まず強烈なのはその苦み。苦みの単位であるIBUの値は、国産の一般的なビールだと20～25なのですが、このIPAビールは何と200を越えるというから驚きです！ まさに「掘削機」を意味する名前に恥じないインパクトですね。

とはいえ、もちろんただ苦いばかりではありません。麦芽の甘みがしっかりとしたコクを生み、香りはグレープフルーツからパイナップル、そして松の実へと変化するといいますから、まるでトップノートから変化していく香水のような奥行きを持ったIPAビールです。

エチゴビールといえば、日本におけるクラフトビールの先駆け。小麦麦芽やオーツ麦も材料に含んだこのヘイジーの特徴は、そのとろりとした独特の甘み。豊かな香りとも相まって、その甘みは飲む人ごとに「パッションフルーツ」「リンゴ」「マンゴー」と様々に表現されています。

ヘイジーIPA独特の濁った液体を見ていると、本当にトロピカルフルーツを絞って混ぜてるんじゃ……？という不思議な感覚に陥ります。甘党の方にもぜひ試して欲しいIPAビールです。

シカゴ生まれのグースアイランドIPAは、特にそのホップの香り高さで有名。そしてIPAビールならではのフルーティーなフレーバー、苦みもしっかりめのがっしりとした力強さと、すべてが高い密度で均衡を保っていることで強い人気を誇っています。

ジビエ料理やブルーチーズなど、少し癖のある料理との取り合わせは特に絶品だとして、世界の食通たちを唸らせてきたのもうなずけます。こうした逸品が簡単に取り寄せられるのですから、試してみない手はありませんよね。

深煎りされた麦芽の甘さと、サワーというその名のとおり酸味の効いたフレッシュなホップの香りが独特のIPAビール。黒ビールのような、ビターチョコレートやコーヒーのような苦み……と思いきや、その後からフレッシュな柑橘系の香りが立ち上がってくるところが「やっぱりIPAだな」と感じさせます。

大麦以外に小麦やオート麦も使っているため複雑な厚みを持っているIPAビールですが、後口はカラッと爽やかで、どんな料理にも合うと言われています。

その名の通り、ベルギーの醸造所が米国人の醸造家を招いてレシピを完成させた、大西洋を股にかけたベルジャンIPAビール。ベルギービールらしい発酵した香りとホップの香りが舌で踊り、その奥の遠くの方から軽やかな苦味がゆっくりと伝わってくるという、時間差を感じられるIPAビールです。

シンプルで飲みやすいという印象を持たれがちですが、丁寧に味わうと少し熟れた果実とグレープフルーツのような柑橘の風味が感じられ、ファンの間では「軽い複雑さ」「難しすぎない知恵の輪のよう」と評されています。