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Schloss Neuschwanstein, by Mathias Apitz (München), CC BY-ND

まっぷるマガジン編集部

更新日:2020年4月13日

ドイツ【ノイシュヴァンシュタイン城】内部を徹底解説!

バイエルン王ルートヴィヒ2世が人生で最も熱心に築城に取り組んだこの城は、中世騎士道の世界に憧れ、現実から逃避していた彼にとっては「夢の城」だった。とくに、「歌人の間」、「玉座の間」は必見だ。

ガイドツアーの流れ

2階の中庭で順番を待ち、ツアーが始まると4階、5階の順に見学していく。最後に1階へ下りてツアーは終了。その後は3階のカフェやショップにも立ち寄れる。見学所要時間 1〜4時間

4階 王の日常生活の場など多くの部屋が設けられ、それぞれさまざまな趣向が凝らされている。

5階 華やかな「歌人の間」のほかは「控えの間」があるのみ。西側は4階の「玉座の間」からの吹き抜け。

ワーグナーはなぜ城見学のキーワード?

城主のルートヴィヒ2世はワーグナーの才能に心酔しており、城を建設する際には、おもな部屋に彼のオペラ作品をモチーフにした絵や装飾を施した。部屋をまわるときにはどのオペラがモチーフか知っておくと理解が深まる。

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階段に面した台形の部屋は丸い天井の模様が美しい 控えの間 Unterer Vorplatz

らせん階段を4階まで上り、まず入る部屋。アーチ状になった天井が印象的。壁にはワーグナーの歌劇『ニーベルングの指輪』の原型になった物語が描かれている。

モチーフとなった作品
『ニーベルングの指環』Der Ring des Nibelungen
世界を支配できる魔法の指輪をめぐる神々と英雄との戦いがモチーフ。龍など伝説上の生き物も登場する。壁に描かれたのは物語の原典となった龍と戦う主人公ジークフリートの姿。

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Schloss Neuschwanstein, by Mathias Apitz (München), CC BY-ND

5階にも同じような様式の「控えの間」が造られている

2 国王が座ることのなかった美しい装飾の城の中心部 玉座の間 Thronsaal

神の加護を受けた王国と城のシンボルとして、床には植物のモザイク、天井には太陽と星が描かれ全宇宙を表現している。教会のような造りは、王の強い信仰心の表れだ。重さ900kgのシャンデリアは純金メッキ製。王の突然の死により、実際に玉座は備え付けられなかった。

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, by amsfrank, CC BY-SA

5階まで吹き抜けになっており、壁には神々や過去のヨーロッパの王たちの姿が描かれている

絵と絶景が楽しめる王の食事の場 食堂 Speisezimmer

調理場は1階にあるため、料理は専用エレベーターで引き上げられた。テーブル脇には装飾豊かな食器棚が設置されている。また、窓からの眺望も素晴らしい。

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speisezimmer_370.jpg, by J. SQUIRES PHOTOGRAPHY, CC BY-ND

壁画はヴァルトブルク城での歌合戦が題材となっている

教会をモチーフにした装飾が美しい 寝室 Schlafzimmer

大きなベッドは、身長が191㎝あったという王の背丈に合わせたもの。ベッドの足元にはキリストの復活、天蓋にはヨーロッパ中の聖堂をモチーフにした彫刻が施されている。これは「教会の下で眠る」ことを意味している。

モチーフとなった作品
『トリスタンとイゾルデ』 Tristan und Isolde
中世に宮廷詩人たちが広く語り伝えた、騎士トリスタンと君主マルク王の妃となったイゾルデの悲恋物語。寝室の壁には2人の姿、媚薬を手渡す場面、トリスタンが死にいたる場面などが精緻に描かれている。

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寝室には王専用の礼拝堂を設置。小規模ながら造りは立派

美しい絵画や宝石箱が訪れる人を魅了する 更衣室 Ankleidezimmer

王が着替えをする部屋。壁の絵画はワーグナーのオペラ『ニュルンベルクのマイスタージンガー』など。

モチーフとなった作品
『ニュルンベルクのマイスタージンガー』Die Meistersinger von Nürnberg
騎士ヴァルターが見初めた娘エファは、ヨハネ祭で行なわれる歌合戦の優勝者に求婚されることになっていた。ヴァルターは、参加条件となるマイスタージンガーの資格を得るために試験を受けることを決意、波乱の物語が始まる。

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ankleidezimmer_370.jpg, by J. SQUIRES PHOTOGRAPHY, CC BY-ND

ほかの部屋の天井は木張りだが、ここは天井画が描かれている

国王のお気に入りの品が集められた一室 居間 Wohnzimmer

4階にある王の居間。部屋の壁一面には、ワーグナーのオペラのモチーフにもなった『ローエングリン』の場面が描かれている。客を迎えるサロンと王専用の小部屋「白鳥の間」に区分されており、まわりを見渡せば、王の好みとこだわりが感じられる。

モチーフとなった作品
『ローエングリン』 Lohengrin
弟殺しの罪に問われた娘エルザを、突然現れた白鳥の騎士が救う物語。ふたりは結婚するが、娘は素性のわからぬ騎士に疑念を抱いてしまい、悲劇の終焉を迎える。

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写真左奥に飾られているのが、王が愛した『ローエングリン』の絵画

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奥付:
この記事の出展元は「まっぷるドイツ ロマンティック街道」です。掲載されている電話番号、営業時間、料金などのデータは2017年6月〜8月現在のものです。いずれも諸事情により変更されることがありますので、ご利用の際には事前にご確認ください。また、掲載の商品は取材時のもので、現在取り扱っていない可能性があります。

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