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色褪せぬ名作!『魔女の宅急便』のモデルとなった地を探訪~いつかは必ず行きたいスウェーデンと気軽に行ける日本の聖地 画像:PIXTA

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更新日: 2024年4月28日

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色褪せぬ名作!『魔女の宅急便』のモデルとなった地を探訪~いつかは必ず行きたいスウェーデンと気軽に行ける日本の聖地

「ジブリアニメ」の金字塔であり、もはや「アニメ」というジャンルを超えたひとつの「物語」として広い世代に親しまれている作品『魔女の宅急便』

角野栄子さんによる同名の児童文学書を原作に持つ本作が、宮崎駿監督によってアニメ化されたのは1989年。公開から35年が過ぎた今でもテレビでは定期的に放映され、そのたびに「ニシンのパイ」などの名シーンがインターネット上を賑わせているのはすごいですよね。

また、糸井重里さんによる有名なキャッチコピー「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」にもあらわれているように、主人公のキキが新天地で暮らしていくうえで頻繁に落ち込んだり寝込んだりと、決して天真爛漫なだけではなく描かれているのも、大人にこそ響く作品になっているなあと思います。

というわけで、今回はそんな国民的アニメ作品『魔女の宅急便』のモデルとなった地を訪ねます!

『魔女の宅急便』の舞台は公式に発表されている

『魔女の宅急便』の舞台は公式に発表されている
画像:PIXTA

ヨーロッパの古き良き街並みであろうことは一目瞭然な『魔女の宅急便』の舞台ですが、じつは公式に情報が出ているんです。それも、本などではなくホームページに!

スタジオジブリの公式サイトでメニューから「Q&A」を選ぶと、「作品の舞台はどこですか?」という質問があり、「大いに参考にした場所」として「スウェーデンのストックホルム、バルト海のゴトランド島ヴィスビーの町」と明記があります。こんなに頼もしい情報源はありません。

では早速、ストックホルムから見ていきましょう。

『魔女の宅急便』の舞台・ストックホルム

『魔女の宅急便』の舞台・ストックホルム
画像:PIXTA

スタジオジブリが『魔女の宅急便』で「大いに参考にした場所」と発表しているロケーション・一つ目は、スウェーデンの首都ストックホルム

ストックホルムは、「北欧のヴェネツィア」とも呼ばれる水の都です。旅立ったキキが「海の見える街」を求めてホウキで飛んできたコリコの街。まさにその風景がここにはあります。

「海に浮かぶ街よ!」-ストックホルム市庁舎からの眺め

「海に浮かぶ街よ!」-ストックホルム市庁舎からの眺め
画像:PIXTA

カモメと一緒に飛んできたキキが、黒猫ジジに「見て! 海に浮かぶ街よ!」と興奮混じりに話しかける風景。当然ながらホウキに乗れない私たちは飛行機でも飛ばさない限りこの絶景を空から見ることはできないわけですが、そんな私たちにも一つ、手段があるみたいです。

それは「ストックホルム市庁舎」の展望塔に登ること。

ノーベル賞受賞者の晩餐会が開かれることで有名な、ストックホルム市庁舎。106mの高さを誇る展望塔もまた、ストックホルムのランドマークとなっており、展望台からはまさしく「海に浮かぶ街」な眺望をのぞむことができます。

なお、こちらの展望台には申し込み制のツアー(夏季限定)でしか登ることができないため、ご注意ください。

  ストックホルム市庁舎
  住所 Hantverkargatan 1, 111 52 Stockholm

「時計塔よ! 私こんな街に住みたかったの!」—時計塔のモデル

キキが最初に目をとめるのは、コリコの街のシンボル、時計塔。
「時計塔よ! 私こんな街に住みたかったの!」と喜び、映画終盤では大スペクタクルの舞台ともなります。

ストックホルムの街に、この時計塔はあるのでしょうか。

じつは、先程の「ストックホルム市庁舎」の外観と、「ストックホルム大聖堂」の時計塔をミックスしたものではないかと言われているようです。

ストックホルム市庁舎(画像:PIXTA)

ストックホルム大聖堂(画像:PIXTA)

  ストックホルム大聖堂
  住所 Trångsund 1, 111 29 Stockholm

そして、ストックホルム大聖堂がある旧市街「ガムラスタン」も、『魔女の宅急便』の世界を存分に味わえる場所となっています!

「この街に住まわせていただきたいんです!」—ガムラスタンの街並み

「この街に住まわせていただきたいんです!」—ガムラスタンの街並み
画像:PIXTA

「私、この街に住まわせていただきたいんです!」

コリコの街に一目惚れしたキキ。風格と可愛らしさを持ち合わせた街並みは、ストックホルムの旧市街「ガムラスタン」がモデルとみて間違いないでしょう。

「古い街」を意味する「ガムラスタン」は、13世紀に作られた歴史ある街。スターズホルメン島という島にあり、一時間もあれば一周できてしまうコンパクトな街となっています。この街に関しては、もう街全体が『魔女の宅急便』の世界そのもの!

画像:PIXTA

あの路地も、あのトンネルも、あの窓も看板も壁飾りも、歩いているだけで胸がときめくこと必至です。

画像:PIXTA

ホウキで空高く飛び上がるキキをトンボが見上げていた細い路地—を思わせる「モーテン・トローツィグ・グレン通り(幅90センチ。ストックホルムで一番細い小道、だとか!)」や、ひときわフォトジェニックな色彩の建物が立ち並ぶ「ストールトルゲット広場」など、コンパクトな街とはいえカメラ片手に歩いていたら一日楽しめそうですね。

画像:PIXTA

さて、もう一つのロケーション、ゴットランド島へ移動してみます。

『魔女の宅急便』の舞台・ゴットランド島ヴィスビー

スタジオジブリが『魔女の宅急便』で「大いに参考にした場所」と発表しているロケーション・二つ目は、バルト海に浮かぶ最大の島・ゴットランド島(※1)。なかでも、中世時代の城壁をほぼ完全な姿で残しているという都市・ヴィスビー(※2)は『魔女の宅急便』の世界を全身で味わえる場所と言えましょう。

(※1) 公式には「ゴトランド島」と表記されていますが、ここでは「ゴットランド」と表記します。
(※2) 「ヴィスビュー」と表記されることもあります。

「海の見える街」コリコの家並み

コリコの街と出会い、希望に胸を膨らませたキキが、しかし散々な初日を過ごした夕暮れ。ジジにまで「もっといい街があるよ、きっと」なんて慰められながらしょんぼりと見下ろしていた風景は、まさしくヴィスビーのもの。

画像:PIXTA

赤茶色の三角屋根に薄黄色の外壁を持つ家々が立ち並び、その向こう側には広大なバルト海。ヴィスビーの高台からこの眺めを見たら、すっかりキキの気持ちになれそうです。

そしてこの場所、映画の中では「グーチョキパン店」の前の通りなんですよね。

「グーチョキパン店」は実在するのか?

映画を観ている私たちをも「ほっ」とさせてくれる存在、おソノさんの「グーチョキパン店」。そのモデルについて確かな情報はありませんが、ファンの中ではこちらのお店が有力視されているようです。

また、ストックホルムのユールゴーデン地区にある野外博物館「スカンセン」には、店内の作りが「グーチョキパン店」と非常によく似た「パン屋さんの展示」があるそうです。店内では伝統的な作り方で実際にパンを作っており、買うこともできるとのこと!

  「グーチョキパン店」のモデル店?
  住所 Södra Kyrkogatan 5, 621 56 Visby

「ヴィスビーの輪壁」—よく見ればあちらこちらに

「ヴィスビーの輪壁」—よく見ればあちらこちらに
画像:PIXTA

先程も少し触れましたが、ヴィスビーには中世の時代に築かれた城壁(輪壁)が限りなく当時の姿で現存しており、ユネスコの世界遺産にも登録されているんです。

よく見てみると『魔女の宅急便』のコリコでも、この城壁はあちらこちらに登場。たとえばキキとトンボが自転車で転げ落ちた後のシーンなど、トンボの後ろにしっかりと「輪壁」が描き込まれています。

終盤の大スペクタクル、倒立し制御不能となった飛行船に野次馬が群がるシーンでも、城壁から見ている人々が描かれていますね。ちなみにこの「飛行船事故」にも、モデルとなった実際の事故があるそうです。

『魔女の宅急便』の世界を国内で味わいたい!

ここまでご紹介しておいてなんですが、スウェーデンはそう気軽に行ける場所でもありません。日本国内で『魔女の宅急便』の世界を味わえる…かもしれないスポットなどをいくつかご案内します。

「ウルスラの絵」を見に行こう

「ウルスラの絵」を見に行こう
イメージ画像:PIXTA

森で暮らす画家ウルスラがキキをイメージして描いた巨大な絵。この絵は、青森県八戸市立湊中学校の養護学級生徒が共同で制作した《虹の上をとぶ船総集編Ⅱ 星空をペガサスと牛が飛んでいく》という版画が元になっています。なお元の絵には「キキの顔」にあたる部分はありません。

この版画を所蔵しているのは、同じく青森県の「八戸市美術館」。《星空をペガサスと牛が飛んでいく》を含む展示が今年(2024年)の秋に企画されているようですので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

なお「ウルスラ」という名前は劇中で一度も呼ばれることがありません。また、声を担当しているのはキキと同じ高山みなみさん。成長した自分自身との対話?などと考察の膨らむ、不思議な要素の多いキャラクターです。

八戸市美術館

住所
青森県八戸市番町10-4
交通
JR八戸線本八戸駅から徒歩10分
営業期間
通年
営業時間
10:00~19:00
休業日
火曜、祝日の場合は翌日休(年末年始休)
料金
展覧会により異なる

「魔法の文学館」へ行ってみよう

「魔法の文学館」へ行ってみよう
撮影:353

原作者・角野栄子さんが東京都江戸川区にオープン(2023年11月)した「魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)」をご存知でしょうか。「魔女の宅急便」シリーズをはじめとした角野さんの著作はもちろん、角野さんセレクトの児童文学書がたっぷり蔵書された施設です。

筆者も先日行ってきたのですが、きっと角野さんが思い描かれた通りの、子どもたちがあちらこちらで本に夢中になっている光景に心が温まりました。そして何より、角野さんが好きな「いちご色」で統一された館内が本当に可愛い! 1階は「コリコの町」と名付けられており、時計塔もありますよ。

日時指定の事前予約が基本となっておりますので、行かれる際は最新情報のチェックをお忘れなく。

また、言わずもがな「三鷹の森ジブリ美術館」「ジブリパーク」も外せません。なかでもジブリパークにオープンしたばかり(2024年3月16日)の新しいエリア「魔女の谷」にはキキの実家やグーチョキパン店が再現されているとか。北欧まで行かずしてキキの気分を味わえそうです!

  魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)
  住所 東京都江戸川区南葛西7丁目3-1 なぎさ公園内

原作「魔女の宅急便」を読んでみよう

原作「魔女の宅急便」を読んでみよう
画像:Amazon

児童文学が原作ということは、本来どこへも行かずに、頭の中で全てを完結できるということでもあります。……ということで、未読の方には、角野栄子さんによる原作もおすすめします!

アニメ版とは異なる部分が多い一方で、一字一句違わず残されているせりふ回しもあったりして興味深いです。映画では描かれない、キキや登場人物たちの「その先」も読むことができますよ。

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。

やっぱり行きたい!『魔女の宅急便』の舞台スウェーデン

スウェーデンから日本国内まで、『魔女の宅急便』にまつわるスポットを少し反則技も含めてご紹介してきました。

白状しておきますと、筆者はスウェーデンに行ったことがありません。しかし今回調べるなかで、特にストックホルムのガムラスタンには行ってみたい!という気持ちが非常に高まりました!
スウェーデンの旅行は、夜10時ごろまで明るい夏場がおすすめとのこと。ぜひ今から夏の計画を立ててみてはいかがでしょうか。ただしスウェーデンの夏は6〜8月と、少し早いのでご注意を!

そして『魔女の宅急便』という作品。春から始まった新生活で、思うようにいかず悶々としている方にこそ観てもらいたい映画だと、今回あらためて感じました。
人生は落ち込むことばかり。でも、せめて「この町が好きです」と言えたらいいですね。

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

筆者
353

ただの雑食な映画好き。
「観た映画は必ず感想を書く」というマイルールのもと、2018年から映画ブログ『353log』を日々更新中です。
まだまだ不勉強なことばかりですが、皆様に「観たい!」と思っていただけるようなご紹介ができるよう努めます。
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