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8 『ワインのめし』 丸政(甲府駅)1,500円

8 『ワインのめし』 丸政(甲府駅)1,500円

お酒といっても、ビールや日本酒ばかりではありません。ぶどうの産地である山梨県に、ワインと合う駅弁があるのをご存じでしょうか。その名も『ワインのめし』。筆者は新宿駅構内にある「駅弁屋 頂」で見掛けた際、「ワインの駅弁って珍しいな」と思って購入しました。掛け紙で武田信玄公がワイングラスで乾杯する、ゆる~いイラストがほのぼのしています。

JR東日本と、大正7年(1918年)創業の駅弁会社「丸政」(北杜市小淵沢町)が共同で開発。商品名は、「ワインに合う」駅弁という開発テーマと、甲州の方言で「ワイン飲めし(飲みなよ)」を掛けたものになっています。「駅弁味の陣2021」では、みごとグランプリ「駅弁大将軍」に選ばれました。


発売開始時のニュースリリースを参考に、献立を見ていきましょう。カッコ内は、その献立に合うワインの種類です。
まず写真の上段左から右に、①レーズンパンと、デザートのチーズケーキ(赤白)、②甲州フジクラポークのかつサンド(赤)、③ワインきの子と小エビのアヒージョ(辛口の白)、中段左から右に、④甲州鳥もつ煮(赤)、⑤甲斐サーモンのマリネ(白)、⑥牛肉炭火焼き・白ワイン仕立て(赤白)、下段左から右に、⑦ドライフルーツとチョコレート(赤白)、⑧甲州地鶏テリヤキチキン(赤)、⑨甲州ほうとうグラタン(白)。

和食が圧倒的に多い駅弁の中で、オードブル盛り合わせのような駅弁は異色。しかも、主食が“ごはん”でなく“パン”というのが面白いところ。郷土食をワインに合うよう洋風にアレンジした、モダンでお洒落な駅弁になっています。

駅弁の丸政
公式サイトはこちら:https://www.ekibennomarumasa.com/

9 『Suicaペンギン 東北つまみぐい弁当』(日本ばし大増)1,200円(終売)

9 『Suicaペンギン 東北つまみぐい弁当』(日本ばし大増)1,200円(終売)

筆者が昨2021年(令和3年)に東京駅「駅弁屋 祭」で買った駅弁の中で、とても印象に残っているのが、「日本ばし大増」の『Suicaペンギン 東北つまみぐい弁当』。東北6県の自治体や観光関係者とJR旅客6社が一体となって実施された2021年の観光PR「東北デスティネーションキャンペーン」と連動して、期間限定で販売され、現在は終売となっています。


盛り付けが繊細で美しく、急いで食べるには惜しい豪華さ。上段は左から右に、デザートのリンゴ蜜漬けと大納言小豆、大増自慢の江戸うま煮、岩手県産銘柄豚「折爪三元豚佐助」のねぎ味噌焼きと玉ねぎ炒め、宮城県産のカキ煮と花形ニンジンを乗せた彩りごはん。下段は左から右に、三陸産わかめごはんと刻み梅、福島の郷土料理イカにんじん、味付け玉子とかまぼこ、秋田名産いぶりがっこと青森県産ホタテ旨煮串、山形県郷土料理の玉こんにゃく、軟骨入り鶏つくねとパプリカ揚げ。
さあ、どこから食べようか。いや、東北をめぐるなら、どういう行程を組み立てようか……。美味しいお酒をお供に、ひと口ずつ味わいながら各地に思いを馳せるひとときは、まさに至福の喜びでした。

この「東北デスティネーションキャンペーン」では、東北各県の調製元もこぞって新製品や限定商品を企画販売。その一部は東京でも買うことができ、東北の郷土料理が気軽に楽しめました。その土地のご当地グルメを深掘りするもよし、エリアを広げて俯瞰するのも、またよし。駅弁はその土地の文化を伝える強力なツール、その力は侮れません。今後もこうした楽しい企画があるといいですね。

10 『津軽めんこい懐石弁当 ひとくちだらけ』 つがる惣菜(弘前駅・新青森駅)1,350円

10 『津軽めんこい懐石弁当 ひとくちだらけ』 つがる惣菜(弘前駅・新青森駅)1,350円

最後にご紹介するのは、「つがる惣菜」(青森県五所川原市)の『津軽めんこい懐石弁当 ひとくちだらけ』。東京駅の「駅弁屋 祭」では夕方ひっそりと入荷し、店頭に並ぶやいなや、瞬殺の勢いで売り切れてしまう“幻の駅弁”ともいわれています。見掛けたらラッキー! 即断即決、迷わず購入しましょう。

まず驚かされるのは、そのサイズ。……大きいんです。A4サイズはゆうにあるでしょうか。長辺が割箸の袋より長い。ボール紙製の外箱はいたって簡素でエコ、傾けないよう注意しながら持ち運ぶのには毎回難儀するのですが、そんな苦労も笑って許せるくらい魅力的な駅弁なのです。


待ちきれないので、フタを開けますね。……ぱかっ。
いかがでしょうか、この迫力、この世界観。横に6列、縦に4列。全部で24種類もの「ひとくち」が並んだ、まるで宝石箱のような美しさに惚れ惚れします。「駅弁味の陣2019」では、「盛付賞」と同時に、外国人向けのWebサイトから最も投票数の多かった「Ekiben Ichiban賞」を受賞しました。この駅弁は、青森の郷土食の入門編。これだけの種類の味を別の形で制覇しようとしたら、とてもこの予算では達成できません。そう考えると、見た目以上にオトク感があると思いませんか?


おもてなしの面でも優秀。フタの裏には透明フィルムが圧着されて、スリーブに “お献立” をプリントした紙、おしぼり、割箸が挟まれています。使うものだけを手元に取り出し、献立表を参照しながら食べ進めば、迷うことはありません。どれも一口サイズで、お酒のつまみに好適。順番は、その日そのときの気分でご自由に。一番左の列が “ごはんもの” になっているのがポイントです。筆者はこの駅弁で “すしこ” と “イカメンチ” を知り、ファンになりました。

つがる惣菜
公式サイトはこちら:http://tsugaru-sozai.com/

人気駅弁をゲットするには?

人気駅弁をゲットするには?

今回ご紹介した“おつまみ駅弁”の数々、旅行や出張で鉄道を使う機会がありましたら、ぜひお求めいただき、車窓を楽しみながら美味しい時間(ひととき)をお過ごしいただければと思います。中には事前予約が必要な商品もありますので、お出かけ前に、ぜひ駅弁調製元へお問い合わせください。
現地に出掛ける機会がなくても、すぐに諦めず、「東京で○○○を買える場所はありませんか?」などと尋ねてみるのもポイント。首都圏の主要駅売店や、百貨店・スーパーの催事に期間限定で提供されるケースもあります。
最近は「通販」を扱う調製元も続々と増えているので、調製元の公式サイトのチェックもお忘れなく。TwitterなどSNSの公式アカウントがあれば、フォローしておくと、新商品などの情報をリアルタイムで受け取れます。


首都圏にお住まいであれば、東京駅「駅弁屋 祭」が一番の狙い目。特に、毎年秋に開催される「駅弁味の陣」は、その年のエントリー商品を中心に東日本の有名駅弁が集結するビッグチャンス。過去に受賞履歴のある人気商品も、数多く店頭に並びます。
「駅弁屋 祭」で商品の予約はできませんが、電話で問い合わせると、取り扱いの有無や入荷予定時刻を教えてもらえます。電話口で手短に確認できるよう、あらかじめ、問い合わせたい駅弁の「商品名」と「調製元」を手元にメモしておくとスムーズです。

「駅弁屋 祭」グランスタ東京
03-3213-4353 (電話の受付時間は9:00~19:00)

お気に入りの駅弁とお酒でリフレッシュ

お気に入りの駅弁とお酒でリフレッシュ

ただお腹を満たすためなら、あっという間に食べ終わってしまうお弁当。でも、お酒の力を借りると、不思議に時がゆっくり流れます。慌ただしい毎日や、単調でメリハリに欠ける日々の中でも、ときどきリフレッシュを兼ねてお気に入りの駅弁とお酒を楽しめば、活力も甦るのではないでしょうか。

駅弁は、おひとりさま専用の「箱膳」のようなもの。大皿料理のような取り分けは無用です。「ひと口、ちょうだい」が気軽にできない状況下でも、前菜から締めのごはん、デザートに至るまで、安全に、かつ手頃な値段で楽しむことができます。ぜひ、舌で味わう旅へとお出掛けください。

では、よい旅を。

マルワ

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

駅弁大好き歴25年。平成の”Windows95”時代から某IT企業のインストラクターとして全国の官公庁・小中学校へのパソコン導入に携わりながら、各地の駅弁や名産品を食べ続けるうち「うまいもの」「みやげもの」で日本地図が描けるようになりました。これまで全国を旅して食した駅弁は2,000個以上、「駅弁大会」と聞けば連日通って“大人買い”、休日は朝昼夕と駅弁が食卓に並ぶような家庭です。時々ちょっと苦手な食材もありますが、そこはすべて「実食」してのルポがモットー。食味の感想には個人差がありますので、その点はご容赦ください。

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