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「都営白鬚東アパート」は東京の防災目的で建てられた巨大防火壁だった! 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2021年12月22日

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「都営白鬚東アパート」は東京の防災目的で建てられた巨大防火壁だった!

東京にある数々の都営アパートのなかには、防災の観点から建てられたものがあることをご存じでしょうか。
隅田川に面して一列に並ぶように連なる建物群。
災害から地域住民を守る「防災意識」の詰まった都営アパートから学べることがたくさんあります。

「都営白鬚東アパート」建設の経緯

建設までの経緯は1960年代まで遡ります。昭和 39(1964)年の新潟地震、昭和43(1968)年 の十勝沖地震の発生によって、東京においても防災拠点整備の必要性を主張する声が高まりました。その当時、首都圏で震災が発生した場合に特に甚大な被害が予想されたのが江東区でした。

白鬚東地区が整備対象地区に選ばれた理由

昭和44(1969)年に「江東防災6拠点構想」という、延焼を食い止めつつ避難広場として機能する6地区の整備計画が発表されます。そのひとつが、墨田区の最北端に位置し、荒川や隅田川に囲まれた「白鬚東(しらひげひがし)地区」です。

この地区を含む江東デルタ地帯は、海抜ゼロメートル地帯が多く、地盤も弱くなっています。さらに木造家屋や工場が密集しているため、災害危険度が高かったのです。

都営白鬚東アパートの完成は東京の防災拠点となる

震災時に大きな被害が予想される墨田区堤通2丁目の大規模工場跡地を東京都が買収し、都の「防災拠点」構想のもと、再開発を計画。そして、出来上がったのが、都営白鬚東アパートです。

都営白鬚東アパートの構造

白鬚東アパートは地上13階、高さ40mで、1号棟から18号棟までがひとつにつながって、全長 1.2kmの巨大な防火壁の役割を果たすよう配置されています。地下も造られている各建物の地下1階部分には水槽などを設けて建物の転倒防止策に。

また、地盤の良い洪積層まで杭を打ち込んであり、関東大震災レベルの震度に対応できるといわれる強度をもたせています。地下には、緊急時の地下通路や発電設備も設置されています。

都営白鬚東アパートの避難場所としての役割

建物群の内側には、約9haの避難場所を設置し、災害時には約8万人を収容できます。避難した人たちが約1週間過ごすのに必要な飲料水、食料、医薬品なども備蓄。

白鬚東アパートの内側ばかりでなく、隅田川との間にある東白鬚公園は、災害時には広域避難場所にもなり、約8万人が避難可能です。

都営白鬚東アパートの特筆すべき防災設備とは

そして、何よりも白鬚東アパートの特色といえるのが、アパート自体に付設されたさまざまな防災設備です。

建物が巨大な防火壁となるにあたって、災害時には建物の棟と棟をつなぐゲートやシャッターが閉じ、各ベランダに備え付けられた防火シャッターが下ります。屋上には巨大貯水タンク、各所に放水銃が設置されており、火災時の火の粉や熱風、延焼から身を守る役割を担います。

都営白鬚東アパートの現在と自主防災対策

防災の観点から建設された都営白鬚東アパートの計画は、当初から住民参加方式で進められ、昭和57(1982)年、地権者および地元を中心にした人々によって入居が開始されました。

そして、それから40年近くが経過した現在では、都営住宅であることから住民の高齢化が進んでいます。住民のなかには、災害時の要援護者も少なくありません。当該地区の自治会による「防災まちづくり活動」は、阪神・淡路大震災をきっかけに転機を迎えたといます。

防災訓練や関連設備の点検、実態調査などを行って、自治会は2003年に防災を専任とする委員会を組織。自助・共助の精神による自主防災対策に取り組んでいます。

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・学生たちは何を求めて闘ったのか? 東大紛争と安田講堂事件
・三島由紀夫、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決
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【見どころ】Part.4 東京で生まれた産業・文化

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・大衆文化の頂点に立った江戸歌舞伎
・開国要求への抵抗!「お台場」の由来は幕末にあった
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・神田から始まった日本の近代下水道モデル
・都営白鬚東アパートは巨大防火壁だった!
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