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「流鉄」はみりん輸送から始まった~千葉で愛されるローカル私鉄の始まりと今~ 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2021年12月7日

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「流鉄」はみりん輸送から始まった~千葉で愛されるローカル私鉄の始まりと今~

千葉北西部を走るローカル私鉄・流鉄は、もともと名産の白みりんを運ぶ町民鉄道として誕生。
それが今も地域密着鉄道として発展し続けています。

流鉄はほかにはない魅力を持つミニ私鉄

馬橋~流山間の5.7㎞を走るミニ私鉄・流鉄流山線は、東京近郊にもかかわらず、ほかの路線にはない魅力をもっています。何と全6駅に自動改札がなく、すべて有人駅。列車が到着すると改札口で駅員が迎えてくれます。PASMOやSuicaは使用できませんが、フレンドリーでじつに温かいのです。

駅には券売機もありますが、窓口では硬券きっぷも売られています。ホームの時刻表も手書きでローカルムードたっぷり。

カラフルな2両編成の電車がのんびりと走り、子どもから学生、通勤客、買い物客、お年寄りまで、広く利用者に親しまれています。

流鉄流山線の路線図

流鉄流山線の路線図

馬橋駅(松戸市)と流山駅(流山市)の5.7㎞を6駅で結ぶ、地域密着のローカル線。かつて流山駅からはキッコーマンの工場へ引込線(1969年廃止)があり、戦中には平和台(旧・赤城台)駅から陸軍糧秣本廠流山出張所(糧秣の保管・供給基地)へ引込線が敷かれていました。

流鉄の役目は旅客と「白みりん」の輸送だった

流鉄の歴史は大正時代に遡ります。流山は醸造の街として古くから栄え、醤油や酒、味噌のほか「白みりん」の醸造に成功しました。江戸川の豊かな水と良質な米で製造された白みりんはたちまち名産品となったのです。

常磐線が開通すると、その利便性を痛感した流山町民が出資して流山軽便鉄道が発足します。こうして、白みりんを主体とした醸造品と旅客を輸送するため、1916(大正5)年3月、馬橋~流山間が開業しました。

町民鉄道の同線は、開業時から流山の生活に定着し、貨物・旅客の輸送量を増やしていきました。昭和初期には流山駅構内にキッコーマン工場への引込線も完成し、貨物輸送はそれまでの舟運や新たな自動車輸送にも対抗して大健闘します。

のちに流山鉄道、総武流山電鉄と名を変え、電化も行われました。田畑の多かった沿線ですが、昭和40年代から急速にベッドタウン化し、白みりんの貨物輸送も廃止され、流山線は通勤路線として発展していったのです。

流鉄の車両愛称は公募したもの

電化後の車両は大手私鉄などの中古車両で賄いましたが、1979(昭和54)年の1200形導入から「流星」「流馬」「銀河」と編成ごとに車体色を変え、愛称を付けました。現在の5000形では「流星」「あかぎ」「若葉」「なの花」「さくら」の5編成が活躍していますが、愛称はすべて沿線の利用者から公募したもので、公募による命名は1979年から続いています。各列車の先頭には愛称のヘッドマークがあり、とても誇らしげです。

流鉄が積極的に行う地域活性化

この頃から利用者と鉄道が急速に親密になり、社名も2008(平成20)年8月、なじみやすい流鉄に改められました。起源の町民鉄道に回帰したように、地域と鉄道の一体感がより強まりました。

地域活性化も率先して行い、例年、名店による食メニューが味わえ、音楽ライブも行う「流鉄BEER電車」を運行。また、終点の流山駅に利用者の交流スペースを設けるなど、流鉄は親しまれる鉄道となる努力を惜しみません。

近年は、流山駅がアニメ『普通の女子高生が【ろこどる】やってみた。』の聖地として注目され、流鉄は同作とコラボレーション。散策マップを配布するなどしファンに人気です。

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・火山がない県なのに鴨川に海底火山が流出?
・繰り返される巨大地震の爪痕・南房総に発達する海岸段丘
・鋸山の絶景をつくった「房州石」とはどんな石?

・・・などなど、千葉のダイナミックな自然の成り立ちを解説。

【注目2】古代から中世、江戸時代、近現代の千葉の歴史を一望

・ふたつの大型環状貝塚からなる巨大な加曾利貝塚の謎
・32基もの古墳がつくられた富津の内裏塚古墳群とは?
・鴨川市小湊がゆかりの地、高僧・日蓮の波乱に満ちた生涯
・坂東太郎の流れを変えた徳川家康の利根川東遷
・日本地図を完成させた佐原村の名主・伊能忠敬の素顔
・廃藩置県で26県もあった千葉県域をどうやって統一?

・・・などなど、千葉の歴史のポイントがわかる。

【注目3】千葉を駆け巡る鉄道網をはじめ、千葉で育まれた文化や産業を紹介

・民鉄最高速160キロでスカイライナーが走れる理由
・成田空港線の高架橋は成田新幹線の遺構だった
・登山鉄道も計画された小湊を目指した小湊鉄道
・かつて千葉市の中心駅は京成千葉駅だった!?

・・・などなど、千葉を走る鉄道網の秘密に迫る。

また、銚子港が水揚げ量日本一を誇る理由や明治期最先端の土木技術が光る海の要塞・第二海堡とは?、皐月賞や有馬記念の舞台として知られるJRA中山競馬場の誕生秘話・・・など、千葉県にまつわる文化・産業の面白話もたっぷりと紹介します。

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