【信州】こんなトコ!人気エリア&基本情報をチェック!
信州は南北に長い高原の国。地形や文化をもとに7つのエリアに分けて、それぞれの魅力をチェック。旅の前に信州の全貌をつかんでおこう。...
更新日: 2023年8月27日
北アルプスの入門登山に最適な乗鞍岳。一般的には、岐阜県と長野県にまたがる標高3,000m峰を指しますが、実はもう一つ、隠れた絶景の乗鞍岳が存在するのはご存知でしょうか?その名も「白馬乗鞍岳(はくばのりくらだけ)」。
白馬乗鞍岳はウインタースポーツが盛んな信州北部、白馬にどっしりと佇んでいます。山頂までの標高差、歩行時間、そして見られる絶景。どれを取っても登山初心者から中級者にお勧めしたい名峰です。
今回は、中でも一段と美しい紅葉シーズンのハイキングコースをご紹介します。
今回紹介する「白馬乗鞍岳」が位置するのは、日本百名山の一つ白馬岳(しろうまだけ) の北東に伸びる尾根。白馬岳登山の通過ポイントとなっており、多くの登山者で賑わいます。
白馬村市街からは栂池(つがいけ)ゴンドラ・ロープウェイに乗り、標高約1,900m弱の栂池高原 へアクセスしたのち、往復約4時間ほど登山をすれば白馬乗鞍岳に到着です。
この山を目当てに登る登山客はあまり多くないのですが、実は初心者が手軽に北アルプスの世界を味わうにはもってこいの山なのです!
樹林帯から軽い岩場、湿原地帯や森林限界まで、景色変化に富んでいることも特徴です。
白馬乗鞍岳の登山道には「ダケカンバ 」や「ナナカマド 」といった高山特有の木々が多く繁茂しています。北アルプスでも最北エリアにあたることから、9月末〜10月上旬にかけて訪れれば、さながら錦絵のような美しさの紅葉風景を楽しめます。
登山の起点となる「栂池自然公園 」へのアクセスですが、車で訪れるのがベターです。JR白馬駅やJR白馬大池駅からバスが出ており、電車とバスを使えば公共交通機関で行くこともできますが、行きと帰りのバス時間を想定して行動しなければならないため、ハードルが上がります。
秋シーズンのゴンドラ・ロープウェイの運行時間は8時〜16時40分まで。下山の際にはロープウェイ→リフトと乗り継ぐので、実質16時10分が終電となります。なお、9月第3週から10月第1週の土日は運行開始時間が7時になり、時間に余裕ができるのは嬉しいですね。
秋シーズンは「栂池高原」の最盛期で多くのお客さんが訪れるため、ゴンドラ・ロープウェイ乗り場が混むこともしばしば。営業開始前から並んでおくことをお勧めします!
壮大な北アルプスの山旅へ出発!
ゴンドラ・ロープウェイに乗って約30分、標高約1,900mの栂池高原へと到着です。
麓と比べて木々が低くなっているので、景観がガラリと変わります。9月下旬から10月上旬に訪れれば、その木々が淡く色づき始めていることに気づくはず。
さぁ、北アルプスの紅葉に期待を膨らませながら、登山の出発です!途中、白馬大池山荘へ行くまでトイレがありませんので、ここで必ず済ませておくようにしてください。
小谷村名産の「さるなし」は登山のお供
ちなみに、栂池公園のロープウェイ乗り場で販売している信州産の「さるなしドライフルーツ」は、クエン酸たっぷりで疲労回復に効果てきめん!キウイの原種ともいわれている植物の果実で、皮つきのまま食べられるので、ぜひ購入してみてください。気温によっては水分なども、適宜買い足しておきましょう。
登山口から約1時間ほどは、ずっと栂池高原一帯の樹林帯を進んでいきます。基本的に眺望はありませんが、時折開ける展望は必見です!一本道で危ない箇所はありませんが、登山者の往来が多いため、道を譲りながらマイペースに進んでいきましょう。途中、ぬかるんでいる箇所が現れた際は、滑らないように注意してください。
アルプスの初秋ならではのパリッとした朝の冷え込みが心地よく、鮮やかな樹林と空を眺めながら、ひたすらに標高を上げていく時間はとても心地よいものです。
森林限界越しに、白馬岳と雲海が広がる絶景!
登山開始から約1時間、小さな広場へ出ます。ここが登りの一区切りとなっている場所で、多くの登山客が休憩しています。ジャストタイミングでの休憩ポイントはありがたい限りなのですが、もう一つ嬉しいのはこのパノラマビュー!
紅葉越しに、日本百名山の一角「白馬岳」を眺めることができるのです。秋には雲海も発生しやすく、運が良ければ筆舌に尽くしがたい絶景に出会えます。
白馬乗鞍岳が作る山上の楽園「天狗原」
さぁ、いよいよここからがハイキングの核心部。休憩ポイントから約10分ほど進むと、標高約2,200mの天狗原に到着です。たおやかな白馬乗鞍の山容により、残雪が山腹にたまることで形成された天空の湿原です。
マニアなファンの間では、夏に様々な高山植物が咲き誇ることで有名ですが、実は紅葉の時期も負けていません。周囲にナナカマドの赤が点々と彩れば、そこはまさに紅葉の回廊。非日常の美しい世界を満喫しましょう!
天狗原から「白馬乗鞍」山頂までがラストの正念場!湿原の穏やかな遊歩道を過ぎれば、岩場が待ち構えています。ゴツゴツとしているので、両手両足でしっかり身体を支えながら登りましょう。
最初は少し恐怖心があるかもしれませんが、慣れてくると、まるでアスレチックをこなしている感覚を楽しめるはず!
岩場を半分ほどまで来て後ろを振り返れば、先ほどまでいた天狗原を見下ろすパノラマビューが。向かいには「北信五岳 *」と言われる名峰が並び立ちます。
*北信五岳/妙高山・飯縄山・黒姫山・戸隠山・斑尾山
稜線は雲の上の世界。ここまで2時間だから驚き!
登り切れば、そこはもう雲の高さ……!
気軽には味わえないアルプスの稜線へ片道2時間ほどで足を踏み入れられるのが、白馬乗鞍岳ハイキングの醍醐味と言えるでしょう。感動と達成感もひとしおです。
アルプス独特の山岳美は、登山者を魅了して止まない
なだらかな稜線の先には、大きなケルン(積み石)が。写真の中央右側に見える場所 が「白馬乗鞍」の山頂です。周囲は松の一種、「ハイマツ」で覆われ、火山岩が乱立しています。そして、白馬乗鞍の向こうには、一段と迫力を備えた「白馬岳」が顔を覗かせています。
ここから約5分で山頂に到着。周囲一帯の山岳美を楽しみつつ、片道約2時間にわたる非日常なハイキングのラストを登り切りましょう!
白馬乗鞍の山頂がゴールですが、体力と時間に少し余裕がある方は、山頂から往復1時間の「白馬大池」まで訪れるのがオススメです。白馬大池は、標高約2,400m の高さに位置し、風吹大池(かざふきおおいけ)に次いで、北アルプス山中では2番目の大きさを誇る火山性の湖です。
初秋には池の周囲のナナカマドが彩られ、緑と赤の絨毯を見せてくれます。空を鮮やかに映し出す「白馬大池」の湖面は、深いエメラルド色。まさに北アルプスの秘境と言える雰囲気を備えています。
草紅葉は森林限界ならでは。稜線とのコラボレーションが美しい
また、白馬大池の横からは、日本二百名山に選ばれている「雪倉岳(ゆきくらだけ)」への稜線、そして日本海へと続いていく栂海新道(つがみしんどう)までの縦走路を眺めることが可能。初秋には草紅葉が彩りを添えてくれて、青・赤・緑と三色の美しいコントラストが楽しめます。
白馬大池の周囲は、どこを眺めても素晴らしい景観が楽しめるので、時間が許す限りカメラを持ってゆっくりしたいところ。帰りのロープウェイの時間を考え、遅くとも13時頃には、白馬大池から下山を始めてくださいね。
下山後には爽快な「さるなしソフト」が堪らない!(300円 税込)
登りに比べて下りの方がバランスを崩しやすいので、特に岩場は注意してください。先ほどの景色変化を逆戻りするのも、行きとは違う趣を楽しむことができ、最後の最後まで飽きることはありません。
また午前中に快晴でも、山では午後から雲が出てくることもしばしば。そうした天気の変化も、山の雰囲気を変えてくれる演出と考えればおもしろいですね。道に分岐はなく、迷う箇所もありませんので、マイペースで安全に下ってくださいね。
栂池ロープウェイへと下山すれば、名物の「さるなしソフト」が待っています。これをモチベーションに頑張りましょう!
「北アルプス」と言えば、標高が高く危険で、ハードルが高いと思っている方も多いことでしょう。しかし今回ご紹介した「白馬乗鞍岳」は、ゴンドラとロープウェイで標高を稼ぐことができ、標高差500m/往復4〜6時間ほどのコース内容です。
手軽ながら様々な景色変化を楽しむことができ、9月下旬から10月上旬には一足早く紅葉も楽しめます。
山の世界に興味があるという方、ぜひ一度家族や友人と挑戦してみてはいかがでしょうか?
<チェックリスト>
今回紹介したコースの地図は、昭文社発行の「山と高原地図」からも見ることができます。
山と高原地図 白馬岳
「山と高原地図」の地図はアプリ「山と高原地図ホーダイ」(月額400円、※初回DLから7日間は無料)から、全59エリア分をDLして見ることもできます。
取材・写真・文章:土庄雄平
『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図です。谷や尾根、等高線や登山道を綿密に描き、実踏調査に基づいた登山ルート・コースタイムなどを掲載、全国の名山約1,500を紹介したもので、ラインアップは全61点にのぼります。
『山と高原地図』アプリは、この慣れ親しんでいる地図をお手持ちのスマートフォンでも見られるだけでなく、GPSを使って地図上で現在地を確認したり、自分が登ったルートの記録をする、といった機能により 登山・ハイキングがますます楽しくなるアプリになっています。記録したルートをメールで送信して、PCで登山記録を管理したり、登山コミュニティサイトに投稿して記録を共有することもできるので、活用方法は無限に広がります。地図データは全てスマートフォン本体に格納しますので、携帯電話の電波が届かない山中でも安心して使用することができます。
>>「使ってみよう!山と高原地図」はこちら
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
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