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比叡山延暦寺 三塔のめぐりかたナビ 人々の信仰を集める世界遺産を観光しよう

まっぷるマガジン編集部

更新日: 2024年7月21日

比叡山延暦寺 三塔のめぐりかたナビ 人々の信仰を集める世界遺産を観光しよう

山全体が寺域とされ、修行道場として厳粛な雰囲気に満ちている比叡山延暦寺。
平安時代より多くの高僧を輩出し、世界遺産にも登録されています。

総本堂にあたる根本中堂は、2016年から約10年にわたる大改修を開始。
変わりゆく姿を見ることができる今こそ訪れてみたいですね。

<世界遺産>比叡山延暦寺とは

滋賀と京都の県境にそびえる比叡山全域を境内とする寺院。平安時代初期に伝教大師最澄が開いた天台宗の総本山で、日本仏教発祥の母山といわれる。山内は東塔、西塔、横川の3エリアからなり、100を超える堂宇伽藍が立ち並ぶ。

<世界遺産>比叡山延暦寺とは

静寂な空気に包まれた聖域を、歴史に思いを馳せながらゆっくりと歩く

【比叡山延暦寺】三塔のめぐりかた

東塔、西塔、横川からなる境内。それぞれ距離が離れているので、すべてに参拝するなら最低半日は必要。まずは総本堂・根本中堂のある東塔を中心に、余裕があれば西塔と横川にも足を延ばすなど計画的にめぐろう。移動には便利なシャトルバスを利用しよう。

■シャトルバス
1日フリー乗車券1000円(運行期間:3月中旬~12月上旬、年度により変更あり)

ケーブル延暦寺駅
⇩ 徒歩10分
東塔
⇩ 約1km/シャトルバス5分
西塔
⇩ 約4km/シャトルバス10分
横川

【比叡山延暦寺】総本堂根本中堂が10年の大改修に

国宝の根本中堂は、2016年から10年かけての大改修中。期間中は、通常通り参拝できるほか、伝統的な工法などを用いた改修作業が見学できる「修学ステージ」を公開している。

延暦寺

住所
滋賀県大津市坂本本町4220
交通
京阪石山坂本線坂本比叡山口駅から徒歩10分のケーブル坂本駅から坂本ケーブルで11分、終点下車、徒歩10分
営業期間
通年
営業時間
9:00~16:00(閉門、時期により異なる)
休業日
無休
料金
東塔・西塔・横川共通券=大人1000円、中・高校生600円、小学生300円/国宝殿=大人500円、中・高校生300円、小学生100円/(団体20名以上は東塔・西塔・横川共通券大人800円、中・高校生500円、小学生300円)

【比叡山延暦寺×観光】延暦寺三塔の見どころ

3つのエリアからなる境内
東塔、西塔、横川と3つのエリアに分かれている比叡山延暦寺。広大な境内を効率よく参拝するために見どころをチェックしてめぐろう。延暦寺では14ものお堂でそれぞれご朱印がいただけるので、ご朱印帳をお忘れなく。

【比叡山延暦寺】東塔

主要な堂塔が集まる天台宗発祥の地
比叡山三塔十六谷の中心で、国宝の根本中堂をはじめとする重要な堂塔が集まる区域。仏教美術の殿堂である国宝殿も訪れたい。

【比叡山延暦寺・東塔】<重文>大講堂

僧侶が学問修行を行う道場。堂内には本尊である大日如来と、比叡山で修行した各宗派の宗祖の木像が安置される。前庭には、開運の鐘があり参拝者もつくことができる。

【比叡山延暦寺・東塔】<重文>大講堂

1963(昭和38)年に山麓の讃仏堂を移築したもの

【比叡山延暦寺・東塔】<重文>大講堂

【比叡山延暦寺・東塔】阿弥陀堂

1937(昭和12)年、比叡山開創1150年の大法要を記念して建立した先祖回向の道場。本尊は丈六の阿弥陀如来。前庭には2つの水琴窟があり、美しい音色を楽しむことができる。

【比叡山延暦寺・東塔】阿弥陀堂

参拝者が施主となり念仏回向が行われる

【比叡山延暦寺・東塔】阿弥陀堂

【比叡山延暦寺・東塔】文殊楼

根本中堂の東側、石段の上に建つ山門。慈覚大師円仁が中国五台山の文殊菩薩堂を模して建てたとされ、楼上には文殊菩薩が安置される。学問の神様として合格祈願に訪れる参拝者が多い。

【比叡山延暦寺・東塔】文殊楼

楼上に上がることもできる

【比叡山延暦寺・東塔】文殊楼

【比叡山延暦寺・東塔】萬拝堂

平和と人類の平安を祈願し、日本全国の神社仏閣の神仏を合祀する平成の新堂。堂内には、人間の煩悩の数を表す108の数珠玉があり、手で回しながら時計回りに進んで参拝する。

【比叡山延暦寺・東塔】萬拝堂

心静かに回しながら一周しよう

【比叡山延暦寺・東塔】萬拝堂

【比叡山延暦寺・東塔】<国宝>根本中堂

延暦寺の総本堂で、本尊は伝教大師最澄作の秘仏薬師如来。最澄が788(延暦7)年に創建した一乗止観院が元で、災害に遭い復興するたびに大規模になった。現在の建物は1642(寛永19)年、徳川家光により再建されたもの。
※改修中 (参拝は可能)

【比叡山延暦寺・東塔】<国宝>根本中堂

根本中道の本尊薬師如来前に灯り続ける不滅の法灯

【比叡山延暦寺・東塔】<国宝>根本中堂

三塔それぞれにある中堂のなかでも最大

【比叡山延暦寺・東塔】百花の図

200にもおよぶ草花が極彩色で描かれた格天井。徳川家光統治時代の大名が、枯れない花を供えるという意味で絵師に描かせ寄進した。

【比叡山延暦寺・東塔】百花の図

四季の花々が天井を彩る

【比叡山延暦寺・東塔】不滅の法灯

本尊の前には六角形の吊灯篭が3つあり、延暦寺創始以来1200年以上灯り続ける「不滅の法灯」が安置される。僧侶たちが毎日菜種油を注ぎ足し、今日まで守られてきた。「油断大敵」という言葉の由来のひとつといわれる。

【比叡山延暦寺・東塔】不滅の法灯

灯火は最澄の「一隅を照らす」という精神を表す

延暦寺 東塔

住所
滋賀県大津市坂本本町4220
交通
京阪石山坂本線坂本比叡山口駅から徒歩10分のケーブル坂本駅から坂本ケーブルで11分、終点下車、徒歩10分
営業期間
通年
営業時間
8:30~16:30(時期により異なる)
休業日
無休
料金
三塔巡拝共通券=大人700円、中・高校生500円、小学生300円、未就学児無料/国宝殿=大人500円、中・高校生300円、小学生100円、未就学児無料/(団体20名以上は大人600円、中・高校生400円、小学生300円、未就学児無料、障がい者手帳持参で等級条件により巡拝料無料)

【比叡山延暦寺】西塔

緑と静寂の中に重要文化財が建つ
第2世天台座主寂光大師円澄が開いた美しい杉林に囲まれる地域。釈迦堂、にない堂のほか、本格的な修行体験を行う研修道場の居士林もある。

【比叡山延暦寺・西塔】<重文>にない堂

阿弥陀如来を祀る常行堂と普賢菩薩を祀る法華堂という同じ形をした2つの堂が廊下でつながっている。弁慶が廊下をてんびん棒にして堂を担ったという伝説から、にない堂と呼ばれる。

【比叡山延暦寺・西塔】<重文>にない堂

廊下のちょうど中心あたりが滋賀と京都の県境

【比叡山延暦寺・西塔】<重文>相輪橖

釈迦堂北の山林の中にある青銅製の仏塔。経幢の一種で、塔内に法華経、大日経、22部58巻の経典・銘文が納められている。現在のものは1895(明治28)年に改修された青銅製。

【比叡山延暦寺・西塔】<重文>相輪橖

高さ10mを超える塔

【比叡山延暦寺・西塔】<重文>釈迦堂

正式には転法輪堂といい、本尊の釈迦如来にちなんで釈迦堂の名で呼ばれる西塔の本堂。現在の建物は三井寺の金堂だったが、豊臣秀吉によって1595(文禄4)年に移築された。

【比叡山延暦寺・西塔】<重文>釈迦堂

三井寺の園城寺から移築された境内最古の建造物

【比叡山延暦寺・西塔】<重文>釈迦堂

延暦寺 西塔

住所
滋賀県大津市坂本本町
交通
京阪石山坂本線坂本比叡山口駅から徒歩10分のケーブル坂本駅から坂本ケーブルで11分、終点下車、徒歩8分の東塔バス停から比叡山内シャトルバス(冬期運休)横川行きで5分、西塔下車、徒歩20分
営業期間
通年
営業時間
9:00~16:00(閉堂、時期により異なる)
休業日
無休
料金
三塔巡拝共通券=大人1000円、中・高校生500円、小学生300円、未就学児無料/(団体20名以上は大人800円、中・高校生400円、小学生300円、未就学児無料、障がい者手帳を持参で等級条件により拝観料免除)

【比叡山延暦寺】横川

名高い名僧たちが修行を行った聖地
第3世天台座主慈覚大師円仁によって開かれ、源信、親鸞、日蓮、道元といった名僧たちが修行した場所。おみくじ発祥の地でもある。

【比叡山延暦寺・横川】横川中堂

創建848(嘉祥元)年の横川の本堂は、舞台造りと鮮やかな朱塗りが印象的。2mほど低く造られている堂の中央部に、慈覚大師作と伝わる本尊の聖観音菩薩が祀られる。

【比叡山延暦寺・横川】横川中堂

信長の焼き討ちや落雷で焼失したが1971(昭和46)年に再建

【比叡山延暦寺・横川】横川中堂

【比叡山延暦寺・横川】元三大師堂(四季講堂)

現在のおみくじの形を考え出したとされる元三大師(良源)の住居跡。967(康保4)年、村上天皇の勅命によって春夏秋冬に法華経が論議されたことから四季講堂とも呼ばれる。

【比叡山延暦寺・横川】元三大師堂(四季講堂)

修行を積んだ僧侶がていねいに話をしてくれる

【比叡山延暦寺・横川】元三大師堂(四季講堂)

【比叡山延暦寺・横川】おみくじの元祖

結婚や就職など具体的な悩みを相談すると、僧侶が元三大師に祈願しておみくじを引き、詳しい解説や助言を授けてくれる。

077-578-3683(要予約)
9:00~16:00
志納金2000円

【比叡山延暦寺・横川】おみくじの元祖

【比叡山延暦寺・横川】根本如法塔

慈覚大師が根本杉の洞の中で如法写経を始めたことに由来。慈覚大師が書写した仏教の経典を後世に伝えるために、塔中に安置し祈念する多宝塔。1925(大正14)年に再建された。

【比叡山延暦寺・横川】根本如法塔

杉木立の中に建つ鮮やかな朱塗りが目を引く

延暦寺 横川

住所
滋賀県大津市坂本本町
交通
京阪石山坂本線坂本比叡山口駅から徒歩10分のケーブル坂本駅から坂本ケーブルで11分、終点下車、徒歩8分の東塔バス停から比叡山内シャトルバス(冬期運休)横川行きで15分、横川下車、徒歩1時間40分以上
営業期間
通年
営業時間
9:00~16:00(閉堂、時期により異なる)
休業日
無休
料金
三塔巡拝共通券=大人700円、中・高校生500円、小学生300円、未就学児無料/(団体20名以上は大人600円、中・高校生400円、小学生300円、未就学児無料)

【比叡山延暦寺】延暦寺の歴史を知る

【比叡山延暦寺×歴史】1 霊山比叡山に最澄が創建した寺

古代より霊山として崇められていた比叡山を、本格的に開いたのが伝教大師最澄。788(延暦7)年、最澄は薬師如来を本尊とする一乗止観院(現在の総本堂・根本中堂)を創建。国を護る寺として朝廷から期待され、桓武天皇時代の年号「延暦」を寺号に賜った。

【比叡山延暦寺×歴史】2 名立たる高僧を数多く輩出

最澄は、比叡山に12年間こもり修行に専念するという教育制度を確立。多くの高僧を輩出した。特に鎌倉時代以降は、法然、親鸞、一遍、栄西、道元、日蓮など、日本仏教各宗各派の祖師が誕生。比叡山は天台宗の総本山にして、日本仏教の母山ともいわれるようになった。

【比叡山延暦寺×歴史】2 名立たる高僧を数多く輩出

大講堂には比叡山で修行した各宗祖の像が祀られる

【比叡山延暦寺×歴史】3 最盛期の境内には今よりも多くの寺院が

最盛期には3000もの寺院があった延暦寺だが、浅井・朝倉軍をかくまったことが発端で織田信長により全山焼き討ちに遭う。その後、豊臣秀吉、徳川家の外護や慈眼大師天海大僧正により再興。数多くの歴史建造物の価値が認められ、現在では世界文化遺産に登録されている。

【比叡山延暦寺】聖地のお守り

【比叡山延暦寺】聖地のお守り

本尊の薬師如来が描かれる根付神 500円〈根本中堂〉

【比叡山延暦寺】聖地のお守り

弥陀五尊を収めて祈願したお守り 700円〈横川中堂〉

【比叡山延暦寺】聖地のお守り

厄除けに人気のある梵字守 600円〈根本中堂〉

【比叡山延暦寺】聖地のお守り

元三大師が姿を変えた角大師が描かれた厄除けのお札 500円〈元三大師堂〉

【比叡山延暦寺】宿坊で修行体験で己と向き合おう!

古くから多くの高僧が修行した比叡山。初心者でも気軽に坐禅や写経に挑戦できる延暦寺会館、本格的な研修に取り組める居士林で仏道修行を体験してみよう。

【比叡山延暦寺】宿坊で修行体験で己と向き合おう!

【比叡山延暦寺】門前町・坂本を観光しよう

比叡山延暦寺と日吉大社の門前町として栄えた坂本。老僧が余生を送った里坊が点在しており、地区一帯が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。穴太衆積みの石垣と白壁が調和する風情ある町並みを散策してみよう。

【比叡山延暦寺】門前町・坂本を観光しよう

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