

更新日: 2025年10月17日
大井川の川越遺跡と名城を巡る!静岡西部・東海道歴史ドライブ
江戸時代に整備された五街道のひとつ、東海道。江戸と京都を結ぶこの街道には53の宿場があり、そのうち静岡県には最多の22宿が置かれました。
今回は大井川周辺の歴史スポットを巡るドライブコースをご紹介!
家康ゆかりの城から、江戸時代の旅人に思いを馳せる川越遺跡、ギネス認定の木造橋まで、歴史ロマンあふれる旅に出かけましょう。
目次
静岡西部を巡る!日帰り歴史ドライブモデルコース
さっそく東海道歴史ドライブに出発!静岡駅からレンタカーを利用した場合のモデルコースはこちらです。ぜひ参考にしてみてくださいね。
【モデルコース】
静岡駅
↓約18km
田中城下屋敷
↓約13km
小山城(展望台小山城)
↓約9km
大鐘家
↓約4.5km
牧之原市史料館
↓約25km
島田市博物館
↓約3km
蓬莱橋
↓約29km
静岡駅
家康が訪ねた田中城の歴史を伝える「田中城下屋敷」

本丸櫓は木造2階建てで石垣の上に立っています
今回の東海道歴史ドライブは静岡駅から西へ18kmほど走った静岡県藤枝市の「田中城下屋敷」からスタートです。
田中城は日本橋から数えて22番目にあたる東海道の宿場・藤枝宿の近くにありました。約500年前に今川氏の命で一色氏が屋敷を拡大して城としたのが始まりとされ、その後は武田氏、豊臣氏、徳川氏が治めました。
本丸を中心に4重の堀が同心円状に囲む構造が特徴で、徳川家康も鷹狩の際にたびたび訪れています。その際に食した“鯛の天ぷら”が原因で体調を崩しており、それが死因の一つとも言われています。現在、本丸跡は小学校になり跡形もありませんが、下屋敷庭園跡が整備され本丸櫓、仲間(ちゅうげん)部屋などが見学できます。

仲間(奉公人)部屋は厩(うまや)が併設。リアルな馬の模型がありました

数寄屋造りの茶室。東側に6畳の待合が設けてあります
【営業時間】9:00〜17:00
【休館日】月曜・祝日の翌日休
戦国時代の平山城の特徴がよく分かる「小山城」

展望台小山城からは360度の大パノラマが望めます
東海道から少し離れますが、大井川西岸の断崖に立つ「小山城」も知る人ぞ知る名城です。
田中城下屋敷からは9kmほどの距離にあります。戦国時代に築かれた砦が始まりとされ、武田信玄の重臣・馬場信房(信春)が城郭を整えて「小山城」と名付けたそうです。
本丸、二の丸跡に上がると、武田氏の城の特徴である馬出し(復元)や三日月型の三重堀などが見られます。二ノ丸の物見台跡には国宝の犬山城を模した天守型の「展望台小山城」が立ち、富士山や駿河湾が一望できます。

館内では武田氏ゆかりの甲冑や刀剣、ジオラマを展示

復元された円形の馬出し。本丸の出入口を守る設備です
【営業時間】9:00〜16:30
【休館日】月曜休(祝日の場合は翌日)
【入場料】200円
江戸時代に庄屋を務めた名家「大鐘家」を訪ねる

茅葺きの長屋門。映画やドラマの撮影地に使われることも
さらに寄り道して牧之原市の「大鐘家」を訪ねます。大鐘家は江戸時代に代々庄屋を務めた名家で、先祖は戦国武将・柴田勝家の甥・勝豊に仕え、筆頭家老まで出世したそうです。母屋と長屋門は300年ほど前に建てられ、どちらも国の重要文化財。1万坪の敷地内には約1万本のアジサイやハナショウブ、朝に白い花を咲かせ、昼にピンク、夕方には赤へ変色する酔芙蓉(すいふよう)などの花々が植えてあり、「花屋敷」とも呼ばれています。

相良城が取り壊される際、大鐘家が石垣を購入し移築しました

人気みやげの「大鐘餅」(800円)。金運アップのご利益があるかも?
【営業時間】9:00〜17:00
【休館日】無休
【入場料】400円(花の季節で異なる)
江戸幕府の老中・田沼意次の功績を知る「牧之原市史料館」

相良城をイメージした建物。2階はイベントスペースになっています
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、俳優の渡辺謙さんが演じた江戸幕府の老中・田沼意次(おきつぐ)。これまで賄賂を求める悪役として扱われましたが、実際は株仲間の推奨や外国貿易の拡大、貨幣の統一など商業重視の政策により、財政再建を図った改革者で、近年再評価されています。
牧之原市は田沼氏が務めた相良藩があったところ。居城の相良城は東西500m、南北450mと広く、本丸には天守代わりの三重櫓が設けてありました。意次の失脚後に城は取り壊され、現在本丸跡は「牧之原市史料館」になっています。館内には、田沼意次ゆかりの古文書や工芸品などが展示されています。

1階の常設展では玄関前の銅像のモデルになった田沼意次の肖像画を展示

江戸時代の享保小判や丁銀、南鐐(なんりょう)二朱銀などが見られます
【営業時間】9:00〜16:00
【休館日】月曜休(祝日の場合は開館)・祝日の翌日休
【入場料】220円
国内唯一、川越の遺跡が残る「島田市博物館」

大井川に架かる大井川橋を渡り、東岸の「島田市博物館」へ。橋の長さは1kmもあり、川幅の広さが実感できます。
「箱根八里は馬でも越すが、越すに越せぬ大井川」という馬子唄があるように、江戸時代の旅人は大井川を渡るのに苦労しました。江戸幕府は大井川の架橋を許さず、旅人は川越人足(かわごしにんそく)に渡してもらうしかなかったのです。
川越の賃金は水深の深さと川幅で決まり、肩車や蓮台などの担ぎ方でも金額が違いました。島田市博物館では川越制度のほか、島田大祭(帯まつり)、島田髷などに関しても学べます。
川越人足たちが詰めた番宿、札場、荷縄屋などを保存・復元した大井川川越遺跡も隣接しているので、こちらも見学しましょう。

江戸時代の雰囲気が垣間見える川越遺跡は歩くだけも楽しい

川越人足を雇うための川札。防水のための油が塗られています

博物館の常設展を見れば川越制度のいろはが分かります
【営業時間】9:00〜17:00
【休館日】月曜休(祝日の場合は翌日)
【入場料】300円(展示内容によって変動あり)※2025年12月14日までの期間中は500円
ギネス認定!世界一長い木造橋「蓬莱橋」

足裏から木の感触が伝わる蓬莱橋。富士山が見られることも
最後に島田市博物館から3kmほどの「蓬莱橋」を訪ねます。1879年(明治12)に牧ノ原台地の開墾者たちが自費に架橋しました。
現在では数少なくなった賃取橋で、東岸の番所で通行料を支払います。全長897.4mから“厄無し”、長い木の橋から“長生き橋”など縁起の良い橋として人気です。
1997年には「世界一長い木造歩道橋」としてギネスブックに認定されています。のんびりと歩いても30分ほどで往復できますから、ぜひ大井川の広さを自分の足で体感してください。この後は静岡駅に戻ります。

大井川の水位が高いと川越ができず、旅人は何日も待たされました

中間点には「ど真ん中」と記されています。見逃し注意!
【営業時間】24時間
【休館日】荒天時
【入場料】大人100円、子供(小学生)10円、障碍者無償
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【筆者】内田晃
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自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。街道、古道、巡礼道、路地など歩き取材を得意とする。日本旅行記者クラブ会員














