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もっと語りたい!泣ける映画3. ニュー・シネマ・パラダイス

もっと語りたい!泣ける映画3. ニュー・シネマ・パラダイス
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巨匠エンニオ・モリコーネの音楽が否応なく涙を誘う

遠い昔に親しくしていた映写技師アルフレードの訃報を聞いた主人公トトは、故郷のことを思い出す。村で唯一の娯楽施設だった映画館「パラダイス座」と共に彼は育ち、恋もした。葬儀のため30年ぶりに帰った故郷で、トトはアルフレードが遺した「あるもの」を受け取るのだが——。

泣く子も黙る、否、黙る子も泣く?「泣ける」映画の代名詞ですね。何度観ても、それがたとえ片手間でも、スマホの小さな画面であったとしても、ラストシーンのトトには必ず目頭が熱くなってしまいます。おそろしい催涙効果。

中年トトを演じたジャック・ペランさんは惜しくも最近亡くなられてしまいましたが、スクリーンを前に感極まっていく「受けの演技」は本当に素晴らしく、これからもずっとスクリーンで生き続けることでしょう。

ちなみに直近で鑑賞した際いちばん「泣けた」のは、トトが30年ぶりに帰郷するシーンです。「飛行機でわずか1時間だよ」「それなのに30年帰ってこなかった」という会話。そして、思いのほか変わらぬ我が家。実家を離れた年数は桁こそ違えど、そこそこ親不孝者の自覚があるわたしには刺さってくる場面でした。母親にメールしちゃった。

目が見えなくなってからのアルフレードにも新たな気付きが。トトが自前の8ミリを説明したりしなかったり見透かされたりするシーンや、パラダイス座・客席のアルフレードが奥さんから映画の説明を受けているシーンなど、「バリアフリー音声ガイド」の描写がこんなかたちで入っていたんだ!と(その業界に少し携わっている身として)驚き、嬉しくなりました。

映画の詳細データ
公開年 1988年
製作国 イタリア/フランス
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
出演者 フィリップ・ノワレ/ジャック・ペランほか
時間 124分

もっと語りたい!泣ける映画4. 英国王のスピーチ

もっと語りたい!泣ける映画4. 英国王のスピーチ
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英国王室ドラマ『ザ・クラウン』の前日譚としても

「吃音」の悩みがあった英国王ジョージ6世と彼を救った言語療法士ライオネル・ローグの、実話に基づく友情の物語。わたしはこの作品を長いこと観れずにいました。それは、自分にも吃音の経験があったからです。

吃音とは、口を開いても自分の発したい言葉が出てこない症状のこと。決まった言葉を発さなければいけない局面が、日常には多々あります。たとえば自分の名前、住所、電話番号、“おはようございます”に“お疲れ様です”。「言えて当たり前」の言葉が、意識すればするほど出てこない。それが吃音。兄が王位を捨てたことで突然即位することになってしまったジョージ6世の、公務における重圧は計り知れません。

わたしの場合いつの間にか症状が出なくなっていたので完全な当事者ではないものの、本作を観ることで「ぶり返す」のでは、というおそれがありました。それでも観たのは、英国王室ドラマ『ザ・クラウン』に当時ハマっていたから。ジョージ6世はエリザベス女王のお父様です。どんな人だったのかもっと知りたい。好奇心が警戒心に勝ちました。

若干ひきつりながら観た本作は、しかしとても丁寧なつくりでした。一国の王だろうがなんだろうが吃音の症状は同じ。わかる!わかるよ!の連続で、同じ症状を見ることのつらさよりも、症状を共有できる、理解してもらえる、この映画が世界中の人に見てもらえている、その喜びや安堵感のほうが大きかったのを覚えています。

映画の詳細データ
公開年 2010年
製作国 イギリス/オーストラリア/アメリカ
監督 トム・フーパー
出演者 コリン・ファース/ジェフリー・ラッシュほか
時間 118分
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

筆者
353

ただの雑食な映画好き。
「観た映画は必ず感想を書く」というマイルールのもと、2018年から映画ブログ『353log』を日々更新中です。
まだまだ不勉強なことばかりですが、皆様に「観たい!」と思っていただけるようなご紹介ができるよう努めます。
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