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【私の移住体験】横浜⇔渥美半島の「二拠点生活」! 田舎シェアハウスではじめる「農的暮らし」

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日: 2022年3月24日

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【私の移住体験】横浜⇔渥美半島の「二拠点生活」! 田舎シェアハウスではじめる「農的暮らし」

終わりの見えないコロナ禍の生活で、「地方に移住してみたい」「今の暮らしを変えたい」という想いが芽生えた人も多いのではないでしょうか。

かくいう私も、そんな一人でした。

色々考えたのち、2020年7月から愛知県の渥美半島(田原市)へプチ移住。シェアハウスに住みながら「農的暮らし」を始め、地元・横浜との「二拠点生活」を送っています。

今回は、渥美半島への移住体験談とともに、「二拠点生活」や「農的暮らし」という新しい生き方に関するリアルな情報をお届けします!

「二拠点生活」のきっかけは・・・

自然と動物と人との繋がりを求めて

渥美半島に移住する前の生活と言えば、毎日家にこもり、10時間近くパソコンと向き合う日々。

都会の人混みの中に暮らし、感染を気にして外出もできず、オンラインでのイベントや飲み会にも疲れはじめていました。

彩りのない日常で、まるで自分が乾いていくような感覚に襲われていたのです。

私と渥美半島との出会いは3年前。

「WWOOF(ウーフ)*」というサービスを利用して、「渥美どろんこ村」という小さな農園に出会い、1週間ほど滞在させてもらいました。

*WWOOF(World Wide Opportunities on Organic Farmsの略)
「世界に広がる有機農場での機会」という英語の頭文字をとったもの。有機農場を主とするホストと、そこで手伝いたい・学びたいと思う旅人を繋ぐサービス。
>>WWOOFについて

 

「地球1個分の暮らし」の心地良さを知る 〈画像提供:渥美どろんこ村〉

渥美どろんこ村は、20年以上にわたって有機野菜の生産と養豚をし、都会の子どもたちや家族連れを「ファームステイ」という形で受入れてきました。

農家の暮らしの現場から、「地球1個分=持続可能な社会」の在り方について、感じ、考えるという学びの機会を提供している農園です。

「農家として、第1次産業の現場から持続可能な社会を目指す価値観を発信したい」というオーナー夫妻の想いに強く共感し、以来何度か足を運ぶことになったのです。

2019年の初夏に遊びに行った際、オーナー夫妻と話している中で、「農業をしたい訳ではないけれど、少しでも農に関わってみたいと思う若者が住めるシェアハウスを作らないか」という話になりました。

その時は、私も大学の授業がありましたし、お二人もファームステイの受入れで忙しく、アイディアが出ただけで、特にその先には進みませんでした。

しかし2020年、コロナ禍のためにファームステイは全面中止。私のほうも、大学やバイトがすべてオンラインになったため、「今しかない!」と移住を決めたのです。

いざ渥美半島に来てみると、自然の中に季節の移ろいを感じられたり、ご近所づきあいがあったりします。時には農作業をして汗を流すこともしばしば。日々の生活を自ら作る生活は、コロナ禍の鬱憤をどこかへ吹き飛ばしてくれました。

渥美どろんこ村 畑のケーキ屋さん

住所
愛知県田原市江比間町西砂畑21-1
交通
豊橋鉄道渥美線三河田原駅からタクシーで20分
営業期間
通年
営業時間
12:00~17:00(閉店18:00)
休業日
無休
料金
バラエティケーキセット=1000円/シフォンケーキセット=700円/チョコレートケーキセット=700円/チーズケーキセット=700円/

海・山・田畑、街もあり!渥美半島で「ちょうどいい」田舎暮らし

海へと細長く突き出た半島では、どこからでも海が望める

渥美半島は愛知県の東三河地区に位置し、「カンガルーの脚」「カニの左爪」などと親しまれています。

全国でも珍しい東西に長く延びる半島で、北側は穏やかな三河湾、南側は広大な太平洋に面し、名物・大アサリをはじめ、海の幸に恵まれています。

東京・大阪から豊橋までは、新幹線で約1時間半(ひかりの場合)。そこから豊橋鉄道渥美線で終点の「三河田原駅」まで35分。約2時間強で渥美半島に到着です。

 

夏から秋は田んぼが、冬から春はキャベツ畑がどこまでも広がる

何と渥美半島がある田原市の農業生産額は日本一!
季節ごとの新鮮な野菜に加え、渥美牛や田原ポークなど畜産も盛んです。

海あり、山ありと豊かな自然に囲まれ、新鮮でおいしい食材がいただけます。

一方で、都市へのアクセスも良いという、「ちょうどいい田舎加減」が渥美半島の魅力。

「田舎暮らしには憧れるけど、やっていけるのか不安…」という方は多いと思いますが、渥美半島はおためし移住をするのに最適な場所と言えます。

季節ごとの風物詩と観光スポットもたくさんある渥美半島

半島の先端で、夕陽に染まる伊良湖岬灯台 <画像提供:渥美半島観光ビューロー>

渥美半島は有名な観光地でもあります。

半島の先端・伊良湖岬にある灯台や、恋路が浜、太平洋ロングビーチといった美しい砂浜、蔵王山展望台から眺める夜景と、小さな半島ながら見どころもたくさん。

 

毎年1月~3月に行われる「渥美半島菜の花まつり」

春は半島全体に菜の花がいっぱいに咲き誇り、「渥美半島菜の花まつり*」が行われます。
夏にはサーフィン、秋には「鷹の渡り」が有名で、1年を通して四季折々の楽しみがありますよ!

*渥美半島菜の花祭り2021年

伊良湖岬灯台

住所
愛知県田原市伊良湖岬
交通
豊橋鉄道渥美線三河田原駅から豊鉄バス伊良湖岬行きで50分、終点下車、徒歩20分
営業期間
通年
営業時間
見学自由(外観のみ)
休業日
無休
料金
情報なし

渥美半島菜の花まつり

住所
愛知県田原市堀切町浜薮伊良湖菜の花ガーデンほか
交通
豊橋鉄道渥美線三河田原駅から豊鉄バス伊良湖岬行きで50分、明神前下車、徒歩20分
営業期間
1月中旬~3月下旬
営業時間
見学自由
休業日
期間中無休
料金
情報なし

自給自足シェアハウスの「農的暮らし」とは

都市から様々な若者が集う「生き方の交差点」 <画像提供:OPTION>

2020年夏、どろんこ村のシェアハウス「OPTION(オプション)」が誕生しました。

田んぼと畑付きの空き家を安く譲ってもらい、半年かけて自分たちの手でリノベーション。

「育てて、たべる。暮らしを、つくる。」をキーワードに、若者たちが共同生活をしながら、「農的暮らし」を送っています。

「農的暮らし」というのは、生業としての農業に限らず、自分で食べ物を育てたり、家畜や獣からお肉を頂いたり、自然の循環や命の繋がりを意識して、丁寧な暮らしを送ること。

現代的な消費型の暮らしとは反対で、食べ物でも洋服でも、エネルギーでも、ただお金を払って消費するのではなく、それがどのようにして作られ、自分の元に届き、そしてどこへ行くのかに、きちんと自分も携わるという暮らし方です。

 

田んぼと畑付きの古民家シェアハウス。鶏も飼い始めた <画像提供:OPTION>

ここにやって来る人は年齢も経歴も様々です。

プログラマー、アパレル店員、料理人、グラフィックデザイナー、大手企業の社員さんや看護師を辞めた旅人たち、休学中・長期休み中の高校生・大学生まで、幅広い人が集まります。

共通していることは、「自然を感じられる生活がしたい」「顔の見える関係の中で生きてみたい」「持続可能な社会にしたい」「自分の好きな生き方をしたい」「今のままじゃ行けない気がする」という想い。

いざ暮らしを変えたり、田舎へ引っ越したりすることはハードルが高いものですが、シェアハウスという形でいつでも出入りでき、仲間と一緒に試行錯誤しながら田舎暮らしがお試しできるというのがポイントです。

「OPTION」という名前は、日本語にすると「選択肢」という意味です。

それぞれの生き方を1つの選択肢として認め合い、他の選択肢にも触れながら自分らしい「生き方=選択肢」を見つけられる場所。そんな「生き方の交差点」のようなシェアハウスなのです。

大家さんは地元の農家。ゼロから地域付き合いをしない安心感

どろんこ村の農業研修生や遊びに来た子供たちとの交流も楽しみ

このシェアハウスの大家さんである「渥美どろんこ村」のオーナーは、生まれも育ちも渥美半島です。

このように、私たちのような外から来た人だけでなく、地元の人とのつながりを根底に暮らすことができるのも大きな安心感があります。

地方に移住する時によく課題となるのが「地域付き合い」です。

私も、他の住人たちも、もともとは渥美半島に知り合いはいませんでしたが、地域の方から「ああ、どろんこ村に来てる若者ね!」と認識してもらい、お世話になっています。

冬はお裾分けのキャベツやブロッコリーがキッチンに溢れ、春には貴重な二ホンミツバチの巣を分けてもらい、今のところ助けてもらってばかり…。少しでも恩返しができるようにと、頑張っています!

 

■どろんこ村のシェアハウス『OPTION』(おぷしょん)
住所 愛知県田原市江比間町
電話 0531-37-0996(渥美どろんこ村)
交通 豊橋鉄道渥美線三河田原駅からバスで20分「江比間」より徒歩30分
営業期間 通年
営業時間 10:00~20:00
休業日 なし
料金 体験 3,000円(1泊2食付き)、家賃 3万円~/月(食費、光熱費込み)
カード利用 不可
駐車場 有❘台数:4台❘無料
HPinstagram

手間と時間をかけて。面倒だけど面白い、お金で買えない豊かさ

丁寧に育てた野菜の味は格別!暮らしの豊かさを実感 <画像提供:OPTION>

都会育ちの私にとって、憧れだった「田舎暮らし」。しかしもちろん、簡単なことばかりではありません。

実家でも小さな家庭菜園はやっていましたが、自分が食べる野菜を自給しようと思ったら、畑を耕し、色んな種類の野菜を育てなければいけません。

卵とお肉のためにひよこを飼い始めましたが、キツネやイタチなどの天敵、寒さにやられ、悔しい想いをしました。

始めは楽しかったタケノコ堀りも、次々と出てくる筍が竹になってしまわないよう手入れするのはひと苦労です。自然と共に生きる大変さも実感しました。

 

「竹害」にならないよう、筍のうちに採るのが大事!

慣れないことばかりで、頭も体もいっぱい使いますが、仲間と一緒に試行錯誤しながらトライする日々は刺激的です。

都会にいると時間に追われ、心ばかり疲れてしまいがちでしたが、ここでの暮らしは毎日新しい発見や気づきがあり、充実しています。

なにより、美味しいごはんをたくさん食べ、ぐっすり眠って、朝日と共に目覚める生活は気持ちがいい!お金では買えない豊かさです。

都会と田舎のいいとこどり!「二拠点生活」のメリット

自慢の故郷・横浜。みなとみらいの夜景はハマっ子の誇り

私は都会が嫌いというわけではありません。生まれも育ちも横浜で、生粋のハマっ子です。

中学生の頃から電車に乗って東京の学校に通い、放課後は渋谷で遊ぶような青春時代でした。人・モノ・情報の集まる都会のメリットも、よく知っています。

だからこそ、「都会じゃないからできるコト」の可能性を感じています。

現在はオンラインとオフラインを並行して大学に通い、フリーランスのWEBライターとオンライン家庭教師をして交通費・生活費を確保しながら、月に1~2度、渥美半島と横浜を行き来して生活しています。

最近は、渥美の知り合いの農家さんに頼まれて、ハウスの修理を手伝ったり、パソコンの使い方を教えたり、子どもの勉強を見たりしてお小遣いや野菜をもらうことも。
着々と「百姓力」をあげています!

三河湾に沈む夕陽。自分の生きる場所、暮らし方は自分で選びたい

コロナ禍は私たちの「当たり前」を大きく覆し、これまでの生き方や社会の在り方について向き合う時間が増えました。

一人ひとりの健康や幸せ、そして社会の健全さや持続可能性を考えて、自分の暮らし方を見つめ直した時、私はこの「二拠点生活×農的暮らし」にたどり着きました。

これから先、どうなっていくかは分からないけれど、自分の体で感じ考え、生き方を選択していきたいと思います。

みなさんはどんな生き方を選択しますか?

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