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まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2020年4月13日

ウィーンの街なかで見る革新的建築に目をみはる

19世紀末に沸き起こったユーゲント・シュティールの建築ブームのなか、偉大な建築家たちが手がけた作品を今も街なかで見ることができる。

ヨーゼフ・マリア・オルブリヒ (Joseph Maria Olbrich) 1867〜1908年

ヴァーグナーの後継者分離派のシンボルを設計

ボヘミア出身。ヴァーグナーの弟子で、分離派には結成当初から参加。ドイツのダルムシュタット芸術家村の建設に携わり、そこに制作拠点を置いた。師の理念を受け継ぎ、機能美と装飾性が融合した斬新な建築を遺した。

建築家 Episode

ダルムシュタット芸術家村の展示会場や芸術家たちの住居のほとんどはオルブレヒが設計を手がけた。

分離派会館

1897〜98年

月桂樹の葉を透かし彫りにした金細工のドームを持つ建物。「黄金のキャベツ」の愛称で親しまれている。19世紀後半、革新的な芸術表現を主張して体制と決別した若い芸術家の作品発表の場として創設されたもので、現在も展覧会場として使用されている。設計は、みずからもユーゲントシュティールの活動家であったヨーゼフ・マリア・オルブリヒ。正面入口の壁面には、「時代にはその芸術を、芸術にはその自由を」という分離派のスローガンが、金文字で書かれている。また地階には、1902年の分離派展に出展されたクリムトの大作『ベートーヴェン・フリーズ』を収蔵。ベートーヴェンの『交響曲第9番』をモチーフに、社会への風刺と幸福への憧れを描き出した傑作だ。

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【ここに注目!】

月桂樹のドーム

3000枚の金メッキされた月桂樹の葉と、700個の果実(ベリー)がドームを形成する。

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【ここに注目!】

ゴルゴンの彫刻

3つのゴルゴン像が入口の頭上にある。それぞれ建築・彫刻・絵画を象徴。シムコヴィッツの作。

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【ここに注目!】

3羽のフクロウ

幾何学的造形と、フクロウやカメなどの具体的なモチーフが融合したデザイン。

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【ここに注目!】

植物の彫刻

壁面を飾る植物をモチーフにした図案は現在も新鮮さを失ってはいない。

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【ここに注目!】

逆さトカゲ

ゴルゴン像の下の左右に、逆さに這った巨大なトカゲが出迎える。

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【ここに注目!】

巨大な甕を支えるカメ

入口の両側にはそれぞれ大きな甕を支える4匹(計8匹)のカメが待っている。

アドルフ・ロース (Adolf Loos) 1870〜1933年

時代が求めた装飾性を否定し、簡素さに普遍的な美を追求

ドレスデンで建築を学んだあとアメリカに渡り、シカゴの高層ビル群や実用的なデザインなどに強い影響を受けた。「装飾は犯罪のひとつ」と提唱するロースは、分離派の装飾性を激しく攻撃し、徹底的に装飾性を排除したシンプルな建物を造った。当時市議会をも巻き込む大論争が起こり、ロースは批判の的になった。

建築家 Episode

ロースの建築は「飾り気がなさ過ぎる」ことを理由に、建築許可がおりないことも多かったという。

マンツ書店

1912年

装飾を一切排除したウィーン建築の歴史にセンセーションを起こしたロース作品のひとつ。黒字に金のロゴを入れ、重厚感も併せ持つ。

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【ここに注目!】

双頭の鷲

ハプスブルク家のエンブレム「双頭の鷲」を店名の左右に配置。MANZの文字自体にも繊細な意匠が施されている。

ロースハウス

1909〜11年

王宮のミヒャエル広場に面して建つ、装飾を排除した建物。完成当初、のちにサラエボで暗殺されるフランツ・フェルディナンド公から、王宮を冒瀆するものとして「ミヒャエル門には二度と来ない」と強い反発を受けるなど世間の論争の的となった。

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あまりに簡素で王宮の華麗な建造物とつりあいがとれないため、窓に花箱を設置して非難をかわした

カフェ・ムゼウム

1898〜99年

アール・ヌーヴォー隆盛の時代に登場した画期的な内装。

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クリムトやシーレたちの溜まり場だった

オットー・ヴァーグナー (Otto Wagner) 1841〜1918年

世紀末建築の重鎮近代建築の基礎を築く

ウィーンに生まれ、1894年からウィーン・アカデミーの教授を務めた。分離派に加わったのは、結成から2年後の1899年。当時の作品には、マヨリカハウスなど装飾性を重視したアール・ヌーヴォー的な影響が見受けられるが、後期は余計な装飾を排除し、機能性と美を融合させた近代建築を実現させた。

建築家 Episode

ウィーンの都市計画に携わり、水門や鉄橋などの公共建築も手がけた。市内で彼が設計した建築物は60ほどで、そのうち30以上が鉄道駅舎。

マヨリカハウス&メダイヨン・マンション

1898〜99年

マヨリカハウスは、ヴァーグナーが建設した集合住宅。マヨリカ焼のタイルを使用し、鮮やかなピンクの花びらと緑の葉が壁面を覆う。メダイヨン・マンションの、金を主体とした壁面装飾には、女性の顔とゆるやかな曲線やツタ模様が描かれ、ユーゲントシュティールの特徴が見られる。

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【ここに注目!】

メダル型のレリーフ

壁面上部のレリーフはコロ・モーザーによる。

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【ここに注目!】

叫ぶ女性の像

分離派会館の入口を飾るゴルゴン像などで知られる、ハンガリー生まれのオトマール・シムコヴィッツによるもの。

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【ここに注目!】

バラの陶板の装飾

マヨルカ焼の壁面タイルが見せる花模様は、いかにも世紀末の装飾を感じさせる。

郵便貯金局

1904〜12年

フランツ・ヨーゼフ1世の命で、ヴァーグナーが建設。外観の特徴は、外壁の大理石板とコンクリートを留めるアルミのビスが規則的に表面に点在し、それ自体が装飾となっていること。合理性も機能性も重視された近代建築の代表。現在も郵便貯金局として運営しているが、ヴァーグナー博物館も併設している。

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自然光をガラス張りの天井から採光。建材としてアルミも使用した

シュタインホーフ教会

1905〜07年

緑に金を施したクーポラ、ファサードには4体のエンジェル像が立つ。内部装飾もきらびやかな輝きを放つ。

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ヴァーグナー晩年の傑作

カールスプラッツ駅舎/オットー・ヴァーグナー・パヴィリオン

1894〜98年

オットー・ヴァーグナー設計によるU4全線の駅のうち、とくに有名なユーゲントシュティールの駅舎。U4のカラーである薄緑色を基調とし、金装飾が特徴的な2つの駅舎が向かい合う。ひとつは駅舎の模型や、1911年都市計画のプランなどがある博物館、もう一方はカフェになっている。

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ユーゲントシュテールによく見られるヒマワリが描かれている

ウィーンのガウディと呼ばれたフンデルトヴァッサーの建築

フンデルトヴァッサー(1928〜2000年)の建築物は、ウィーンの街において目立つ存在だ。まずはレーヴェン小路にあるフンデルトヴァッサーハウスから、彼の作品めぐりをスタートしよう。曲線を組み合わせた外観に、植物がまとわりついて一体となった建物だ。現在も人が住んでいる市営住宅なので、内部は非公開。次に行くクンスト・ハウス・ウィーンは2、3階が美術館で、中庭は緑に囲まれたレストラン。庭の裏手の船着き場には、フンデルトヴァッサーがデザインした観光船も停泊する。

フンデルトヴァッサーハウス

1986年

強烈な色彩。傾いた廊下や空中庭園など曲線で構成されている。通路も凹凸があり曲がりくねっている。

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アドルフ・ロースとは対極的な思想を持つ

クンスト・ハウス・ウィーン

1991年

かつて家具工場だった建物は、斬新なデザインで生まれ変わった。中庭にはレストランがある。

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床の階段も波打った形で、どこにも直線がない

ゴミ処理場

1988〜92年

駅からも見える巨大な塔。フンデルトヴァッサーは、1997年には大阪の清掃工場の建設も手がけている。

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外観は個性的だが、施設としての機能は十分に備えている

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