地震の発生間隔にもばらつきがあることを示すもので、将来の地震予測に見直しを迫る内容となりました。

段丘での緻密な研究内容

研究チームは、半島南部の千倉地域(南房総市)の各段丘面で緻密なボーリング調査を実施し、状態のよい化石を数多く得ることに成功。不確かさをともなう露頭などでの調査の欠点を克服しました。

また、加速器質量分析(AMS)により、段丘の形成年代を高精度に分析。形成年代は、古いものから約6300年前、約5800年前、約3000年前、約2200年前、西暦1703年(元禄関東地震)と、沼Ⅳ面以外すべての年代値が従来値よりも若くシフトする結果となりました。

加えて、50㎝という高分解能航空レーザー測量を行って、段丘地形をより正確に把握。その結果、従来はひとつの段丘と考えられていた沼Ⅰ面に「もうひとつの段丘面」があることもわかっています。

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