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京都の紅葉といえば東福寺!本山と個性ある4つの塔頭めぐりで庭もみじを満喫

らくたび

更新日: 2025年11月7日

京都の紅葉といえば東福寺!本山と個性ある4つの塔頭めぐりで庭もみじを満喫

京都きっての紅葉の名所といえば東福寺。とくに、2025年の秋は「そうだ 京都、行こう。」のCMの舞台でもあり注目されているスポットです。紅葉が谷を埋め尽くし、そこに長い橋・通天橋がかかる風景を一目見ようと、大勢の人が訪れます。

今年の秋は、通天橋から絶景を眺めた後、境内にある小さなお寺・塔頭にも足を運んでみませんか。通天橋のように群生するスケールの大きな紅葉とは対照的に、1本の紅葉の美しさや、庭園や建築と調和する秋景色には、独特の魅力があります。

ここでは、ダイナミックな通天橋のある東福寺の本山と、趣ある4つの塔頭寺院を紹介します。

【東福寺本坊】渓谷を秋色に染め上げるもみじと、深紅の雲に浮かぶ天への通い路

【東福寺本坊】渓谷を秋色に染め上げるもみじと、深紅の雲に浮かぶ天への通い路
通天橋をゆっくり渡るには、まだ人影がまばらな朝早くが狙い目

鎌倉時代初期に創建された、臨済宗東福寺派の大本山。京都有数の紅葉の名所で、「通天橋(つうてんきょう)」と「臥雲橋(がうんきょう)」、「偃月橋(えんげつきょう)」の3本の橋が架けられている渓谷「洗玉澗(せんぎょくかん)」に、約2,000本もの紅葉が茂ります。

そもそも、寺に紅葉が多いのには、室町時代の画僧・明兆が、絵の褒美として修行の妨げになる桜の木を切り倒すことを望み、代わりとしてカエデが植えられたという歴史があるそうです。

実際に橋を渡り、谷に降りてスケールの大きさを体感するのがベスト

今となっては、紅葉の風景にも心をうばわれてしまいそうですが、時期により橋の上からは写真が撮れません。現地だからこその感動を目と心にしっかり焼き付けましょう。

また、紅葉シーズンの11月15日~12月7日は、開門時間が30分早まり8時30分から拝観がスタート。少し早起きして紅葉の雲の上を空中さんぽしてみませんか。

■東福寺(とうふくじ)
電話/075-561-0087
住所/京都市東山区本町15-778
アクセス/JR・京阪東福寺駅から徒歩10分、京阪鳥羽街道駅から徒歩8分
開門時間/9:00~16:30(受付終了16:00)、11月15日~12月7日は通天橋のみ8:30~、12~3月は~16:00(受付終了15:30)
閉門日/無休
拝観料/境内無料、通天橋・開山堂600円(11月15日~12月7日は1000円)、本坊庭園500円
駐車場/あり(10月下旬~12月上旬は利用不可、公共交通機関を利用)

【光明院】重森三玲作の名庭と建築美が融合する波心庭

【光明院】重森三玲作の名庭と建築美が融合する波心庭
三尊石の背後で色づく紅葉と見事に調和する波心庭。窓は本堂と書院の間にある

室町時代の1391(明徳2)年の創建で、庭園の苔が美しいことから「虹の苔寺」とも呼ばれます。

昭和の作庭家・重森三玲の手による方丈前の庭園「波心庭」は、吉野窓と呼ばれる丸窓を通して見ると、仏様を表す三尊石組を中心に、背後には雲を象徴するサツキやツツジ。光が降り注ぐかのような鮮やかな紅葉と、緑の苔が織り成す色のコントラストが新鮮です。

本堂、書院、観庭楼という3つの建築が波心庭を取り囲む

建物をめぐりながら、様々なアングルで庭園を鑑賞できるのも光明院の魅力です。波心庭は寺名の「光明」をテーマに、仏様から光が広がっていく様子を石を使って描いているそうです。少し離れたところから見ると、その様子がよく分かりますね。

光明院の開門時間は朝の7時。しんと静まりかえった落ち着いた境内で、ゆったりとした時間が過ごせます。

■光明院(こうみょういん)
電話/075-561-7317
住所/京都市東山区本町15-809
アクセス/京阪鳥羽街道駅から徒歩7分
開門時間/7:00~日没
閉門日/無休
拝観料/志納500円程度
駐車場/あり

【勝林寺】かつては舞妓さんもお参りした吉祥天が宿る圧巻の紅葉

【勝林寺】かつては舞妓さんもお参りした吉祥天が宿る圧巻の紅葉
吉祥紅葉は、本堂前でひと際大きく枝葉を伸ばす1本(画像:勝林寺提供)

戦国時代に創建され、ご本尊は東福寺の鬼門である北東の方向を守る毘沙門天。四季の彩を映し出す花手水があることで知られているお寺ですが、紅葉の名所でもあるのです。

美しい色味と枝ぶりの「吉祥紅葉」は、ご本尊の毘沙門天の妻である吉祥天が宿るとされ、美人祈願や縁結びのご利益もあるそう。また、毘沙門天のお使いである虎が月に吠える様子を表した「嘯月庭」にも無数のカエデが植えられています。

週1~2回花が入れ替えられる花手水。SNSで情報発信中(画像:勝林寺提供)

勝林寺は、ふだんから座禅や写経・写仏体験をはじめ、花手水や、季節のご朱印など、時間をかけて楽しめるお寺です。

さらに、秋の特別拝観中は、御本尊で秘仏の毘沙門天立像をはじめとする数々の文化財をスタッフの説明付きで公開。お話を聞いたり、写真を撮ったり、各種体験をしたり、じっくりと腰を落ち着けて充実した秋の1日が過ごせそうですね。

■勝林寺(しょうりんじ)
秋の特別公開 2025年11月15日〜12月7日
※期間中、南門(正門)は閉鎖。拝観は東門から


電話/075-561-4311(9:00~16:00)
住所/京都市東山区本町15-795
アクセス/JR・京阪東福寺駅から徒歩8分
開門時間/10:00~16:30(受付終了16:00)
閉門日/無休
拝観料/特別拝観700円(寺宝の説明付)、座禅と特別拝観1800円
駐車場/なし

【天得院】花頭窓からそっと垣間見る、朱と緑の色彩感豊かな秋景色

【天得院】花頭窓からそっと垣間見る、朱と緑の色彩感豊かな秋景色
桃山時代作庭の枯山水を、本堂の花頭窓から眺める(画像:アマナ)

室町時代に創建された東福寺の非公開塔頭寺院。別名「桔梗の寺」とも呼ばれ、公開は年に2度、桔梗と紅葉の季節のみです。

桃山時代の作庭とされる枯山水庭園は杉苔に覆われ、夏、清楚な紫に彩られた庭園は、秋になると、燃えるような紅葉の朱色と苔の緑が奏でるハーモニーが印象的な姿へと趣を変えます。

幻想的な光景に酔いしれるライトアップ(撮影:北野眞幸)

日没後、やわらかな灯りで照らされる庭園はさらに魅力を増します。紅葉と苔、光の微妙な陰影が色彩に深みを与え、夢を見ているような錯覚に陥りそうです。

さらに、天得院のライトアップは入れ替え制ではありません。つまり、夕刻、まだ日が沈む前に訪れると、夕陽に照らされた庭園とライトアップされた庭園を目にすることができます。ぜひ、2つの異なる表情を楽しんでください。

■天得院(てんとくいん)
秋の特別公開 2025年11月15~12月7日


電話/075-561-5239
住所/京都市東山区本町15-802
アクセス/JR・京阪東福寺駅から徒歩7分
開門時間/9:00~20:30(受付終了20:00)
閉門日/無休(法務などによる拝観休止の場合あり)
拝観料/600円、抹茶800円(9:00~16:30、なくなり次第終了)
駐車場/なし

【龍吟庵】現存最古の国宝方丈建築から望む、重森三玲作のモダン庭園

【龍吟庵】現存最古の国宝方丈建築から望む、重森三玲作のモダン庭園
鞍馬の赤石が敷き詰められ、方丈の東に作庭された「不離の庭」(画像提供:東福寺)

鎌倉時代に、東福寺の住職であった無関普門の住まいとして建てられた非公開寺院。年に2度、春と秋に公開され、現存最古の方丈は国宝に指定されています。

こちらの見どころは重森三玲が作庭した「方丈庭園」。方丈を東西南に囲む3つの庭からなります。なかでも、三玲の前衛的な作風が一番感じられるのが「不離の庭」です。2頭の犬が無関普門を狼から守ったエピソードを描いているそうで、詳しい説明付きで庭園を鑑賞できます。

寺名の龍吟庵にちなみ方丈の西に作庭された「龍の庭」

西庭の「龍の庭」が表しているのは龍が海から天へ登る姿。海を表す白砂、黒雲を表す黒砂に散紅葉が舞い、深まる秋を感じさせてくれます。

南には白砂が広がる「無の庭」があり、方丈を囲む三つの庭はいずれも見応え十分。晩年においても、新たな表現を追究した重森三玲の挑戦心が、静かに伝わってきます。

■龍吟庵(りょうぎんあん)
秋の特別公開 2025年11月8日~12月7日


電話/075-561-0087(東福寺)
住所/京都市東山区本町15-778
アクセス/JR・京阪東福寺駅から徒歩12分、京阪鳥羽街道駅から徒歩10分
開門時間/9:00~16:30(受付終了16:00)
閉門日/無休
拝観料/1000円
駐車場/あり(10月下旬~12月上旬は利用不可、公共交通機関を利用)

東福寺で本山と塔頭の紅葉をじっくり味わおう

4つの塔頭の庭園もみじは、いかがでしたか? 東福寺の紅葉は見たことがあるけれど、塔頭はまだ行ったことがないという人も多いかもしれません。2度目、3度目の京都をめぐるときの参考にしてくださいね。

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