みんなで行こうハイキング

ハイキングの秋です!毎月、ビギナーさんが気軽に登れるコースをご紹介しているこの企画。今月は秋の紅葉とススキの絶景をご案内します。
ひとつ目は、紅葉が美しい静岡県のオクシズ(奥の静岡)の「林道 東俣線」コースを。ふたつ目は兵庫県から、ススキの名所「砥峰高原」のコースです。

林道 東俣線コースでは、南アルプス登山口周辺をハイキング。大井川沿いに続く紅葉美のなかを歩いたら、大吊橋がクライマックスです。砥峰高原の展望台からは、雄大な野原に咲く見渡す限りのススキをのんびり眺めましょう。ゆったりと秋の風が吹いたら、最高の秋ハイクです。

壮大な南アルプスの
紅葉に出会う

静岡の奥座敷「オクシズ」とは、雄大な自然のある山間部エリアのこと。中でも「林道 東俣線」のある井川地区は、大井川鐵道の終着駅より北側、南アルプス山麓地域を指します。秘境感たっぷりのこのエリアでは10月下旬〜11月中旬になると、大スケールの紅葉が現れます。
アクセスが少し大変ですが、それでも一度は必ず訪れて欲しい、穴場の紅葉名所です!

林道東俣線は、こんなところ

畑薙第一ダムの駐車場から出発する「林道 東俣線」は、南アルプス登山においてのメインルート。登山道を利用すると本格的な登山となってしまうので、今回は、畑薙第一ダムから畑薙大吊橋への「林道」だけを散策する、手軽なハイキングルートをご案内します。紅葉シーズンであれば、「林道ハイキング」だけで素晴らしい景色を味わうことができるコースです。

歩行時間:約3時間
アクセス:東名高速道路・静岡ICから畑薙第一ダムまで車で約2時間半

南アルプスのお膝元!
オクシズの井川地区エリア

カーブを曲がるごとに圧巻の紅葉が!

駐車場への道から始まる絶景

井川地区の畑薙第一ダム駐車場へは、くねくね道のドライブで向かいます。大井川鐵道の終着駅である井川駅を越えると、そのまま県道60号線(南アルプス公園線)へと繋がります。この辺りから、かなり道幅が狭くなるので十分注意して運転してください。そのまま大井川をたどり、登山口となる畑薙第一ダムへと向かうのですが、この区間が最初の見どころ!
紅葉シーズンになるとこの区間で、森の雰囲気が劇的に変化するのです。ヘアピンカーブに差し掛かると、先ほどまでは緑一色だった森が一面オレンジと黄色、赤色に彩られ、鮮やかな紅葉を見せてくれます。

ゆっくりと安全運転で

畑薙第一ダムから
ハイキングスタート

秋の南アルプス公園は
感動の連続

井川駅から25kmほど林道を進むと、紅葉の先に大きなダムが現れます。これが登山の起点となる「畑薙第一ダム」で、南アルプスから流れる大井川源流を活用した、水力発電施設です。畑薙第一ダムの駐車場に車を止めたら、ゆっくりと歩き出しましょう!

最高のパノラマに期待が膨らむ!「畑薙第一ダム」

歩いて15分

沼平ゲート
(沼平登山指導センター)

中には自転車で
走ろうとする強者も!

最初は舗装林道をしばらく歩きます。約1.5kmほどで「沼平ゲート(沼平登山指導センター)」に到着。これより先は未舗装林道(林道 東俣線)で、通行ゲートです。この沼平ゲートより先は一般車両が通行できず、自転車や歩行者のみ通行可能。まさに秘境への入口です!

壮大な紅葉は「林道 東俣線」の秋の風物詩

ゲートを通過して進んでいくと、先ほどは遠くに眺めていた鮮やかな紅葉が、眼前へ迫ってきます。通常のモミジ狩りで見る紅葉とは明らかに違う、アルプスらしい、大スケールの紅葉が広がります。どこを見渡しても絶景なので、カメラを持ってきた方は撮影がはかどること間違いなし!

様々なところに反射する紅葉に
思わずうっとり

隠れた紅葉ポイントは、足元です。紅葉の木々が覆い尽くしているこの林道では、川や水たまりの水面にまで紅葉が映り込みます。
ささやかですが、こうした小さな色彩の発見を楽しみながら歩けば、起伏のない、やや単調な林道歩きも楽しいものです。

歩いて60分

大迫力の渓谷美と、見渡す限りの
絶景を眺めながら進むと…

畑薙大吊橋

紅葉へと続く大吊橋は
まるで絵画の世界のよう!

沼平登山指導センターから約3km弱、心地よい林道歩きを楽しんでいると、大井川に橋が架かっているのが見えてきます。ここが折り返し地点の「畑薙大吊橋」。
南アルプス山麓の大井川にはいくつもの吊橋が架けられていますが、中でも紅葉の時期に一段と美しいと言われるのが、この吊橋。画面に収まりきらないほど大きいスケールの紅葉を背景に、一直線で架かる凛とした佇まいが印象的です。

遠目からだけでなく、近づいても素晴らしい絶景。吊橋のワイヤーが額となり、対岸の紅葉へと吸い込まれるかのよう。この絵画的な風景は堪りません!この南アルプス公園は観光客が少なく、心ゆくまで美しい色彩に浸り、撮影を楽しむことができますよ。

山の下から上まで全山紅葉は、
ここでしか見られない絶景

橋を渡る途中に北側を眺めれば、そこにはどこまでも続く南アルプスの渓谷美と紅葉が。目の前にある小さな山は「上千枚山」。マニアックな登山愛好家にすらほとんど知られていない山ですが、紅葉の時期は特に鮮やかな色彩を放ちます。
時間と体力に余裕がある方はもう少し歩き、河川敷へ降りられる場所まで進みましょう。上千枚山が眼前に迫る絶景ポイントなので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね!

無名な「上千枚山」も
燃えるような絶景の山に!

歩いて75分

GOAL!

ゴールは、畑薙第一ダム駐車場

帰りは来た道を折り返し、約3時間の軽ハイキング!南アルプスが作り上げる、雄大な紅葉を心ゆくまで満喫できるコースです。
畑薙第一ダムまで戻って今回のハイキングは終了ですが、せっかくオクシズの中でも最も奥の秘境に来たのですから、ここでしか楽しめないスポットへ立ち寄りましょう。

畑薙第一ダムから車で10分の場所にある「南アルプス赤石温泉 白樺荘」。温泉付きの宿泊施設なのですが、日帰り入浴が可能で、食事をいただくこともできます

ミルキーブルーの寸又川を渡れることで有名な絶景吊り橋も、実は今回紹介したオクシズの井川エリア近く。帰りに寄って幻想的な佇まいを満喫するのも◎

見渡す限りの雄大な野原に
ススキの銀色の穂が波立つ

兵庫県神河町にある砥峰高原は関西屈指のススキの名所として知られ、映画や大河ドラマのロケ地としても注目を集めています。ベストシーズンの10月上旬になると、広大な野原に自生するススキの穂が色づき始めます。

砥峰高原はこんなところ

峰山高原から砥峰高原まで整備された片道6kmのハイキング道を歩き、昼下がりの銀色に光るススキの草原を満喫するコースがおすすめです。映画のロケ地の森や湿地帯などをめぐる道のりは、コース全体を通して比較的なだらかで初心者向けです。

歩行時間:約4時間20分
アクセス:JR寺前駅から砥峰・峰山高原直通バスで45分、峰山高原バス停下車※ススキの時季限定の事前予約制(神河町観光協会へ申し込み)

穂先が日差しに反射して
キラキラと輝く

映画の撮影地になった森に
秋のやさしい木漏れ日が降り注ぐ

峰山高原ホテル リラクシアの
駐車場からスタート!

準備運動をしたら、
さぁ出発!

スタートは峰山高原ホテル リラクシアの駐車場から。ホテル内には売店、駐車場にはトイレもあります。臨時の直通バスで来る場合は、そのままリラクシアの森のほうへ歩き出しましょう。

ホテル前の駐車場にある看板を
見逃さないで

歩いて10分

リラクシアの森

映画のロケ地となった
幻想的な森

分岐点を経て、リラクシアの森へ。ここは、映画「ノルウェイの森」の撮影地のひとつ。峰山高原ホテルの敷地内に広がり、秋には枯れ葉が積もり幻想的な風景です。

歩いて5分

分岐点

看板を見ながら進みます

リラクシアの森から来た道を引き返す途中に、砥峰高原への道を示す看板があります。見逃さないようにしましょう。

道すがら、小さな湿地帯がいくつもあります

落ち葉でふかふかの道

歩いて50分

峯山口駅

標高1015mのコース最高地点

山道を抜けると峯山口駅の看板が見えてきます。ここから約400mのアスファルトの道を歩きます。

歩いて40分

砥峰高原 展望台

砥峰高原 展望台は
大草原を見渡すビュースポット

高原全体を一望する砥峰高原の展望台。見晴らしのいいベンチがあるので、ここで休憩するのもおすすめです。

高原一面にススキの穂が
波打つ景色は壮観!

歩いて30分

とのみね自然交流館

折り返し地点に到着!

高原を見渡す砥峰高原展望台を経由して、とのみね自然交流館を目指しススキが茂る散歩道を歩きます。ここはトイレ休憩のポイント。帰り道は来た道を折り返します。

秋の空気が気持ちいい展望デッキ

2時間10分

GOAL!

ゴールは
砥峰高原ホテル リラクシア

とのみね自然交流館から同じ道を戻り、起点の駐車場へ。ピークシーズンには砥峰高原から寺前駅までの高原直通バス(一日1.2本の事前予約制)もあります。帰りのバスの時間に合わせ、コースの時間配分して歩きましょう。

リラクシアは、標高930mにある星空の見えるリゾートホテル。日帰り入浴ができる露天風呂もあります

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