【東京観光】家族におすすめ!体感できる厳選レジャースポット!
東京観光はスポットの多さに目移りしてしまうもの。そこで子供も大人も楽しめる体感・体験型のレジャースポットを厳選して紹介します。見て・触れた・感じることで五感が刺激され、東京観光の思い出はより楽しいもの...
お寺での座禅や写経体験など外国人観光客向けのお寺体験が人気ですが、ディープな町 中野にはお坊さんとコミュニケーションができる坊主バーがあります。日本人にも人気の坊主バーに、イタリア出身の記者 ラウラが取材してきました。
坊主バーのマスター釈源光さん
釈源光さんは浄土真宗(日本の仏教の宗旨で一番多い割合を占める)のお坊さんです。坊主バーのマスターとしてもう13年もお店をやっています。小さくて静かなお店に座って、釈源光さんが落ち着いた低い声で語ってくださいました。
坊主バーの入り口にお地蔵様がいます
「私が仏教の勉強を始めたのは27歳で、当時フランスに住んでいました。25年も勉強しましたが、実は最初のころはお坊さんになりたくなかったのです。」と釈源光さんは語り始めました。
釈源光さんのお話によると、昔はお寺が学校でもあったし、仏教は生活の殆ど全てに関わっていました。明治に入り、西欧の影響で近代的な学校の仕組みなどができて、人々の生活の中でお坊さんの役割は徐々に薄れて行きました。そして、お寺は観光で訪れるスポットになったり、役割として残ったのはお葬式や法事だけになっていきました。今やお寺の財源は主に「お葬式」と「観光」しか無くなってしまったのです。
オリジナルラベルのお酒のボトル
「しかし、私はお釈迦様の教えは本当にそうだったのだろうか?と疑問に感じました。仏教の主な役割は、もはや生きた人々を導くことではなくなっていっています。」
「私はお坊さんになることが葬式や観光としての役割を果たすだけならば、そういう意味でのお坊さんにはなりたくなかったのです。私はお坊さんの基本の役割は、人々の間にいて、人生相談に乗ったりどんな生き方をすればいいのかというアドバイスをしてあげることではないかと考えています。」
「最初の坊主バーは大阪の瑞興寺のお坊さんたちによって開かれました。それを知った私は弟子にしてくださいと頼みまして、坊主バーで働き始めたのです。」
「私はとってはようやく本来の仏教に近い場所を見つけたと思いました。そして、坊主バーでついにお坊さんとして働き始めたわけですが、その時はもう50歳になっていました。」
人々の近くで人々に寄り添う場として釈源光さんはバーをやっています
2004年、釈源光さんは東京の中野に坊主バーをのれん分けしてもらいオープンさせました。それから13年間、彼は坊主バーを訪れる人々の悩みごとに耳を傾けて、人生アドバイスをしたり仏教について伝えたりしてきました。
「ここには若い方も来てくれます。気軽に入って一杯飲んで、現実や悩みからつかの間離れることができる。そんな風に気軽に入りやすい場所になっています。」
お店には心地よいボーカルジャズがかかっています。お客さんは小さいカウンターに座ります。なごみとしてお線香をたいてくれます。
左:お経 右:メニュー
メニューは経本によく似ています。仏教に関係する名前のオリジナルカクテルがメニューに載っています。
「極楽浄土 (ごくらくじょうど)」や「諸行無常( しょぎょうむじょう)」という名前のカクテルもあります。
あまり真面目ではない名前のカクテルもあります。
たとえば、「生臭坊主(なまぐさぼうず)」や「助平坊主(エロぼうず)」なども!
「人々が緊張しないで入れるようにちょっとしたユーモアも入れるようにしています」と釈源光さん。
私も坊主バーに入った時は少し緊張しましたが、雰囲気が分かってくると落ち着いて坊主バーの世界を楽しむことができました。
私が頼んだ1つ目のスペシャルカクテルは「一期一会」(いちごいちえ)。私の大好きな日本語の表現です。お味はイチゴ味・・・。
2つめのカクテルは「色即是空」。仏教哲学の根幹。ビジュアルが印象的なカクテルです。
仏教に関係する漫画や本を自由に読むことができます。
ずっと読んでみたかった漫画が見つかりました!「聖 セイント☆おにいさん」。
漫画の作者は坊主バーにも訪れたことがあるそうです。
バーにはお酒に囲まれている阿弥陀如来がいます。
お客さんが時々「あのボトルにどんな酒がはいっていますか?」と聞いてしまうそうです。
Vow’sという名前は、ブッダの4つの「誓願」を英語にするとFour Great「Vows」になるところからつけています。「あと、Vow’sが少し坊主に聞こえるところもあって、坊主バーという名前にしています」と釈源光さんが笑いながら話してくれました。
沙門祐也さん、お店の手伝いをしているお坊さんです
坊主バーには、浄土真宗以外にも様々な宗派のお坊さんがお店で働いているそうです。私がこの日お会いしたのは、真言宗の沙門祐也さんです。
沙門祐也さんは仏教、歴史、文化などの知識を持っています。サンスクリットの言葉とか、奈良お鹿の由来、日本の文化が影響した仏教など、たくさんのことについて話してくれました。
「お互いに勉強になります」沙門祐也さんが言いました、「バーのお客さまが私たちの話を聞いて学びになることもあるでしょうし、私もまたお客さまから学ばせていただいています。」
坊主バーは中野ブロードウェイに近くある特殊なビル「ワールド会館」にあります。ワールド会館の中にはカラオケバーやロックバー、スナックバーなど他の店もお店あります。
ビルの荒廃的な雰囲気と坊主バーの安心感のギャップが不思議な場所です。まるで、別の世界に入るような感覚に。
2014年には姉妹バー「尼僧バー」が高円寺でオープンしました。坊主バーと尼僧バー、どちらもぜひ、訪れてみてください。
VOW’S BAR | 坊主バー
住所:東京都中野区東京都中野区中野5-55-6 ワールド会館2F(MAP)
営業時間:月曜~土曜19:00~3:00 (L.O. 2:30)
日曜 18:30~24:30 (L.O. 24:00)
定休日:火曜日、年末年始
執筆兼翻訳者 Laura
東京在住のイタリア人。ガイドブックに載っていない穴場スポットを探したり写真を撮ること、そして音楽はパンク・ロックが大好きです。お酒を飲んだり、三線を弾くことも好きです。
※この記事の出典元は「ザクザク深掘り ニッポン旅ガイドDiGJAPAN!」です。掲載した内容は、2017年3月の取材・調査によるものです。飲食店メニュー、商品内容や料金ほか各種データが変更されたり、季節による変動や臨時休業などでご利用できない場合があります。
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