南フランス旅行に行こう! 〜 コート・ダジュール編
パリ、モン・サン・ミッシェルと共にフランス旅行の目的地として人気の南フランス。一口に「南フランス」と言っても、西は大西洋、東はイタリアに接しており、各地方によってその特色はかなり異なります。けれども日...
更新日:2020年4月13日
世界には絶景と呼ばれる場所がたくさんありますが、フランスの中南部に位置するオーヴェルニュ地方の町、ル・ピュイ=アン=ブレは一度その風景を見たら忘れることは出来ない印象的な場所です。町の中に火山活動が作り出した奇妙な形の岩が聳え立つ、それだけでも人々を驚かせる光景ですが、ここではこの地方特有の地形と信仰が見事に融合し、その神秘的な姿が多くの観光客を引き付けています。今回は絶景と信仰の町、ル・ピュイ=アン=ブレをご紹介したいと思います。
オーベルニュ地方は火山地帯に位置し、フランスでも雄大な自然が広がる地域として知られています。日本でも有名なミネラルウォーター、ヴォルビックや温泉保養地として有名なヴィシーもオーベルニュ地方の町の一つです。
Le Puy-en-Velay, by Konrad Hädener, CC BY
ル・ピュイ=アン=ブレはオーベルニュ地方の南東に位置し、町では火山活動によって隆起した岩が地面から生えているかの様な珍しい光景が見られます。
Cathédrale Notre-Dame-de-l’Annonciation du Puy-en-Velay, by Konrad Hädener, CC BY
この町に人々が訪れる目的は奇岩だけではありません。フランス国内に4つある、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂への巡礼路のうちの一つの出発点として世界遺産「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」に登録されているのです。
Cathédrale Notre-Dame-de-l’Annonciation du Puy-en-Velay, by Konrad Hädener, CC BY
また、大聖堂に安置されている「熱病の石」と呼ばれる岩は、ローマ時代に病にかかった女性がこの石の上に聖母マリアを目撃し、病が治ったという言い伝えがあり、古くから巡礼の地として栄えて来ました。
従って、ル・ピュイ=アン=ブレの町で特異な地形と信仰が結びついたのは自然の結果だったのでしょう。町を見下ろす巨大なノートルダム・ド・フランス像はコルネイユ岩山の頂上に立っています。クリミア戦争で使用した大砲を溶かして造られたこの像は、中が空洞になっていて、頭の部分まで登って町を一望する事が出来ます。
町のシンボル的存在である大聖堂は、コルネイユ岩山を下っていくとあります。旧市街から大聖堂の正面入口までは階段を上って行くのですが、階段の奥に聳え立つ大聖堂の姿は非常に印象的です。
Le Puy en Velay, by Sylvain Naudin, CC BY-SA
もう一つの見所であるサン・ミシェル=デギル教会は、サン・ミシェル岩山の頂上に張り付くかの様に建てられています。頂上までは急な石の階段を上って行くのですが、高所恐怖症の方にはお勧めできない、なかなかスリルのある景色が楽しめます。教会内部は静寂に包まれた神秘的な祈りの場となっています。
ル・ピュイ=アン=ブレの見所は、宗教建築に留まりません。古くから巡礼の町として多くの旅人を受け入れてきた、かつての繁栄の跡を旧市街に多く残しています。大聖堂正面の道を下っていくとあるターブル広場は15世紀の噴水を中心に、レンガ造りの家やパステルカラーの可愛いらしい家が並んでいます。
Le Puy-en-Velay, by Konrad Hädener, CC BY
シェーヌブトリ通りは今では商店が立ち並びますが、16世紀の商人の家が残っていたりします。その他、歴史的に重要な建物の前には説明つきの看板が立っている事が多いのでそれを目印にされると、意外な発見があるかもしれません。
奇岩と信仰が織りなすル・ピュイ=アン=ブレの景色は、一度見たら忘れる事が出来ない程印象的です。二つの岩山を中心としたカトリック信仰の世界とそれを取り巻く可愛らしい中世の街並みをぜひ一度訪れてみて下さい。
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