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少年B

更新日: 2024年5月14日

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激変する大阪の魅力を探る 古地図から見る街の移り変わり

「紙地図をたどれば、その町の歴史や人の営みが見えてくる」

実在しない都市の地図を描く、空想地図作家の今和泉隆行さんはそう言います。そんな今和泉さんに、今回は大阪市の海側に位置する此花区・大正区、北部にある都島区の変化について語っていただきました。→梅田や大阪城などを見る前編はこちら。
大阪府茨木市出身で、父に連れられてたまに大阪駅に電車を見に行っていた少年Bと、20代になって初めて関西に足を踏み入れたという今和泉さんの2人が、大阪市の地図を見ながら語ります。今和泉さん、今回もよろしくお願いします!

今和泉 隆行(いまいずみ たかゆき) 1985年生まれ。7歳の頃から実在しない都市の地図=空想地図を描き続けている「空想地図作家」。地図デザイン、テレビドラマの地理監修・地図制作にも携わる他、地図を通じた人の営みを読み解き、新たな都市の見方、伝え方作りを実践している。(X:@chi_ri_jin

聞き手:少年B 1985年生まれのフリーライター。地図自体に造詣が深いわけではないが、地図を見ながら「こことここの間に道路ができたら便利だなぁ」などと妄想を膨らませるのが趣味のひとつ。(X:@raira21

此花区には渡し船がある

▲1960年と2023年のUSJ・天保山間の安治川の変化(クリックで拡大)

今和泉:
此花区といえば、真っ先に出てくるのがUSJだと思いますが、Bさんは行ったことあります?

少年B:
何度か行きました。ウォーターワールドとユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショーのイメージが強いですね。今和泉さんはどうですか?

今和泉:
私は行ったことないんですが、USJのすぐ近くまで行ったことはありますよ。船に乗りました。

少年B:
船っていうと、ユニバーサルシティポートですか?

今和泉:
いや、天保山渡(てんぽうざんわたし)のほうです。おすすめですよ、無料だし。地元の人が乗ってますが、自転車の人もいます。渡ったあとは桜島駅から電車に乗ったので、USJの南側を通りましたね。

少年B:
此花区じゃなくて、この後話す予定の大正区の話ですが、友達のライターが乗ってました。こんなところにもあるんですねぇ。

少年B:
でも、なんで渡し船があるんですか? 需要があるから?

今和泉:
そうとも言えますね。でも、もっと単純な理由です。

少年B:
え……? 橋がないから、とか?

今和泉:
そうです。そうすると、次は「なぜ橋がつくれない?」という疑問が出てくると思いますが、じゃあ橋をどこに作ろうかとなるんですよ。

少年B:
天保山マーケットプレースから天保山渡船場まで、真っすぐにどーんと作ればよさそうですが……。

今和泉:
いや、それができないんです。安治川には船が通るから、橋の高さを上げなきゃいけないので。

少年B:
なるほど……。キャプテンラインがありますもんね。

▲船を通すために、阪神高速湾岸線の橋は高く、出入口(赤点線の丸の部分)から湾岸線の本線に入るまで距離があり、本線の高さが高いことが読み取れる(クリックで拡大)

今和泉:
地図には載ってないですが、他にも色々な船が通ってます。関東でいえば、レインボーブリッジみたいにぐるぐる回って高度を稼がないといけない。レインボーブリッジでさえ、通れなくなった船があるぐらいです。

少年B:
湾岸線の天保山JCTや天保山出入口はぐるぐる回ってますが、これはそういう意味だったんですね。なるほど!

今和泉:
ちなみに、天保山は「日本一低い山」としても有名です。ただ、東日本大震災以降は宮城県の日和山が日本一に返り咲いています。

少年B:
山の低さをめぐる攻防があるんですね。

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

筆者
少年B

1985年生まれのフリーライター。地図自体に造詣が深いわけではないが、地図を見ながら「こことここの間に道路ができたら便利だなぁ」などと妄想を膨らませるのが趣味のひとつ。(Twitter:@raira21

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