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全国全時代のもっとも詳しい鉄道路線地図帳!「レールウェイマップル」が2分でわかるおすすめポイント

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全国全時代のもっとも詳しい鉄道路線地図帳!「レールウェイマップル」が2分でわかるおすすめポイント

このたび増強改訂版として刊行した「レールウェイマップル」では、現役路線はもちろん、前版で昭和20年以降を対象としていた廃止路線は更に遡って明治時代から、人車軌道や馬車軌道、鉱山鉄道に加えて全国各地の森林鉄道まで、資料の限り収録しました。

全国3万キロ以上のネットワークを有した鉄道路線が再現されたページからは、鉄道を通して時代時代の日本の社会やその地方の人々の暮らしを読み解くこともできます。

「レールウェイマップル」から広がる世界、ここでは北海道から沖縄まで、いくつかの注目ポイントを紹介します。

【北海道から】炭鉱と森林鉄道、赤字ローカル線

良質の石炭産地であった夕張山地には多くの炭鉱が分布し、石炭輸送の鉄道が敷かれました。炭鉱の周囲には何万人もの人が住む街ができ、炭鉱鉄道は人々や生活物資をも運ぶ重要な交通機関として運行されたのです。また炭鉱では「坑木」と呼ぶ材木で坑道を支えながら石炭を掘り進んでいたので、大量の木材が必要となります。豊富な森林資源を運搬するため、森林鉄道も山の奥まで路線を延ばしていたことも地図から読み取れます。
昭和の時代で北海道の炭鉱は閉山、鉄道もすべて廃線となってしまい、令和のいま、僅かに残った国鉄(→JR)線も存続の危機に立たされています。

帯広から北に伸びる国鉄士幌線は大雪山系の木材輸送を担っていましたが、昭和30年代には終点の十勝三股から奥地へ延びていた森林鉄道がトラック輸送への転換で消えて行きます。林業人口も次第に減り、昭和53年には末端区間が運行休止でバス代行となり、昭和62年までに全線廃止となりました。
ダムの建設に伴い路線変更が行われた糠平湖沿いの区間は廃止から70年近くになりますが、今日でも廃線の「旧線」であるタウシュベツ川橋梁をはじめ随所に当時の遺構が残り、林業で栄えた歴史を偲ぶ産業遺産として多くの人が訪れるスポットになっています。

【東北から】森林鉄道と人車・馬車軌道

津軽半島に張り巡らされている路線はなんでしょう? 明治41年から運行された日本初の本格的な森林鉄道の「津軽森林鉄道」で、路線の総延長は280km以上もあったそうです。
さて、気候が厳しい北の半島に、なぜこのような早い時期から大規模な森林鉄道が建設されたのでしょうか。森林鉄道で集められた大量の木材は、どこに、どのように運ばれていったのでしょうか。
「なぜ、ここに鉄道があったのか」「なぜ、なくなったのか」単なる懐古趣味に留まらない、地理・歴史・社会史的な探求も、レールウェイマップルの楽しみ方のひとつです。

明治時代、全国に鉄道が延びていく中で、町の中心的集落を避けて建設される場合がありました。「汽車の音で鶏が卵を産まなくなる」というような反対運動が「鉄道忌避伝説」として各地に伝わり、町外れに停車場が作られた事由になっていますが、実際には地形や土地収用、線形の関係で最適な経路を採択した結果、ということがほとんどのようです。
町から離れた鉄道への交通手段として「人車軌道」や「馬車軌道」がつくられました。東日本を中心に50か所ほどがありましたが、自動車の登場により大正時代から昭和の始め頃には姿を消しています。
そんな「忌避伝説」的な経緯かどうかはわかりませんが、宮城県の小牛田付近には「松山人車軌道」と「古川馬車鉄道」の名がみつかります。どちらも東北本線からの交通手段として敷設されたと読み取れます。松山の軌道は1930年に廃止されますが、古川では馬車鉄道から国鉄陸羽東線に変わり、後に東北新幹線の駅もできるという歴史の違いが見られます。

【関東から】3本の鉄道・それぞれの歴史

千葉県の松戸、市川、船橋近辺では、それぞれに歴史を持つ3本の鉄道を見ることができます。まず明治の末、江戸時代から交通が栄えていた木下街道沿いに行徳から鎌ケ谷に向けて「東葛人車軌道」が敷設されますが、僅か10年ほどで廃止になります。
昭和の初めに松戸と船橋の間に敷かれた日本陸軍鉄道連隊演習線は、戦後新京成電鉄に転用されますが、いまも演習線の名残りである曲がりくねった線形を有しています。
時代が下って昭和後半、首都圏の急激な人口増加に対応する大規模な千葉ニュータウンが計画され、アクセス路線として「住宅・都市整備公団線」が開業します。しかし開発計画の縮小により鉄道経営も難航、事業者の変更により路線名も2度変わりました。2010年以降は都心から成田空港への最短直通ルートとして、アクセス列車の乗り入れによりその重要性が増しています。

【中部から】峠を越える街道と鉄道

「レールウェイマップル」の楽しみ方は廃線だけではありません。現役路線での鉄道旅行の際にも車窓や駅の魅力を知ることができます。
山深い木曽路を走る中央本線。藪原と奈良井の間には登り勾配を示す数字と矢印があり、鳥居トンネルがサミットとなる鳥居峠が太平洋と日本海の分水嶺であることがわかります。
峠の前後には中山道宿場町の面影を伝える街並みが残り、車窓からもちらりと望むことができます。鉄道に関係する映画・ドラマのロケ地や、様々な記念碑などもプロットされていますので、気になるスポットがあったら検索してみましょう。

【近畿から】主役交替のとき

2024年3月に北陸新幹線が福井まで延伸開業すると並行する北陸本線は第三セクターに転換され、長距離旅客輸送は新幹線に移行します。
南と北を山に挟まれた敦賀付近には、明治の開業当初に使われていた北陸本線の旧線跡が数多く残り、歴史を感じるトンネル群を含め産業遺産にも指定されています。
これらの廃止路線は昭和30年以降に長大トンネルの掘削と電化による新線開通で使命を終えたものですが、いまの北陸本線もまた、新幹線の開通により第一線を退くことになります。

【中国から】ふたつの未成線

計画段階や工事の途中で建設中止となった路線を「未成線」と呼び、全国ではかなりの数にのぼります。レールウェイマップルではそのような未成線の中から具体的な工事が進んでいた路線を中心に採択、「幻となった路線」を地図に記載しています。
広島と浜田を結ぶ「広浜鉄道」の路線として計画、工事が進められた「今福線」は戦前と戦後にわたって着工と中止を繰り返したため、新線と旧線の2本の未成線が存在する珍しい事例となりました。現地には線路が敷かれることがなかった橋梁やトンネルがいまも残り、観光資源としても活用されています。

【九州から】もし開通していれば・・・

国鉄の赤字ローカル線を引き継いだ第三セクター「高千穂鉄道」は、観光路線として赤字脱却を進めていた矢先の2005年の台風により大きな被害を受けそのまま廃線になってしまいます。いっぽう熊本県では国鉄高森線から転換した「南阿蘇鉄道」が2016年の熊本地震で被災し長期間不通となりましたが、上下分離方式により2023年に全線再開しています。
この2つの路線はもともと互いに結ばれる計画で建設されたものですが、1980年に県境を越える高千穂-高森間は工事途中で中止となり「未成線」になってしまいました。もし全通していれば、延岡から高千穂を通って阿蘇山の麓を結ぶ九州横断の観光路線になっていたと思われます。高千穂線も廃止にならず、クルーズ列車が走っていたかもしれません。

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