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まっぷるマガジン編集部

更新日:2020年4月13日

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スペイン【フラメンコ】情熱のリズムにのせて楽しむ!

魂の歌と踊りとギターが紡ぐ、激しくてせつないリズム。その情熱に胸が、血が、うずくようなスペインの夜を感じよう。

フラメンコの起源はロマとイスラムの文化の融合

15世紀頃、東方から放浪してきたロマ(ジプシー)がアンダルシアに定住、土地の民謡をアレンジしたのが始まりといわれる。イスラムの色濃いアンダルシアならではの、さまざまな要素が混交した地域性の高い文化だったが、現在はスペインを象徴する文化となっている。劇場や「タブラオ」と呼ばれるフラメンコ・レストランで、日々演じられている。

三位一体の総合芸術フラメンコの魅力に迫る

フラメンコはカンテと呼ばれる歌、カンテに伴奏のギターと、リズムを刻み盛り上げる踊りが複雑にからみ合い、ひとつの世界をつくり上げる三位一体の総合芸術だ。喜び、悲しみ、愛など人間のあらゆる感情を表現するために、演者がそれぞれの感受性を表し融合させていく。振り付けや演奏は即興性が高く、同じ舞台には二度と出会えない。

フラメンコの三大要素は、歌とギターと踊り

踊りの一種として捉えられがちだが、3つの要素のからみ合いこそが魅力。

カンテ(Cante)/歌

フラメンコで歌われる歌。ふりしぼる叫びのように、魂の奥底から歌われるカンテは、張り裂けるような声で歌ったり、しわがれた声でこぶしをきかせる「メリスマ」と呼ばれる歌い方など、さまざまだ。

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カンタオール(男性の歌い手)

トーケ(Toque)/ギター

スペイン語でギター演奏のこと。強烈な印象を与えるラスゲアード(かき鳴らし奏法)が有名で、これはフラメンコならではのもの。伴奏だけでなく、ソロ演奏の場も見もの。

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バイレ(Baile)/踊り

人間の喜怒哀楽を、体全体を使った舞踊で表現するのがバイレ。ブラセオ(手や指先、腕の動き)とサパテアード(足さばき)でときに激しく、ときにしなやかに舞う。踊り手の豊かな表情にも注目。

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バイラオール(男性の踊り手)

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バイラオーラ(女性の踊り手)

曲の流れを作る構成要素

構成要素はどの曲も同じ。曲によって繰り返したり、順番が変わったりする。

1 リャマーダ(Llamada)

バイレが出す合図のこと。次から歌に入る、テンポを変えるなど変化をカンテやトーケに伝える。

2 レトラ(Letra)

歌詞という意味。また、カンテがメインで歌うパート。踊り手は歌詞の内容に合わせて踊る。1曲で数回入ることも。

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3 ファルセ-タ(Falseta)

ギターがメロディを弾くパート。決まった枠のなかで自由に演奏する。歌と歌の間、歌の前などで弾かれる。

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4 エスコビーリャ(Escobilla)

踊り手の足のテクニックを見せるパート。サバテアードが中心となり、ステップが楽器のように打ち鳴らされる。

5 レマ-テ(Remate)

区切り、仕上げ、終わりなどの意味。レトラをひと区切りするとき、歌の間のステップなどさまざまな場面で入る。

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フラメンコのダンステクニック

さまざまにリズムを打ち鳴らす踊り手。技巧ではなく込められた感情が大事。

パルマ (Palma)

手拍子のこと。おもに場を盛り上げるときに踊り手が打ち始める。独特のリズムが特徴で、12拍子が基本。大きな音はセコ(Seco)、こもった低い音はソルダ(Sorda)。

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センティミエント (Sentimiento)

喜怒哀楽を体全体を使って表現すること。定住の地を持たず、迫害され続けたロマ(ジプシー)たち。その厳しくも悲しい境遇が、踊り全体に深みを与えている。

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ブラセオ(Braceo)

腕から指先の動きのこと。両腕や指をからませる細やかな動きは踊りを左右する重要なポイント。しなやかで華麗な動きが、情熱的な感情を表現し、見る者を圧倒する。

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サパテアード (Zapateado)

足技のこと。靴底にびょうを付けた靴でステップすることで、独特のリズムが刻まれる。軽やかに繰り返されるステップや回転がメリハリのある動きをつくり上げる。

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本場のフラメンコは、タブラオで楽しみたい!!

気軽にフラメンコに触れるならば、毎夜フラメンコのショーが開かれるタブラオへ。生のリズムの躍動をライブで感じたい。

タブラオでの鑑賞のポイント

予約は必要?
人気のタブラオは予約が確実。直接電話するか、ホテルのコンシェルジュでも手配可能。ショーの開演時間は遅めなので、帰り道はタクシー利用がおすすめ。

ドレスコードは?
バルセロナなどの大都市にはショーアップされた大劇場型タブラオもあり、多少のドレスアップが必要だが、たいていのタブラオではカジュアルな服装でもOK。

撮影はできる?
ショーの間は撮影禁止で最後の5〜10分だけ許可されることが多いが、ビデオは原則禁止。フラッシュなしなら常時撮影可能のタブラオもあるのでお店で確認してみよう。

その他の注意点
リズムをとる手拍子(パルマ)に合わせたくなっても、演奏者や踊り手の集中を乱すのでひかえよう。オーレなどのかけ声も慣れていない限り避けたほうが無難。

カサ・パタス(Casa Patas)

マドリードを代表する名店
こぢんまりとした劇場ながらも、毎夜本格的なフラメンコを上演、フラメンコ研究所も備える。

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カウンターではタパスなどで気軽に食事することもできる

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野菜中心のヘルシーな一品料理が人気

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一軒家の1階がタブラオで2階が研究所

カサ・パタス

現地名:
Casa Patas
住所:
C. de Cañizares 10
地図を見る »
アクセス:
地下鉄1号線Tirso de Molinaティルソ・デ・モリーナ駅から徒歩3分
TEL:
91-3690496
営業時間:
13:00~16:30、20:00~24:00(金・土曜は19:30~翌1:00)、ショーは月~木曜22:30~、金・土曜20:00~、22:30~(変動あり)
定休日:
日曜 
Webサイト:
http://www.casapatas.com
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奥付:
この記事の出展元は「トラベルデイズ パリ」です。掲載されている電話番号、営業時間、料金などのデータは2016年7〜9月の取材・調査によるものです。いずれも諸事情により変更されることがありますので、ご利用の際には事前にご確認ください。また、掲載の商品は取材時のもので現在取り扱っていない可能性があります。

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

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