【慶州】韓国を代表する歴史都市、慶州でのんびり散歩しながらその歴史を感じよう
韓国の南東沿岸、慶尚北道にある歴史都市、慶州(キョンジュ)。 三国時代から統一新羅時代までの約1000年間新羅(シルラ)王朝の古都で、当時の史跡や古墳が多く残っている。 都心とは違った慶州ならでは...
更新日:2020年12月11日
慶州は、古代の朝鮮半島南東部に位置した強国・新羅の栄華を残す古都。市内、仏国寺周辺、南山には新羅時代の遺跡が点在し、世界遺産にも登録されている。名所を楽しめる2コースをLet'sおさんぽ!
慶州歴史地区として、世界遺産にも登録されている慶州市内。かつての天文台や離宮などもありさんぽに最適。レンタサイクルもある。
新羅文化が残る街をゆったりと散策
史上初めて朝鮮半島を統一した新羅の都として発展を遂げたのが慶州。市内には王族たちの巨大な古墳がいくつも点在し、天文台や宴を開いた離宮などもその跡を残している。新羅時代の面影が随所に感じられる街を散策して、当時の栄華に思いをはせてみよう。
モデルコース
START 1.大陵苑→徒歩12分→2.瞻星台→徒歩5分→3.鶏林→徒歩5分→4.ビョルチェバン校洞サンパッ(ここでご飯)→徒歩20分→5.国立慶州博物館→徒歩10分→6.石氷庫→徒歩5分→7.慶州東宮と月池 GOAL
歩き方アドバイス
【レンタサイクルが便利】
慶州駅や高速バスターミナル周辺にレンタサイクル店が集まっているので利用しやすい。料金の目安は、1日8000~1万W。
【慶州駅構内の案内所で地図をゲットすべし!】
慶州駅構内にある観光案内所で、慶州全体の地図がもらえる。日本語の地図のほか、バスの簡単なルートマップも手に入る。
【郊外のスポットへ行くならタクシーチャーターを!】
市街の中の移動は基本的にメーター制。郊外の観光スポットへ行く場合などはほとんどが交渉制。チャーターは8時間15万W〜。
古墳が点在する大陵苑と天馬塚を含む一帯が巨大な公園となっており、7基の新羅王陵と23の古墳が残る。15万㎡に及ぶ広大な敷地に連なる古墳に上ってみるのもおもしろい。大陵苑の出土物は国立慶州博物館に展示されているが、出土品には純度89%を超える金冠も!
23基の古墳群は新羅王朝始祖が眠る聖地!
23基の古墳が連なっている、気持ちのよい公園
古墳には上ることもできる
大陵苑の周囲は公園になっており、春は満開の桜が楽しめる
市内は慶州歴史地区として世界遺産に登録されている
天馬塚の内部は公開され、見学可能
冬の大陵苑。古墳が雪で真っ白に
約1万点以上の遺物が出土。内部に天馬の描かれた馬具があったため名付けられた
線紋と亀甲文が刻まれている琉璃杯
鳥の翼形をした冠装飾。高さ約45cmもある
胸飾りは支配階層の副葬品としてよく見られる
長さ30cmの石を362個重ねて造られた筒状の塔。東洋最古の天文台といわれ、窓から差し込む光で気象や天体を観測して、地震や日食の観察、農作物の収穫の予測や占星術が行われた。1962年に国宝に指定されている。
【CLOSE UP!】石の数の意味
石の個数362個は、1年を陰暦で計算したときの日数を表している
地震観測から日食、吉凶占いまで!
遺跡周囲は季節の花が咲き美しい
新羅は3つの王系があるが、ここはそのうちの金氏の始祖、金閼智生誕の地。新羅の旧国名「鶏林」の名で呼ばれている。鶏の声で目覚めた新羅4代王が林に使いの者を遣わしたところ、金の櫃に入った閼智を見つけたという伝説が残っている。
【関連リンク】
四季折々で美しい新羅王誕生の地
石氷庫近くにある静かな林
牛肉、豚肉、アヒルの3種のプルコギからメインが選べるサンパッ定食(2人前~)が名物。赤サンチュやサニーレタスなどの葉野菜もバリエーション豊富で、おかずの品数も10種類以上。道路越しに古墳が見える窓側の席がおすすめ。
たっぷりの野菜と味わう慶州伝統のサンパッ定食
プルコギのサンパッ定食1万6000W
店内の窓からは大陵苑の古墳も見える
季節の葉野菜で包む。自家製味噌は4種類
発掘調査などで出土した新羅王国の遺物など、十数万点を収蔵する博物館。選りすぐりの約3000点の展示物は考古館や月池館のほかに、7万4000㎡の広大な庭園に展示されている。
栄華をしのばせる希少な宝物を鑑賞
韓国第2の規模を誇る博物館
日本語音声案内機のレンタル3000Wのほか、毎週土曜13時30分からミュージアムツアー(英語)を催行
奥には国宝・聖徳大王神鐘(エミレの鐘)がある
仏像
7世紀の作品と推測。高さ112cmの像。発掘場所も不明
エミレの鐘
正式名称は聖徳大王神鐘。771年鋳造の青銅製の鐘で国宝第29号
金冠
5世紀製造。新羅の代表的な金冠で1921年、民家の工事中に発見!
宮中の食料を保存していた冷蔵庫で、冬に入れた氷が夏まで残る。現存の石氷庫は朝鮮王朝第21代英祖のとき再建されたが、オリジナルは505年に建てられた。
宮中で利用された食料保存庫
高さ5・4m、長さ19m、幅6mもある巨大な冷蔵庫。完全な形で残っているのはとても珍しい
30代文武王が三国統一を記念して674年に建設した離宮跡。今は4分の1程度しか残らないが国賓を接待し、舟を浮かべて楽しんだという、昔の栄華をしのばせる。
新羅最盛期に造られた仙界を模した庭園
1970年代に発掘調査が行われたが、まだ多くのなぞが残る池
300年以上の歴史をもつ韓国3大酒のひとつ、校洞法酒3万4000W ~を作っている酒蔵。もち米を100日以上熟成させて生み出す銘酒で、二日酔いもないとか。1日20本限定の貴重品。
アルコール16度の伝統酒。味は若干甘口でまろやか。左右ともに900㎖入り
長い歴史を感じる趣のある店舗
慶州を代表する銘菓・皇南パンを販売する有名店。しっとりとした生地に、こしあんがたっぷり詰まった小さなまんじゅうが皇南パン。店内で作るので、できたてが味わえる。
【関連リンク】
自然な甘みのあんは100%国内産アズキを使用したもの
1個800W、20個入り1万6000W。賞味期限は常温で4~5日間
世界遺産に登録された仏国寺と石窟庵を擁する仏国寺地区。新羅時代の見ごとな造形美、仏教建築をじっくりと見学しよう。
仏国寺、石窟庵世界遺産を鑑賞
アジア3大洞窟寺院に韓国最大の仏教建築と、新羅時代の栄華を極めた見どころがギュッと詰まったコース。仏国寺周辺は市内中心部からは南東へ10㎞ほど離れたエリアなので、交通手段の確保が大切。全スポットを車でめぐるのもいいし、仏国寺駅まで鉄道で向かい、駅からはタクシーを使う方法でもいい。
モデルコース
START 1.仏国寺タクシー→約20分→2.石窟庵→タクシー約20分→3.新羅食堂(ここでご飯)→タクシー約10分→4.掛陵→タクシー約15分→5.慶州民俗工芸村 GOAL
歩き方アドバイス
【仏国寺と石窟庵、世界遺産では撮影に注意!】
世界遺産に登録されている仏国寺と石窟庵では内部の撮影は不可。外観撮影は問題ないが、失礼な行為をしないよう注意しよう。
【寺院の構造はほぼ共通!】
韓国仏教建築をチェックまず入口の一柱門で俗世の煩悩を清め、天王門で雑鬼を払う。門を抜けたその先に仏国土が広がるという思想が韓国仏教建築のベースとなっている。
【仏国寺から石窟庵へは12番シャトルバスが便利!】
仏国寺~石窟庵は、徒歩でも往復できる(約1時間)が、シャトルバスもある。運賃は1500W。運行は8:40~17:20、1時間につき1本。
525年、新羅23代王の法興王が夫人のために建立したとされる仏国寺。新羅仏教芸術の最高峰として、1995年には世界遺産にも登録されている。寺は大雄殿、極楽殿、毘盧殿をそれぞれ中心とした彼岸世界、極楽世界、蓮華蔵世界の3つの世界に分かれており、国宝指定の7つの遺物も見られる。
韓国最大の仏教建築に新羅王朝の栄華をしのぶ
最盛期には現在の10倍近い広さを誇っていたといわれている仏国寺
蓮華橋・七宝橋
下10段が蓮華橋、上8段が七宝橋と呼ばれる。阿弥陀仏の極楽世界へと続いている安養門へと通じる橋
白雲橋・青雲橋
上18段が白雲橋、下16段が青雲橋と呼ばれ、紫霞門を抜けて大雄殿へと続く階段。現在は保存のため使用不可
紅葉の美しさでも知られる仏国寺の境内
朱・緑・青の配色が鮮やかな一柱門
①多宝塔(タボタッ)
四角、八角、円形といった形状の異なる石を積んだ、特殊なデザインの仏塔。国宝
②紫霞門(ジャハムン)
境内に入るとまず見えてくるのが、仏国寺の本殿「大雄殿」に通じる紫霞門。二段式の階段となる白雲橋、青雲橋を上って門に到達する。門の奥は、釈迦のいる彼岸世界を具現化した世界とされる
③釈迦塔(三層石塔)
2段の基壇上に三層の石を積んだ典型的な新羅式石塔。別名、三層石塔。復元作業中に、塔内から仏舎利や遺物が発見され、現在国立慶州博物館に保存されている。多宝塔と対をなし、仏国寺にある国宝のうちのひとつ
④大雄殿(テウンジョン)
彼岸世界の中心となる本殿。楼閣には朝夕の修行で用いたとされる木魚や梵鐘といった仏具が残されている
⑤極楽殿(クンナッジョン)
極楽浄土を開いた阿弥陀如来を祀る。国宝に指定されている金銅阿弥陀如来座像が安置されている
⑥毘盧殿(ピロジョン)
毘盧遮那仏の蓮華蔵世界にある。本尊として、国宝に指定されている金銅毘盧遮那仏座像を安置している
750~780年頃に仏国寺を再建した宰相・金大城が創建した石窟で、アジア3大洞窟寺院のひとつに数えられる。石窟の中央に安置される白色の花崗岩で造られた釈迦如来座像が本尊。高さ3.48m、幅2.6mの巨大な仏像は精緻に装飾が施され、新羅の石造技術の高さを存分に感じさせてくれる。38体の像が彫り込まれる周囲の壁面も必見。
石造技術の粋を凝らした新羅仏教芸術の最高峰 釈迦如来座像
高さ3.4m、花崗岩造りの如来像。周囲には、菩薩や四天王像などの石仏が並んでいる
像の浸食防止のため釈迦如来座像の見学はガラス越しになる
額が光る!?
釈迦如来の額に埋め込まれたガラス玉は、朝日が差すと光るように設計されていた
如来の方向
本堂の前室は、如来像が冬至に太陽が昇る東を向くように設計されている
菩薩像
本像仏の周りに彫られた十一面観音菩薩像。柔らかな衣や繊細な装飾が表現されている
石窟入口に建てられた前室
石窟庵は1995年に世界遺産に登録
御堂から望む慶州市内
仏国寺のバス停近く、食堂街の西端にあるレストラン。さまざまな山菜のナムルで作る定食やピビンパッは、山里ならではの素朴な味わいが好評。韓国人に人気なのはツルニンジンをコチュジャン味噌で香ばしく焼いたトドックイ1万W。
【CLOSE UP!】トドックイ
トドッ(ツルニンジン)をコチュジャンで味付け。山菜料理の店ならではの珍味!
【関連リンク】
山菜をふんだんに使った人気のヘルシー料理
山菜ピビンパッ定食1万W。珍しい山菜ナムルが絶品。チゲやキムチなども付く
新羅第38代元聖王(在位785~798年)の墓といわれる場所で、統一新羅時代の王陵のなかでも、最も原型を保つものとして有名。後方にある古墳では土台に載る像にも注目を。これは十二支の半獣半人像でそれぞれの方角を示しているもの。
【CLOSE UP!】墓守の石像
墓は武人・文人・獅子像が守護。衣装には西域人の影響が見られる
美しい形で知られる第38代新羅王の墓
新羅黄金期の作で、石像や欄干などに、技術の粋が施されている
慶州で最も美しい陵墓といわれる
慶州に伝わる伝統工芸を保存する目的で1986年に造られた。仏国寺から普門湖に向かう途中に位置し、まるで山村を訪れたような静かな雰囲気。2000㎡の敷地内には、金属、陶磁器、木工、宝石、石工、刺繍、韓紙など、慶州各地に伝わるさまざまな伝統工芸の工房が十数軒集まっている。それぞれの制作過程を見学できるほか、工芸品の販売も行っている。
新羅歴史科学博物館
新羅歴史科学博物館(入館料5000W、不定休)では、石窟庵の構造などを再現
天馬窯
高品質の青磁が揃う
慶州高麗紫水晶
加工工程も見学可能
新羅窯
新羅土器の焼き窯
新羅王の遊び場であった別邸の跡地。今ではアワビ形の石の溝だけが残っており、ここで風雅な時間を過ごしたそう。
【関連リンク】
新羅王が遊んだ場所
観光情報を観光地ごとに紹介する雑誌スタイルの旅行ガイドブック「まっぷるマガジン」。その取材スタッフや編集者が足で集めた「遊ぶ」「食べる」「買う」「見る」「泊る」のおすすめ情報をご紹介しています。
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。