更新日:2020年4月13日
ポツダム、歴史と文化の街を堪能しよう!
「ポツダム」と言えば、サッカーチームを連想する人が多いでしょうか?それとも、歴史で習った「ポツダム宣言」でしょうか?ポツダムは、ベルリンから近く、たいへん興味深い街ですが、旧東ドイツの地域であったこともあり、ドイツの観光地としては、比較的、新しいと言えます。ベルリンから近いゆえに、駆け足の観光になりがちですが、実は、じっくりと回りたい街です。ここでは、ポツダムの歴史と文化を巡る必見スポットをご紹介します。
サンスーシー宮殿と庭園パーク
18世紀半ばに建設された宮殿で、世界遺産に登録されています。「サンスーシー」とは、フランス語で「憂いが無い」と言う意味で、日本語では「無憂宮」とも称されます。優れた国王として歴史に名高いフリードリヒ2世は、戦いにも長けていましたが、本来は、芸術、哲学、音楽を愛し、その才能にも優れていた国王でした。この宮殿の名は、本音を言えば、政治や戦いよりも、芸術や音楽に人生を捧げたかったフリードリヒ2世の憂いを秘めているように思えます。
by Nigel’s Europe & beyond, CC BY-SA
当時、オーストリアのハプスブルク家と覇権を争っていたプロイセン王国。サンスーシー宮殿の建設は、フリードリヒ2世のハプスブルク家への挑戦ともとらえられますが、実際には、力を誇示する宮殿というよりも、王が心おきなく親しい友人達と過ごした居城でした。比較的、地味な外観ながら、ロココ調の内装がたいへん豪華で美しいのも、力の誇示よりも、そこで過ごす時間が大切であったことを示しているようです。
by Nigel’s Europe & beyond, CC BY-SA
美しいバロック庭園を含む敷地は広大で、新宮殿、噴水、チャイニーズティーハウス、オラジェリーなど多数の建造物があります。全ての建造物と庭園パークを回るには、1日かけても無理なほどの広さです。(庭園パークは、一般公開されており、自由に散策することができます。)
by Nigel’s Europe & beyond, CC BY-SA
晩年、フリードリヒ2世は、サンスーシー宮殿で厭世的な生活を送りました。「愛犬とともに埋葬して欲しい」という願いが叶えられ、国王と愛犬は、この地に埋葬されています。
by Rob124, CC BY
ツェチィリエンホーフ宮殿
1917年に建設された宮殿は、ドイツらしいレンガ造りの建物です。宮殿と言っても煌びやかな印象はありませんが、歴史的な価値が認められて世界遺産に登録されています。この宮殿は、1945年、歴史的な「ボツダム会談」が開かれた場所で、第二次世界大戦の戦後処理についての協議が行われました。敗戦国のドイツの宮殿を占拠して、米英ソの3国首脳が戦後処理会談を行ったという事実そのものに戦争の哀しさを感じます。
by micknfranzie, CC BY-SA
現在、この宮殿は、ポツダム会談、戦後処理、第二次世界大戦についての学べる博物館となっています。博物館としても興味深いですが、宮殿は、水辺の美しい場所にあり、歴史について思いを巡らせながら静かな散策ができます。
by Bardsworld, CC BY
by michimaya, CC BY
オランダ地区(Holländisches Viertel)
ポツダムの中心部にあり、18世紀に建設された130軒ほどのオランダ風のレンガの建物が並ぶ区域です。当時、ポツダムでは、街の拡大工事に多くのオランダ人職人を必要としました。彼らが、自国の心地よさを感じられるようにと言う計らいで造られたのが、このオランダ地区です。
今でも、どこか可愛らしい感じのする建物が保存され、多くのカフェ、レストラン、ショップがあります。ポツダムで異国を感じるオランダ区、とても魅力的です。心地よいカフェで、オランダ風のパンケーキとコーヒーの休憩も素敵なひと時です。
by AugustusTours, CC BY-ND
by michimaya, CC BY
ロシア地区「アレキサンドロフカ(Alexandrowka)」
第二次大戦後、東ドイツのポツダムには、強いソ連の影響がありました。ここに、アレキサンドロブカが存在するのはそのせいかなと思いきや、実は、歴史は18世紀にまで遡ります。プロシア国王のフリードリヒ・ヴィルヘルム3世と、ロシア帝国のアレキサンダー皇帝には深い親交があり、ロシア人が音楽や余暇を楽しめるように特別地区が造られました。今では、世界遺産登録地域の一部になっています。
ここから、程近い、小高い丘の上には、19世紀からのロシア正教教会があります。厳かな教会内は、イコノスタシスがたいへん美しく、祈りの場であることが強く感じらます。
by Nigel's Europe & beyond, CC BY-SA
グリーニッカー橋(Glienicker Brücke)
ベルリンにつながる橋ですが、ここは、ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが統一を果たす以前の冷戦時代に、最も知られていた場所です。と言うのは、この橋は、政治犯として逮捕された東西のスパイの交換が行われた場所だからです。わたしたちにとっては、映画の1シーンのような出来事が、ここで、繰り広げられていたのです。
by AugustusTours, CC BY-ND
by blacknetz11, CC BY
数々の歴史的なモニュメントや建物
「ロイヤルタウン」としての歴史を含め、ポツダムの歴史や文化に触れながら、市内を散策するのがおススメです。散策ルートと、電話を使用したガイドが充実しているので、一層、興味深いです。
ポツダム駅を出発点とし、旧市場(Alter Markt)、聖ニコラス教会、旧市庁舎、新宮殿、新市場、ブランデンブルグ門、新門などが、順路にあります。1000年以上の歴史を持つポツダムの、一見隠れているような歴史と魅力が、じわじわと感じられるでしょう。
聖ニコラス教会, by worldaroundtrip, CC BY
映画パーク「バーベルスバーグ」(Filmpark Babelsberg)」
1911年からの歴史を持つ映画パークで、規模の大きな映画スタジオとしては世界最古です。京都の映画村と、ユニバーサルスタジオをあわせたような映画パークです。
Filmpark Babelsberg, Foursquare.com
ここでは、数多くの有名な映画やドラマが撮影されてきました。そして、ヒットラーが支配した時代には、数多くのプロパガンダ映画が撮影され、東ドイツ時代には、国営のテレビ局、映画作成の場所でもありました。ベルリンの壁崩壊以降、映画パークはさらなる発展をし、近年の作品「愛を読む人(The Reader)」や、多数のハリウッド映画の撮影も行われています。
「バーベルスバーグ」では、4Dライドの他にも、映画やテレビ撮影に使われる「中世の町」「ウェスタンの通り」が体験でき、2500席の会場で行われる迫力いっぱいのスタントショー、映画に登場する動物たちが登場するユニークな動物ショーも楽しめます。あまり知る機会の無い、舞台裏の秘密、セット芸術、衣装、コスメティックなどについても知ることができます。
Filmpark Babelsberg, Foursquare.com
ユニバーサルスタジオのような派手さはありませんが、オーディオガイドを使って、映画パークの歴史を辿ることができるミュージアム的な映画パークという側面も、ドイツらしくて良いです!
by Jörg Weingrill, CC BY
冒頭でも述べましたが、ポツダムは、旧東ドイツであったため、観光地としての本格的な整備が始まったのは、ベルリンの壁崩壊後・東西ドイツ統一後です。そのため、ベルリンに隣接した魅力に溢れる街ですが、観光地としては、比較的、新しく、近年、ようやく改修工事などが整ってきた感じです。今後、ポツダムの魅力がますます注目されるようになると思います。
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