【パリ】ヴィンテージショップ&古着屋めぐり!
今回紹介したいのは、観光名所を回る旅行とはまた一味違うパリめぐり。パリにはたくさんのヴィンテージショップが存在します。人と同じなんてつまらないと、オリジナルであることを重要視するパリジャンたちの多くは...
更新日:2020年4月13日
パリの観光で欠かせないのが美術館。レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザを有するルーヴル美術館、印象派の絵画を中心に19世紀の作品が充実したオルセー美術館、近現代の作品を数多く所蔵するポンピドゥーセンター国立近代美術館を筆頭に、量においても質においてもパリ程美術館の充実した都市は世界にも数少ないのではないのでしょうか。けれども有名な美術館であればある程人込み、長蛇の列は必須です。また、何回もパリを訪れていると有名どころでなく、いつもとはちょっと違った美術館を訪れたくなりますね。そんな時にお勧めなのが、クリュニー中世美術館(Musée de Cluny Musée national du Moyen Âge Paris)です。
地下鉄10号線のクリュニー・ラ・ソルボンヌ駅を降りるとそこはパリの学生街カルティエ・ラタン。駅のある大通りから一本裏道に入った所に、歴史を感じさせる優雅な建物があります。入口があまり目立たないので、うっかり通り過ぎそうになりますが、この建物こそがクリュニー中世美術館です。建物自体は元々クリュニー修道会の修道院長の邸として建てられ、15世紀後半にほぼ現在の形となりました。後期ゴシック様式の代表的な建築様式であるフランボワイヤン様式の精緻な装飾が特徴的です。
中世に建てられた建築物を中世の作品を集めた美術館に使用する、これだけでも素晴らしい事ですが、更に興味深いのはこの建物の敷地が実は古代ローマ時代の大浴場跡であった事です。今でもこの浴場は遺跡として保存されており、その一部は何と展示室として使われています。
Musée de Cluny, by Olivier Bruchez, CC BY-SA
musée de cluny, by ho visto nina volare, CC BY-SA
musée de cluny, by ho visto nina volare, CC BY-SA
中世ヨーロッパというと、一般的には5世紀から15世紀という途方もなく長い時代を指しますが、クリュニー中世美術館ではその名が指し示す通り、この時代の美術品を主とした23,000点程の作品を展示しています。そのコレクションは、パリのノートルダム大聖堂の彫刻品、サン・ジェルマン・デ・プレ教会の扉、サント・シャぺルのステンドグラスと言ったパリの有名な宗教建築物に由来するものから、金銀細工や七宝細工を施された美術品、騎士が使用した武具、当時の人々の生活を物語るタピスリー、木製のゲーム盤までと非常に多岐に渡ります。これまで中世に興味がなかった人も、当時の芸術家や職人の素晴らしい技術に感心し、中世の人々の生活を身近に感じられる事でしょう。
Stained glass panels depicting four of the apostles: St John, St. James the Greater, St Paul, and St Peter – Musée de Cluny / Musée national du Moyen Âge, Paris, by Hunky Punk, CC BY-SA
Bookbinding plate: Christ in Majesty (Spain or Limousin, c.1150-75), Musée de Cluny / Musée national du Moyen Âge, Paris, France, by Hunky Punk, CC BY-SA
Musée de Cluny, by Olivier Bruchez, CC BY-SA
中世の作品がこれでもかというまでに展示されているクリュニー中世美術館の中でも、最大の見所が連作タピスリー「貴婦人と一角獣」です。実際、美術館を訪れる人の多くがこの作品目当てではないでしょうか。「貴婦人と一角獣」は6枚のタピスリーで構成されており、いずれも赤を背景に中央に貴婦人、彼女の左手に一角獣、右手にライオンという構図で、背景の赤とは対照的な鮮やかな青が所々効果的に使われた非常に美しい作品です。6枚のタピスリーのうち5枚は、貴婦人がお菓子をつまんでいたり、楽器を奏でていたりと、彼女の行動から人間の五感である「視覚」「聴覚」「味覚」「臭覚」「触覚」を表しているとされています。しかし残りの1枚については、「私の唯一の望みに」と書かれてはいるものの、貴婦人は他の5枚のタピスリーで身に着けていた首飾りを手に持ち、傍らの侍女は宝箱を手にしているだけです。この首飾りは箱から取り出しているのか、それとも箱の中へ戻す所なのか、そもそもこのタピスリーは6枚のうち最初に来るべきなのか、最後に来るべきなのか、考えれば考える程分からなくなってしまいます。この作品が飾られている専用展示室は、保存上の理由から部屋の照明はかなり落とされており、じっくり集中して鑑賞できる雰囲気です。不思議な作品を目の前に、この大いなる謎解きに挑戦してみてはいかがでしょうか。
The Lady and the Unicorn tapestries (c.1500), Musée de Cluny / Musée national du Moyen Âge, Paris, France, by Hunky Punk, CC BY-SA
musée de cluny, by ho visto nina volare, CC BY-SA
musée de cluny, by ho visto nina volare, CC BY-SA
クリュニー中世美術館は、中世という時代に焦点をあてたちょっとユニークな美術館です。所蔵する美術品の内容もさることながら、建物、敷地にまで歴史を感じる事が出来ます。中世が大好きな方はもちろん、パリでたまには変わった美術館を訪れてみたいという方も、是非一度足を運んでみて下さい。
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