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【大阪 渡し船】木津川渡船場

【大阪 渡し船】木津川渡船場
木津川渡船場(住之江区平林北側)

大正区船町と住之江区平林北を結ぶ、岸壁間238mの渡船場(船は松丸、第二松丸が就航)で、木津川に架かる渡船の中で、最も河口に近いところに設けられている(ちなみに唯一、港湾部管理の渡船。他は大阪市建設局管理)。昭和30年まではカーフェリーを運航し、乗用車から大型トラックまでを運んでいましたが、千本松大橋や新木津川大橋の開通のため、昭和48年に、人と自転車のみを運ぶ渡船となりました。利用者のほとんどが、大正区船町にある工場や、住之江区の木材関係で働く人の通勤の足で、朝夕の通勤時間帯以外はほとんど利用者はいません。

木津川と木津川運河で隔てられた大正区船町には住宅はなく、大規模な製鉄所や造船所、運搬倉庫だけが立地する重工業地帯の小さな島です。戦前まで、ここには、木津川飛行場という民間飛行場がありました。昭和13(1938)年には720mの滑走路を備え、年間発着8800回、年間旅客1万人を数える国内最大規模の空港拠点でした。しかし、市街地からの交通の便の悪さや、地盤不良で雨天時の離発着が困難であったことなどから、1939年に大阪第二飛行場(現在の伊丹空港)の開港に伴って閉鎖されました。

またこの工場群の無機質な光景は、松田優作の遺作としても有名なハリウッド映画『ブラックレイン』(リドリー・スコット監督)のロケ地としても採用されましたが、現在では当時のいくつものパイプが剥き出しの工場萌えな光景はほとんど失われてしまいました。

【大阪 渡し船】木津川渡船場

大正区船町側の渡船場

【大阪 渡し船】木津川渡船場

昼間はほとんど利用者のいない寂れた待合所

【大阪 渡し船】木津川渡船場

木津川飛行場跡の碑

【大阪 渡し船】木津川渡船場

ハリウッド映画『ブラックレイン』のロケ地にもなった工場地帯

【大阪 渡し船】木津川渡船場

真横には新木津川大橋が高々とそびえる

【大阪 渡し船】船町渡船場

【大阪 渡し船】船町渡船場
船町渡船場

大正区鶴町と船町を結ぶ、岸壁間わずか75mの最短航路の渡船場(船はふなづる、しおかぜが就航)。あまりに距離が短いので、ほかの渡船がS字に航行して対岸に向かうのに対して、船町渡船場ではU字航行するため、上極は左舷から乗り込んで左舷から降りることになります。その昔、一時期は、あまりに川幅が狭いので、対岸まで船を連ね、その上に板を敷いて人や自転車が通行していたとか。ここも木津川渡船場と同じく、利用者のほとんどが船町にある工場関係者で、昼間にはほとんど利用者はいない。

この渡船のある木津川運河は、大阪港の第1次修築工事(明治30年~昭和3年)において「船町」「鶴町」「福町」の埋立地が造成されたのに合わせて、木津川と尻無川を連絡するために昭和4年に開設されました。

【大阪 渡し船】船町渡船場

大正区船町側の渡船場

【大阪 渡し船】船町渡船場

大正区鶴町側の渡船場

【大阪 渡し船】おまけ 日本でここだけ アーチ型防潮水門(木津川水門/尻無川水門/安治川水門)

【大阪 渡し船】おまけ 日本でここだけ アーチ型防潮水門(木津川水門/尻無川水門/安治川水門)
アーチ型水門は、日本でもこの界隈だけにしか存在しません

大阪のベイエリアには、渡船だけでなく、珍しい港湾施設があるので、おまけで紹介します。まずは、渡船の紹介でもちらほらと登場していますが、日本で唯一この界隈にしか設置されていない3つのアーチ型水門、木津川水門・尻無川水門・安治川水門です。

大阪平野は河川による堆積物によって形成される沖積平野であるため海抜が低く、また台風のよって吹き付ける風の方角に対して大阪湾が開口しているため、これまで幾度となく高潮被害に見舞われてきました。1934年の室戸台風、1950年のジェーン台風、1961年の第2室戸台風などで大きな被害を出したことから、河川の河口部に防潮水門を設けることで、海水の遡上を防ぐ対策が取られました。

安治川、尻無川、木津川は船舶の航行が盛んであったため、航路の確保、耐震性・耐風性に優れたアーチ型水門が採用されました。アーチ型の鋼製ゲートが上流側に倒れることで水路を閉鎖するという仕組みになっています。

【大阪 渡し船】おまけ 日本でここだけ アーチ型防潮水門(木津川水門/尻無川水門/安治川水門)

木津川水門

【大阪 渡し船】おまけ 日本でここだけ アーチ型防潮水門(木津川水門/尻無川水門/安治川水門)

尻無川水門

【大阪 渡し船】おまけ 日本でここだけ アーチ型防潮水門(木津川水門/尻無川水門/安治川水門)

安治川水門

【大阪 渡し船】おまけ 日本最初の河底トンネル 安治川トンネル

【大阪 渡し船】おまけ 日本最初の河底トンネル 安治川トンネル
珍しい川底トンネル

此花区と西区の間を縫って天保山の横から大阪湾にそそぐ安治川には、全国でも珍しい歩行者専用の河底トンネルである安治川トンネル(安治川隧道)があります。

歩行者・自転車用の通路は幅約2m、長さ約80mほどで、夏場でもひんやりとした空気が漂います。このトンネルも渡船と同じく無料で誰でも通行することができます。朝夕のラッシュ時には1時間に約250人ほどが利用する交通の要所となっています。24時間通行可能で、そのうち午前6時から午前0時までは大型のエレベーターが両岸で稼働しています。

安治川は、その上流に中央卸売市場がある関係などで、昔から船舶の往来の激しい河川運搬の重要航路でした。そのため、それらの航路を遮る渡船が設置できず、また船舶の高さ限界の関係から架橋も容易ではなく、川の両岸の往来に困難が生じていました。このため、昭和初期に、全国でも類を見ない河底トンネルが計画され、昭和19(1944)年に竣工しました。日本初の沈埋工法(あらかじめ海底や川底を掘っておき、そこにケーソン(沈埋函)を沈めて土をかぶせる工法)によるトンネルでもあります。

【大阪 渡し船】おまけ 日本最初の河底トンネル 安治川トンネル

九条側のエレベーター塔

【大阪 渡し船】おまけ 日本最初の河底トンネル 安治川トンネル

エレベーターでアプローチする

【大阪 渡し船】おまけ 日本最初の河底トンネル 安治川トンネル

昼間はエレベーターが稼働。夜間は階段でアプローチでき、24時間通行が可能

【大阪 渡し船】おまけ 日本最初の河底トンネル 安治川トンネル

西九条側。昼間の時間帯には警備員が常駐する

まとめ

まとめ
大切な生活の足としての渡船

大都会の片隅で今も現役で活躍する大阪の渡船、いかがでしたでしょうか。今もなお市民の生活の足として欠かせない存在であるとともに、大阪の地理や歴史文化とも密接なつながりがあることがおわかりいただけたと思います。ご近所のおでかけのついでに、プチ船旅を楽しむもよし、ブラタモ的に街を探検してみるもよし。水の都・大阪を感じながら、誰でも無料で利用できる大阪の渡船に、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

小さな船旅へぜひ!

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