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【連載エッセイ・第9回】猫と田舎で暮らしてみた~6匹と僕たちの里山生活~

高橋のら

更新日:2021年2月11日

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【連載エッセイ・第9回】猫と田舎で暮らしてみた~6匹と僕たちの里山生活~

東京生まれ、東京育ち。9年前に奥さんと、大分・国東半島へ移住。

そこで出会った猫たちと、こんどは、自然豊かな伊豆の田舎へ。

ゆっくりと流れる時間のなかで、森や草むらで自由に駆け回る猫たちと、一緒に暮らす日々のあれこれをお伝えしていきます。(毎週火曜日・金曜日に公開)

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山と海の見える場所に住む

南国伊豆とはいえど冬は冬。山の麓にある我が家は明け方になればしんしんと冷えるし、意外かも知れないけれど冬の間に何度かは必ず大雪が積もる。
早起きの僕は猫たちと同じで、太陽の昇る直前が一番寒いことを身体で知っている。やっぱり冬はこうでなくちゃなー、と思いながらも年々寒さがこたえるようになってきた。納戸を改造した狭い狭い僕の部屋にだけ暖房を入れると、どこで聞きつけたのか猫たちが一匹、また一匹と集まってくる。

山と海の見える場所に住む

猫に囲まれて過ごす時間は、猫飼いだけが知る至福のとき。

机に置いたモニタの右脇に一匹。左脇に二匹。袖机にもう一匹。足元のヒーターの前に一匹。皆が安毛布と安クッションの上に丸くなって寝ている。手を伸ばせば天井に手が届くたった2.6帖しかない部屋にこれだけの猫がいると、彼らの体温だけで室温が3度くらいは上がるんじゃないの? という気がしなくもない。
東の空が明るくなるまであと一時間、という辺りが猫たちと過ごす至福な団欒のとき。古い家には山育ちの猫と、安い猫布団が良く似合う。

大風の吹いた翌日は空も真っ青。穏やかな昼寝日和。

僕の住んでいる山の麓では冬になると時折すさまじい風が吹く。いわゆる季節風の「ならい風」だけど、その風は西に連なる天城の稜線から吹いてきて、それはもう台風かそれ以上の強烈さで狂ったように吹き荒ぶ。
でもそんな大風が吹き荒れた翌日の空は真っ青だし、道を埋めていた落ち葉はきれいになくなっているし、海は澄んで島影をくっきり映している。
僕は埃や塵のなくなった朝の景色を見回しながら、人の一生にも時々すさまじい風が吹いて、アレとかコレとかソレとかのモヤモヤを影も形もなく吹き飛ばしてくれたらいいのに、なんてことを思ったりもする。

伊豆といえば海。でも半島中央部は意外にも山深いのです。

今日は空気が凛と澄んで長い坂道の向こうに海と利島がよく見えた。我が家から見ると利島の左奥にみえるのは三宅島。散歩しながら坂道を下りていくと新島、式根島、神津島も見えてくる。
大分県の国東にいた頃も家からは海がよく見えた。
東京を出てからの9年間、僕はずっと海の見える土地で暮らしている。だから「海が見える」ということにそれほど特別な価値を見いだせなくなってしまった。だっていつも海が目の前にあるんだから。

ちっともお洒落じゃないけれど、静かさだけが自慢のカフェ

けれどそれは、僕がかつてそうだったように、都会の片隅で暮らす人たちにすればちょっとした贅沢なんだろうと思う。今朝は天城の山の稜線も雪で白く化粧していた。
目の前に伊豆大島を見据える海辺から、直線距離にしてたった6kmで海抜1400mを越す天城山へと駆け上がる東伊豆の海岸線は、その強烈な景観のコントラストが魅力。雪をいただく山を背に朝陽に光る海。そんな土地で猫たちに囲まれて暮らすのは確かにちょっとした贅沢なのかも知れない。

四季の景色など気にも留めず寝て過ごす猫たち。なんて贅沢な毎日。

1960年東京生まれ。製本業経営を経て編集プロダクションを設立。
2011年に東京から大分県国東市へ移住し、2014年に国東市から静岡県伊豆半島に転居しました。現在は伊豆の家で編集業を営みながら仕事上のパートナーでもある家内と、国東で出会った6匹の猫たちと共に暮らしています。
国東での猫暮らしを綴った著書「猫にGPSをつけてみた」雷鳥社刊があります。

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