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日本三大銘菓はすべて落雁! 知っているようで知らない落雁の世界を徹底解説 画像:写真AC

渡辺拓海

更新日: 2023年2月2日

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日本三大銘菓はすべて落雁! 知っているようで知らない落雁の世界を徹底解説

存在自体は知っているけれど、人によってはほとんど口にする機会のない「落雁」。
「お供えもの専用のお菓子」と思っている人、あまたある和菓子の中でもとりわけ平凡な存在だと考えている人も多いのではないでしょうか。

その認識、今日で変わることになるかもしれません。

落雁は皆さんが考えている以上に奥深い和菓子だったのです。
知られざる落雁の世界へと足を踏み入れていきましょう!

落雁とは?

落雁とは?
画像:123RF

上品なお菓子の代名詞「落雁(らくがん)」。子どものころはまるで興味がなかったという人も多いのではないでしょうか。

年齢を重ねるにつれ、ともすれば頼りなく感じるほどの口どけのよさ、ともすれば物足りなく感じるほどの上品な甘さを楽しめるようになる不思議な和菓子。落雁は大人だけの楽しみといっても過言ではありません。

まずはそんな落雁の基本的なポイントをご紹介!

落雁の名前の由来

落雁の名前の由来

そもそも「雁(がん)」とはカモ科の水鳥。鶏肉を使った料理ではないのに、なぜ“落”ちる“雁”という不思議な漢字が使われているのでしょうか。

落雁の名前の由来を調べてみると……

①.中国のお菓子「軟落甘(なんらくかん)」が日本に伝えられる際に変名
②.黒ゴマを配した姿が、近江八景に見られる「堅田落雁(かたたのらくがん)」の雁の群れのようだった
③.雁が落ちていく様子を見た蓮如上人が、その翌日に出されたお菓子に名付けた
④.「白山の雪より高き菓子の名は四方の千里に落つる雁かな」という後陽成天皇の歌が由来
⑤.後水尾天皇が「田んぼに落ちた雁のような形だ」と名付けた

上記の①~⑤以外にも落雁の名前の由来は諸説あります。有力なのは①または②といわれていますが、現在も“本当の正解”はわかっていません。そのミステリアスさも含めて、大人の和菓子として君臨し続けるのが「落雁」です。

「さっきから“落雁 落雁”って言ってるけど、 それって“はくせつこう”のことでしょ?」と思っている方はいませんか?

作り方から知る「落雁」と「白雪こう(はくせつこう)」の違い

作り方から知る「落雁」と「白雪こう(はくせつこう)」の違い

「白雪こう(はくせつこう)」と呼ばれる「落雁」によく似たお菓子……というよりも、落雁そのものに見えるお菓子。2つの和菓子の違いは、その作り方にあります。

落雁の基本的なレシピは次の2つ。

落雁の作り方「その一」
①.蒸して乾燥させた米粉を準備
②.①に水飴や砂糖を練り込みます
③.②を型に押し固め、再び乾燥させたらできあがり!

落雁の作り方「その二」
①.熱処理をしていない米粉を準備
②.①に水飴や砂糖を練り込みます
③.②を型に押し固め、せいろで蒸して乾燥させたらできあがり!

「蒸す」という工程が別のところで行われる2つの落雁。

完成品をチェックしてみると……
「その一」の(先に蒸す)落雁は、私たちが想像しているとおりの「落雁」。

「その二」の(後で蒸す)落雁は、私たちが想像しているよりも「やわらかい落雁」になることも。
※食感は商品により異なります

どちらも落雁にカテゴライズされるのですが、「その二」のレシピで作られた落雁は「白雪こう」と呼ばれることがあります。商品によって異なるため一概にそうとは言えませんが、「白雪こう」は「やわらかめの落雁」という認識は間違いではありません。

「白雪こう」タイプの代表的な落雁は、後述する日本三大銘菓のひとつ「越乃雪」といわれています(現在の越乃雪は「その一」の製法も取り入れられています)。

落雁は、和三盆や干菓子とは別のもの?

落雁は、和三盆や干菓子とは別のもの?

もうひとつ、「落雁」とよく似たお菓子に「和三盆」があります。

お菓子の「和三盆」とは、主に四国で生産される砂糖・和三盆糖をそのまま固めたもの
対して「落雁」とは、上述のとおり米粉などのでんぷん質に砂糖や水飴を加えたもの。

主に使用する材料が異なる「落雁」と「和三盆」。はっきり“別物”ということがわかりますね。

※近年では“つなぎ”にでんぷんや水飴を加えたものも「和三盆」と呼ばれています

では「落雁」と「干菓子」の違いは……?

お菓子は「干菓子」「半生菓子」「生菓子」と、そのものが持っている水分量で3つのカテゴリーに分けられます。

①.干菓子とは、水分含量が20%未満(または10%以下)のもの
②.半生菓子とは、水分含量が20%以上(または10~30%)のもの
③.生菓子とは、出来上がり直後において水分含量が40%(または30%)以上のもの

干菓子とは「ひとつのお菓子の名前」ではなく「乾き物のお菓子全体の総称」ということになります。

したがって、乾燥させて作る「落雁」は「①.干菓子」、落雁の仲間「白雪こう」「和三盆」も「①.干菓子」。みんな同じく「干菓子」なのです。

参考資料:文部科学省『日本食品標準成分表』より

日本三大銘菓はすべて落雁!

日本三大銘菓はすべて落雁!
画像:写真AC

日本を代表した三つのものが選出される「日本三大〇〇」。

たとえば日本三大温泉は「熱海温泉」「南紀白浜温泉」「別府温泉」。日本三大随筆は『枕草子』『方丈記』『徒然草』。日本三名園は「兼六園」「後楽園」「偕楽園」と、誰もが一度は耳にしたことのあるメジャーな場所や物がずらり。

和菓子の世界も見てみましょう!

日本三大銘菓は「大和屋・越乃雪」「森八・長生殿」「風流堂・山川」。実はこれ、驚くことに3つすべてが落雁なのです。

日本三大銘菓の落雁とは? その①「大和屋・越乃雪」

日本三大銘菓の落雁とは? その①「大和屋・越乃雪」

最初にご紹介するのは、創業安政7(1778)年、新潟県の老舗・大和屋の「越乃雪」です。

大和屋庄左衛門が、病に伏す長岡藩主へお見舞い品として献上した「白雪こう」。食欲を取り戻し元気になった藩主は『実に天下に比類なき銘菓なり。吾一人の賞味は勿体なし。之を当国の名産として売り拡むべし』とよろこび、このお菓子を「越乃雪」と命名したと伝えられています。

その名が示すとおり、雪のように口中で溶けゆく上品な甘さが楽しめます。

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日本三大銘菓の落雁とは? その②「森八・長生殿」

日本三大銘菓の落雁とは? その②「森八・長生殿」
画像:楽天市場

菓子処として有名な金沢の老舗・森八の「長生殿」も日本三代銘菓のひとつです。

加賀藩主から「七夕のためのお菓子を作るように」と命じられたことが、この落雁が生まれたきっかけ。茶人の小堀遠州が名付け、直筆の「長生殿」という文字を彫り込んだ木型から生まれてくるビジュアルも特徴的ですね。

やさしい和三盆の風味で、濃い日本茶と合わせたくなる逸品。お取り寄せOKなのもうれしいポイントです。

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日本三大銘菓の落雁とは? その③「風流堂・山川」

日本三大銘菓の落雁とは? その③「風流堂・山川」
画像:楽天市場

松江藩七代目藩主にして、江戸時代を代表する大名茶人・松平治郷によって茶の湯文化が浸透した島根県松江市。独自の流派「不昧(ふまい)流」は今の世にも受け継がれています。茶道の繁栄と歩みをともにするのが、その席で供される和菓子というのは世の常。

風流堂の落雁「山川」も、不昧公(松平治郷)が好んだ茶菓子のひとつです。

紅は紅葉を、白は流れる川を表した、紅白の2本が並ぶ風流な落雁。こちらも取り寄せ可能なので、自宅でゆっくり楽しむことができますよ。

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

筆者
渡辺拓海

村上春樹が好きな編集者。好きな言葉は「やれやれ」です。
旅行、おでかけはもちろんのこと、グルメ、スイーツ、アウトドアギアなど多趣味。コロナ禍になり、オンラインでの習い事にも興味あり。
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