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「マルセイユ」があるフランスのプロヴァンス=アルプ=コートダジュール地域ってどんなところ?

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日: 2024年8月26日

「マルセイユ」があるフランスのプロヴァンス=アルプ=コートダジュール地域ってどんなところ?

世界的なリゾート地であるマルセイユは、昔から多くの人種が行き交う港町です。パリ五輪ではセーリングの舞台とななった地中海や、マルセイユをはじめとする南仏の絶景を見ることができるのも楽しみのひとつです。
マルセイユをはじめ、芸術家も愛した南仏がはぐくんできたプロヴァンス、コートダジュールエリアをご紹介します。

マルセイユは『モンテ・クリスト伯』の舞台 フランス最大の港湾都市

1844〜45年に出版されたアレクサンドル・デュマの小説、『モンテ・クリスト伯』の舞台として知られているマルセイユ。日本では『巌窟王』の名で舞台化やアニメ化されたこともあるので、親しみを持っている人も多いのでは。
マルセイユの由来は、紀元前600年にギリシャのフォカイア人(小アジアのギリシャ人の意)が築いた植民都市マッシリア。町の誕生と同時に開港し、地中海の貿易中心地として栄えた。紀元前49年からのローマ支配下では、東方世界における西の玄関口へと成長しました。
フランス最古であり最大の港町には、2600年もの歴史を紡ぐ史跡が市街のそこかしこに点在。黄金のマリア像が象徴的なノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂、ストライプ模様が特徴のビザンチン様式のサント=マリー=マジョール大聖堂などが見られます。そして海に目を向けると、旧港から遊覧船で20分の沖に浮かぶイフ島が目を引きます。

マルセイユの頑強な要塞は脱出困難な監獄に

 『モンテ・クリスト伯』の物語の序盤、主人公エドモン・ダンテス(モンテ・クリスト伯)が、無実の罪を着せられて閉じ込められる監獄のモデルとなったのが、この島のイフ城です。1529年よりフランソワ1世の命を受けて建築。当初は監獄ではなく、1480年にフランスに帰属したマルセイユの警備や海岸線の防衛強化を担っていました。それに伴い、敵軍攻撃を防ぐための水平杭や大砲塔などを増築していき、堅牢さを増しました。
しかし、徐々にその必要性がなくなると1580、政治犯や死刑囚を収容する監獄に変わります。島という地理的環境と城ならではの建築様式は監禁に最適で、ここからの逃亡は困難。加えて、劣悪な衛生環境は生き残りの可能性を極めて低くしました。
1580年、イフ島初の囚人は、君主制に対する陰謀を告発された騎士アンセルム。17世紀後半からはプロテスタント信者3500人が次々と投獄され、命を落としていきました。ナポレオン3世と対立する304人の共和党員は、徒刑場に送られるまでの間、イフ島に収容。最後の囚人は、第一次世界大戦時のドイツ人でした。なお、裕福な囚人は金銭を支払い、監房の調度から3度の食事まで整った、特別牢で獄中生活を送っていたといいます。
暗い監獄時代が終焉を迎え、イフ城が一般公開されたのは1880年。その後、『モンテ・クリスト伯』のヒットにあやかり、人気観光地に。イフ城の上階にある主人公ダンテスの名を冠した独房では、物語で脱出を試みる際に何年もかけて掘った穴を再現し、ファンを喜ばせています。

ウォーターフロントが活性化したマルセイユ

アフリカ、アラブ諸国など多くの移民で構成されたマルセイユは、失業・貧困層も多く、旅行者にとって「治安が悪い」という印象が付きまといます。しかし、それもひと昔前の話。2013年に欧州文化首都にマルセイユが指定されたことが分水嶺となり、文化的側面が急激に発展しました。マルセイユを代表する博物館、ヨーロッパ地中海文明博物館(MuCEM)をはじめ、多くの文化施設が近年、誕生。
隈研吾設計のプロヴァンス現代美術センターといった世界的建築家を起用しての独創的な現代建築も造られ、危険な街」のイメージは払拭されました。

マルセイユの 大ペスト

1920年にマルセイユで発生したペストによるパンデミック。シリアから入港した商船がその発端で、貨物の綿織物などにペスト菌が潜んでいました。不衛生な通りのある旧市街地で最初にペストが流行し、特に貧民や高齢者に多くの死者が出たのです。さらにペストは猛威を振い、最終的には死者は約10万人に上ったと考えられています。マルセイユでは以前にもペストの大流行があり、衛生管理に努めていましたが、感染拡大を未然に防止できませんでした。

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