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館山の赤山地下壕で鏡ヶ浦層を立体的に見る!

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2021年12月5日

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館山の赤山地下壕で鏡ヶ浦層を立体的に見る!

軍都・館山に残された海軍の赤山地下壕。
そこは、貴重な戦争遺産としてだけでなく、鏡ヶ浦層という地層を立体的に観察できる貴重な場です。

赤山地下壕がある宮城地区

海上自衛隊館山基地の南側、館山市宮城地区に残る戦争遺産、赤山地下壕(あかやまちかごう)をご存じでしょうか。

宮城地区はそもそも、関東大震災(1923年)で隆起したことで、海軍が新設を進めていた海上基地の建設地として好条件の地形となりました。そこで、近くの頼忠寺山(らいちゅうじやま)(のちの赤山)を削った土砂などで沿岸部を埋め立て、1930(昭和5)年に海上基地が完成。館山海軍航空隊(館空)が置かれました。館空は、西風を強く受ける立地条件から「陸の空母」とも呼ばれ、空母パイロット養成の最前線となりました。

赤山地下壕とは

戦時下、東京湾口を望む館山には続々と軍事施設がつくられ、町自体が軍都、要塞基地の様相を呈しました。そうしたなか、館空のすぐ南、赤山の岩体のなかにつくられたのが、総延長2㎞にもおよぶとされる赤山地下壕です。詳細な資料が現存せず、「昭和10年代のはじめに、ひそかに建設が始まった」(館山市HP)という証言こそありますが定かではありません。

おそらくは、太平洋戦争開戦後、本土決戦を意識し、海軍の専門工作部隊が密かにつくったものでしょう。航空機の開発・実験施設、通信関係部隊などが置かれていたと推測されます。

赤山地下壕跡付近

赤山地下壕跡付近

赤山地下壕跡は、かつての館山海軍航空隊(館空)、現在の海上自衛隊館山基地のすぐ南に位置します。地下壕は、文字どおり「赤山」という小高い山の内部(地下)につくられました。

赤山地下壕の公開と見どころ

赤山の岩体は、掘りやすく崩れにくい地質で、地下壕の大部分は素掘りのまま使用され、今も壁面にはツルハシの跡が残ります。地下壕跡の一部は、2004(平成16)年から公開(有料)されており、受付でヘルメットや懐中電灯を借りることができます。「休壕」日もあるので、詳細は館山市HP等を確認してください。

この赤山地下壕の見どころのひとつが、ずばり地層です

赤山地下壕の平面図

赤山地下壕の平面図

赤山地下壕の概略図。赤色の線は行き止まり(通り抜け不可)、緑色の線は壕内に走っている断層を示しています。

両サイドの壁面を見ると、断層が左手前から右奥へ走っているのがわかります。

壕内の突き当たり部分では、緩やかに傾斜している鏡ヶ浦層のつながりを、立体的に直視できます。

きれいに掘られた通路では、3方向に地層を見ることが可能。

入り組んだ場所では、より立体的に地層を観察できます。

赤山地下壕で見ることができる鏡ヶ浦層とは

赤山の南は白山に続いており、この地域で最下部の西岬層(にしざきそう)が白山をつくっています。西岬層は約990万~418万年前に堆積した海成の灰白色をしたシルト岩で、薄い細粒砕屑岩類を挟んでいます。館山市の川名から洲崎にかけた海岸が模式地です。

そして、西岬層の北側は鏡ヶ浦層(かがみがうらそう)と断層で接し、西岬層の上に鏡ヶ浦層が断片的に載っています。鏡ヶ浦層は、西岬層と同時期に堆積した海成の砕屑岩類に火山灰やスコリアが挟まった砂泥互層で、模式地は赤山です。

赤山地下壕から見る鏡ヶ浦層

地下壕の鏡ヶ浦層は、風化の影響を受けておらず新鮮です。単斜構造(およそ同一方向に傾斜している地質構造)の美しい砂泥互層を見ることができ、部屋(通路)ごとにその形(模様)が変わるのがおもしろいです。どの地層がどこへつながっているか、目で追っていくとわかります。

一般的な崖の観察とは違って、壕内は、両サイドと天井に地層が連続しており、地層が立体的に堆積していることを体感できるというわけです。赤山地下壕跡は、貴重な戦争遺産というだけでなく、地層を立体的に学べる場でもあります。

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