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登山アプリ「山と高原地図ホーダイ」の使い方徹底解説!計画作成・現地での行動もサポート

山と高原地図 編集部

更新日: 2022年12月5日

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登山アプリ「山と高原地図ホーダイ」の使い方徹底解説!計画作成・現地での行動もサポート

地図を読み、計画を立てて、現地でナビゲーションをする。これらは登山に必要な技術であり、楽しみでもあります。ですが、読図には経験が必要であり、こと初心者にとっては敷居が高いと言わざるを得ません。

そこで活用したいのが登山アプリ。その中でも『山と高原地図 ホーダイ』には、計画立案から現地でのナビゲーションまで強力なサポート機能が備わっています。この記事では、山と高原地図ホーダイでの登山計画の作成方法と、現地での使い方を詳しく解説します。

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地図の必要性

地図の必要性
写真:123RF

登山において、地図の必要性は今も昔も変わりません。地図とコンパスを用意し、読図技術を磨くのは大切なことです。

しかし、なぜそれほどまでに地図が重要なのでしょうか。それは、山岳遭難の原因1位が『道迷い』であるからです。

遭難原因 第1位は道迷い

※グラフは「警察庁 平成30年における山岳遭難の概況」より作成
※死者・行方不明者、負傷者、無事救出者は遭難者の内訳

警察庁によると、平成30年度の山岳遭難者数は3,129人であり、統計史上最多を記録しました。

その中でも道迷い遭難の割合は37.9%と、原因別の第1位を占めています。記録によると平成29年度では40.2%、平成28年度では38.0%と、毎年約4割の人が道迷いで遭難しています。

※グラフは「警察庁 平成30年における山岳遭難の概況」より作成

山岳遭難といえばアルプスのような険しい山での事故を想像することでしょう。しかし、身近な山にこそ、危険が潜んでいるのです。

基本的に、高山は登山道が限られています。対して低山は、登山道以外に送電線の保守道や林業の作業道などが縦横に走っており、それだけ道を間違える可能性が高まります。決して低山だからと侮ってはいけません。

 

遭難を防ぐために、事前の準備を

遭難を防ぐために、事前の準備を
写真:123RF

登山を安全に楽しむためには、事前の準備が欠かせません。山の危険を認識し、実力にあった山を選び、計画を立てることが大切です。

具体的には、山の難易度やルートの所要時間、特別な装備が必要かなど、検討する要素は多岐に渡ります。その他、季節による日の入り時刻の違いや積雪の可能性、当日の天候、交通アクセスなども綿密に調べておきましょう。

そして、安全のためには計画に沿った登山の励行が大切です。そのためにもっとも大切なこと。それは、現在地を見失わないことです。

現在地を知れば迷わない、疲れない

現在地を知れば迷わない、疲れない
写真:123RF

現在地を確認できれば、先の状況を予測できます。

地図に慣れれば等高線を読み、この先登るのか下るのか、アップダウンを読み取ることもできます。現在地を知ることでペース配分も確認でき、地図から先の状況が分かれば、これほど心強いことはありません。体力的にも精神的にも疲労を抑えられ、道に迷う可能性も限りなく低くなるでしょう。

2006年10月31日、兵庫県神戸市の六甲山系で、男性遭難者が24日ぶりに発見される事故がありました。直接の遭難原因は崖からの転落でしたが、その発端は道迷いにあったのです。当初、男性はロープウエイでの下山予定でしたが、歩いて下る途中で道に迷い、滑落しました。(※)

※参考:山岳読図ナヴィゲーション大全 山と渓谷社

 

写真:123RF

道迷いからの滑落は、遭難の典型的なパターンと言えるでしょう。正しいルートから逸脱し、下山を急いで谷へ下ると、急峻な崖や滝に阻まれて身動きがとれなくなるのです。

このような事故を防ぐためには、地図を使ったナビゲーションが欠かせません。ですが、案内標識のない登山道で、地図とコンパスから現在地を特定できる自身はありますか?

現在地を見失ってから地図を広げても手遅れです。だからこそ、電波の届かない山中でも使え、簡単に現在地を教えてくれる登山アプリを使うべきなのです。

登山計画や、現在地の特定にアプリは必須

登山計画や、現在地の特定にアプリは必須
写真:123RF

登山やハイキングには危険が潜んでいることを忘れてはなりません。

安心・安全な登山のためには、事前の計画が大切です。そこで、計画作りにも登山アプリを活用してみましょう。

山と高原地図ホーダイには、登山計画を作成する強力な機能が備わっています。

 

登山アプリ「山と高原地図 ホーダイ」とは?

登山アプリ「山と高原地図 ホーダイ」とは?

山と高原地図とは、昭文社が刊行する登山地図の定番のことであり、50年以上の歴史を誇るロングセラー地図です。

この紙地図をスマホで見られるだけでなく、登山ルート・計画の作成や現在地の確認ができるアプリが「山と高原地図」アプリです。

 

アプリには2種類あり、月額500円(税込)で山と高原地図61エリア分の全国の登山コース情報をダウンロードし放題の「山と高原地図 ホーダイ」と、1冊(1エリア)分の登山コース情報を都度課金してダウンロードできる「山と高原地図(コンテンツ課金版)」があります。コンテンツ課金版のDL料金は1回650円(税込)です。

 

2つのアプリには機能にも差があり、「山と高原地図 ホーダイ」には登山計画作成機能があります。「山と高原地図(コンテンツ課金版)」にこの機能はありません。

 

月額版の方が1回DL料金よりも安く、機能も充実しているため、アプリを利用するなら「山と高原地図 ホーダイ」をおすすめします。

アプリ名称、アプリのアイコンも似ているので、間違わないように注意しましょう。

 

アプリアイコン
アプリ名称山と高原地図山と高原地図ホーダイ
料金DL1回につき650円(税込)月額500円(税込)
※初回DLから7日間は無料
DLできる登山地図1回のDLで山と高原地図1エリア分をDL可能山と高原地図全61エリア分をDLし放題
登山計画作成機能×
ダウンロード

 

 

アプリで登山計画が作成できる

アプリで登山計画が作成できる

「山と高原地図ホーダイ」では、山と高原地図から全国の登山コースを選び、計画を作成できます。

 

登山ルートの難易度がひと目で分かる赤い実線(整備された登山道)や赤い破線(経験者向きの難路)、コースタイムをはじめ、登山者に必要な情報が分かりやすく記載され、誰でも登山道の状況を確認できます。

それらの情報は毎年の実踏調査で更新され、新しい情報を確認できる信頼のおける地図なのです。

 

さらに、山と高原地図ホーダイは所要時間の自動計算や休憩時間の編集もできる優れもの。地図は事前にスマートフォンに保存するので、圏外でも問題ありません。次項から、実際にアプリを使って登山計画を作成してみましょう。

「山と高原地図ホーダイ」を使った登山計画の作成方法

ここでの説明画面はiPhone版ですが、Android版でも大差はありません。まずは「山と高原地図ホーダイ」をダウンロードしましょう。

 

 

アプリを開き、画面左上『メニュー』をタップします。

 

山と高原地図ホーダイの全ての設定は、このメニュー画面から行います。ダウンロードしたての状態では機能制限がかかっていますので、『ログイン・定期購読』より購読の手続きを済ませてください。

『定期購読を行う』をタップし、会員登録を済ませたら『メニュー→地図リスト』をタップします。

この時点では、地図リストに何もありません。

続いて『ダウンロード』をタップし、目的地の地図をダウンロードします。

ダウンロードを終えたら『メニュー→地図リスト』からダウンロード済みの地図を確認しましょう。『地図を見る』をタップし、地図を表示してください。

画面上に山と高原地図が表示されました。まずはこの状態で、行きたい場所やルートの目星を付けておくとよいでしょう。

難易度や注記を確認しながら、おおよそのルートを選んでおきます。

大まかなルートが定まったら、画面右上『計画作成』をタップしてください。

登山道が赤色からオレンジ色に変わりました。この状態で、目的地やルートを選択し、計画を作成できます。はじめにスタート地点を決定しましょう。

スタート地点をタップすると上記のようなダイアログが表示され、『OK』でスタート地点が設定されます。

スタート地点を決定すると、その場所がグリーンに反転しました。ここから目的地までのルートをタップしていきます。

オレンジ色のポイントをタップすると、最適なルートを自動で算出してくれます。

登りルートが完成したら下山ルートを決定し、最後にゴール地点をタップします。

上記のようなルートができあがりました。続いて、画面右下の『行程表』をタップしてください。

行程表の画面では、タイム倍率、出発時間、休憩時間を編集できます。

この中の『タイム倍率』とは歩くペースのことを示し、×1.0が標準コースタイムです。標準コースタイムは40〜60歳の登山経験者、2〜5名のパーティー、小屋利用の装備かつ夏山の晴天時を想定しています。

歩くペースはメンバーの実力や気象条件などにより左右されますから、目安と考えましょう。とはいえ、通常は×1.0の標準コースタイムで問題ありません。

歩くペースの次は休憩時間を設定します。おすすめの休憩方法は、1時間おきに5〜10分の小休止をはさむこと。そうすれば疲れ切る前に休憩でき、これがバテずに歩き続けるコツと言えるでしょう。昼休憩に30分〜1時間を追加するのも忘れずに。

以上で登山計画が完成しました。もう一度見直し、問題がなければ画面右上『保存』をタップしてください。

登山計画の名前を編集して『OK』をタップすれば完了です。

 

 

登山計画書の作成も忘れずに

保存した計画を再確認し、問題がなければ登山計画書を作成します。登山計画書とは、登山計画に必要な目的地や予定ルート、メンバーの連絡先などを計画書という形でまとめた書類のこと。

メンバーとの計画共有のほか、遭難時の救助活動の手がかりに活用されます。以下は、公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会よりダウンロードできる、登山計画書の一例です。(クリックしてPDFをダウンロード可能です)

 

実は、登山計画書に厳密なフォーマットは定められていません。都市近郊の低山ハイキングでは、もう少し簡単なものでも大丈夫でしょう。

大切なのは『誰と、どこへ、どのような予定で出かけるか』ということです。

 

これらの情報を過不足なく記載しておきましょう。

出発の準備

出発の準備
写真:123RF

登山計画が完成したら、いよいよ出発の準備にとりかかります。山と高原地図ホーダイに保存した計画や、登山計画書を参考に進めていきましょう。

山と高原地図ホーダイを使うにあたり、必ず用意したいのがモバイルバッテリー充電ケーブル。そして、紙の地図コンパスも必須装備です。スマートフォンは決して万能ではなく、故障や充電切れのトラブルを100%防ぎきれません。その他の持ち物や天候、交通アクセスも忘れずにチェックしておきましょう。

最後に、作成した登山計画書を提出すれば完璧です。登山計画書は家族や友人の他、登山口の提出ポストや

地元の警察署に提出します。そうすることで有事の際に捜索願が出され、救助活動が始まるのです。

ただし、登山計画書そのものに遭難を防止する機能はありません。山と高原地図ホーダイを使い、現地で確実なナビゲーションを行うことが大切です。

現地でアプリを使う

現地でアプリを使う
写真:123RF

山と高原地図ホーダイは、登山計画作成だけではなく現地での行動も強力にサポートしてくれます。現在地と正しいルートを把握し、安全登山に努めましょう。

スマホの設定変更とバッテリーを準備

山と高原地図ホーダイを使う前に、スマートフォンは機内モードに設定してください。そうすれば余計な電波を遮断でき、バッテリーの消費を抑えられるからです。

スマートフォンは登山アプリの使用以外に、何より緊急時の連絡手段として充電切れを防がなければなりません。もちろん、機内モードでも山と高原地図ホーダイは使えますから安心してください。

アプリを立ち上げ、『メニュー→登山計画リスト』から目的の計画を選び『地図で見る』をタップしてください。これで準備はOKです。

ルート・現在地の確認

地図を表示すると、上記のように予定ルートと現在地が表示されます。

登山中はルートを確認し、間違えないように進むだけ。

山と高原地図ホーダイの使用感は、街中でグーグルマップを使う感覚と何ら変わりありません。紙地図で読図ナビゲーションを学んできた筆者が、拍子抜けするほど簡単です。

ちなみに、登山中ずっと地図を確認する必要はなく、分岐や休憩ポイントのたびにチェックすれば十分でしょう。

もし「あれっ、何かおかしいな」と感じたら、すぐに現在地を確認してください。そして、画面右下の『行程表』から予定を確認し、ペース配分にも気をつけましょう。

 

ログの記録

山と高原地図ホーダイではログの記録ができます。記録から山行を振り返ったり、山仲間と共有したりして、山の楽しみを広げてください。

ログの記録は、画面下部中央の『赤いボタン』をタップします。『ルートの記録を開始する』を選択すると、記録が開始されます。

終了するには、画面下部中央の『停止ボタン』をタップしてください。

『ルートの記録を終了する』をタップすると、記録が保存されます。

記録したルートは『メニュー→ルート記録リスト』から閲覧でき、データの共有も可能です。

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図。
谷や尾根、等高線や登山道を綿密に描き、実踏調査に基づいた登山ルート・コースタイムなどを掲載、全国の名山約1,500を紹介したもので、ラインアップは全61点にのぼります。
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