マルタ 〜 地中海に浮かぶ島国の魅力
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まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2020年4月13日

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マルタ 〜 地中海に浮かぶ島国の魅力

地中海に浮かぶ小国マルタ。「名前は聞いたことがあるけど、国名だったの?」と思う方も少なくないのでは? 美しい海に囲まれた群島からなるマルタは、暖かい地中海気候で、リラックスした雰囲気に溢れ、また、興味深い歴史・文化や、世界遺産に登録されている古代遺跡など多くの見どころがあることから、ヨーロッパでは人気の旅行先です。



どんな国?

正式な国名はマルタ共和国。人口わずか50万人足らずの小国です。主な島は、マルタ島、ゴゾ島、コミノ島で、マルタ島が本島です。首都はバレッタ。公用語はマルタ語と英語で、通貨はユーロです。冬が温暖なことから、北ヨーロッパの人々の冬の保養地の一つにもなっています。首都バレッタには、多くのクルーズ船が寄航します。海から見たバレッタの風景は、バレッタの典型的な絵葉書写真です。

Valletta, Malta, by Paul Stephenson, CC BY

ちょっと歴史をまとめると

マルタはミニ国家ですが、古代からの長い歴史を持っています。地理的に重要な位置にあることから、紀元前10世紀頃から地中海貿易の要所でした。ローマ時代を経て、9世紀からイスラム帝国の支配下にありましたが、16世紀に「マルタ騎士団」がオスマン帝国との戦いに勝利し、今でも「マルタ騎士団」の名は、マルタの代名詞のように残っています。近代では、戦略上の理由から、スペイン、フランス、イギリスの支配下にもありました。現在のマルタ共和国は、1974年に、イギリスから独立・建国されました。

Valletta, by dr_zoidberg, CC BY-SA

マルタ名物のヴィンテージ・バス

マルタ島観光は、公共のバスを使用して十分回ることができます。ロンドンの赤いダブルデッカー・バスがロンドン名物のように、マルタの黄色いレトロなヴィンテージ・バスは、マルタ名物で、私が、マルタに行ってみたいと思ったきっかけでした!

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by vic_burton, CC BY-SA

残念なことに、長年親しまれた黄色いバスは、老朽化のため新しいバスに替わり、公共のバス路線では見られなくなりました。しかし、マルタ人が誇るヴィンテージ・バスは、今でも、ツーリスト・アトラクション(ツアー、パーティーなど)に使用されています!

by captain.orange, CC BY-ND

訪れたい4つの世界遺産

マルタには合計7つの世界遺産サイトがあり、そのうち4つがマルタ島にあります。3つは、先史時代からのテンプル史跡で、ハジャール・イム(Hagar Qim)、イムナイドラ(Mnajdra)、タルシーン (Tarxien)です。

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ハジャール・イム(Hagar Qim), by westher, CC BY

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イムナイドラ(Mnajdra), by zoonabar, CC BY

巨大石で建造されたテンプル跡は、とても神秘的で、不思議なパワーを感じさせます。長い歴史が空気をも重くし、肌にまとわりつくようなマジカルな感覚です。神秘の古代遺跡に見せられた人は、国立考古学博物館もおススメです。「マルタ・ヴィーナス」など貴重な発掘品を見ることができます。

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Venus of Malta , by gron51, CC BY-ND

首都バレッタは、16世紀に建設された要塞の街で、街全体が世界遺産に登録されています。先に述べた誉れ高い「マルタ騎士団」の団長バレッタ氏にちなんで名づけられました。美しい海岸沿いにあり、港を見下ろす丘にあります。

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バレッタ, by Bs0u10e0, CC BY-SA

狭い路地が続き、庭園、歴史的なモニュメント、建物、カフェ、ショップなどが多数あり、タイムスリップしたような散策ができます。いくつかのビューポイントがあり、そこから港を見渡すと、遠い異国を訪れた旅情を感じます。

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バレッタ, by hobbs_luton, CC BY-SA

タルシーン (Tarxien), by dr_zoidberg, CC BY-SA

マルタと言えば「マルタ騎士団」

マルタを世界に知らしめているのが「マルタ騎士団」です。カトリックの修道会組織で、今でも、医療団体として活動しています。(マルタは、カトリック国です。)

聖ヨハネス大聖堂(St.John’s Co-Cathedral)は、マルタ騎士団の大聖堂で、付属の美術館と共に必見です。大理石の床下には騎士達が埋葬されており、8つの礼拝堂、主祭壇、カラヴァッジォの迫力のある絵画など圧巻です。騎士達の埋葬地であることや、血なまぐさい歴史的出来事が生じた場所であるせいか、どこか生々しい雰囲気が漂っています。

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St.John’s Co-Cathedral, by Shepard4711, CC BY-SA

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St.John’s Co-Cathedral, by garybembridge, CC BY

騎士団長の宮殿(Grand Master’s palace)は、廊下に並べられた騎士達の甲冑が、戦いを彷彿とさせるような強烈な印象を与えます。今では、政府機関が置かれている建物ですが、騎士団が活躍した当時が偲ばれます。

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Grand Master’s Palace, by Andrew Girdwood, CC BY

高貴な城壁の街「イムディーナ」

4000年の歴史を持つムディーナ(Mdina)は、マルタのキリスト教の始まりの地です。文化・宗教の中心であり、また、歴来、統治者や、高貴な家族の居住地で、今でも、優雅で瀟洒な邸宅が見られます。

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Mdina, by M.Peinado, CC BY-SA

「静寂の街」とも称される城壁の街は、アラブや中東を彷彿とさせるはちみつ色の町並みで、独特な雰囲気に包まれています。地下墓地、聖パウロの洞窟など、考古学的な見所も多数あります。

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Mdina, by M.Peinado, CC BY-SA

Mdina, by imagea.org, CC BY-ND

絵のような漁村「マルサシュロック」

マルタにはルッツ(Luzzu)と呼ばれる伝統的な漁船があります。青、赤、黄色などの鮮やかな色に塗られ、船首には2つの目が描かれています。マルサシュロック(Marsaxlokk)という漁村を、是非、訪れてみてください。太陽が輝く海に浮かぶルッツは、マルタならではの風景です。

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by ahisgett, CC BY

美しい光景を楽しめるだけでなく、新鮮な魚、衣類、革製品、お土産店などを扱うたくさんの露店が出ています。週末は、大きなマーケットも開かれます。ショッピングや散策も楽しいですが、是非、新鮮な魚料理も味わってください!

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by ahisgett, CC BY

Marsaxlokk, by sheggy, CC BY

浸りたいマルタの美しい自然

マルタの乾いた土地、サボテンなどの植物、丘、海の風景は、かなり異国的です。なんと言っても最大の魅力は、美しい海。1年を通して太陽が輝く地中海気候は、海と自然を楽しむチャンスを多分に与えてくれます。奇岩や、美しい自然の造形を観察できる洞窟、紺碧の海と息を呑む景観のブルー・グロット(Blue Grotto)、灼熱のゴールデン・ビーチ、天候が許せば島を一周するクルージングなどもおススメです。

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Comino Boat View, by Martin Lopatka, CC BY-SA

内陸部にも、マルタの伝統的な生活を感じさせる村や町があります。マルタの多様性と、長い歴史を随所に感じることができます。

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by Bernt Rostad, CC BY

Blue Grotto, Malta, by Bs0u10e0, CC BY-SA

味わいたいマルタ料理

マルタの伝統料理は、イタリア(シシリア地方)や北アフリカの影響を受けた地中海料理と言われます。季節ごとのローカル素材を用いたカラフルで濃厚な味わい料理です。中でも、日本人にはとても珍しいのが「うさぎ肉」のシチューではないでしょうか。羊肉のようなワイルドな味わいです。マルタのパンやペィストリーも、是非、試してみてください。地元のパン屋さんもとても魅力的ですよ。

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by kriskaer, CC BY-ND

Rabbit, by UnorthodoxY, CC BY-SA

マルタのお土産

島のいたるところで開かれるマーケットは、ツーリストにも興味深いです。多様な品物が販売されていますが、レース編み、テーブルクロスなどの手工芸品が目を引きます。値段は、交渉次第ですので、おじけず値段交渉してみてください!マーケット商品ではないですが、美しいマルタ・ガラスも素敵です。ギャラリーを巡る感じで、いろんなお店を回ってみるのも楽しいです。

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Mdina Glass, by Ingrid Sinclair, CC BY

もう一つの注目点は「マルタ・クロス(十字)」 マルタ騎士団の組織のシンボルとしても使われていますが、マルタのシンボルでもあり、アクセサリーや、刺繍編みのパターンとしてよく見かけます。

Marsaxlokk market, by Shepard4711, CC BY-SA

ヨーロッパ連合の加盟国で、英語が公用語の一つでもあることから、旅行しやすいマルタ。美しい海と太陽を楽しむだけのホリディも可能ですが、長く、豊かな、そして、時には苦難の歴史が奥深さを感じさせ、さらに、ヨーロッパの多様性を実感できる国です。一味違うヨーロッパ旅行を考えている方、是非、参考になさって下さい!


筆者:まっぷるトラベルガイド編集部

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